プロジェクトマネージャーとは？アプリ開発・システム開発における責任、スキルや資格を徹底解説！

システムやアプリの開発において欠かせない存在が「プロジェクトマネージャー」です。

ITやWeb業界ではよく聞かれる名前なのですが、その立場の仕事内容について詳しく知っている人はあまり多くありません。

そこで今回は、プロジェクトマネージャーについて詳しく解説していきます。

アプリ開発やシステム開発を発注する際に知っておくと便利な情報なのでぜひ参考にしてください。

プロジェクトマネージャーの仕事内容

プロジェクトマネージャーとは？

プロジェクトマネージャーとは、「IT分野での開発を行うプロジェクトチームの責任者として、プロジェクト実行計画の作成、予算、要員、進捗の管理などを行う」職種をいいます。

アプリ開発やシステム開発においては、特にウォーターフォール型開発において、開発者側（受注者側）のプロジェクトマネジメントを担当する職種とされています。

このため、プロジェクトマネージャーは、アプリ開発・システム開発がウォーターフォール型開発でおこなわれる場合、最も重要な職種であるといえます。

この点から、委託者側・発注者側としては、プロジェクトマネージャーの能力や経験をよく見極めたうえで、発注を検討しなければなりません。

プロジェクトマネージャーの5つの仕事内容

プロジェクトマネージャーの仕事内容は以下の5つが主に挙げられます。

以下、それぞれ詳しく解説します。

仕事内容1.プロジェクトの計画立案

プロジェクトマネージャーの計画立案は、アプリ開発・システム開発のプロジェクトの成功を確保するための重要な活動です。

プロジェクトマネージャーは、目標やスケジュール、リソースの割り当て、タスクの進行状況などを考慮し、プロジェクトの全体像を明確にします。

加えてプロジェクトの範囲や要件を定義し、チームの役割や責任を明らかにすることもこの段階で行います。

また、リスクや課題の予測も行い、それに対処するための対策を計画します。

仕事内容2.プロジェクトチームの編成

開発の成否を分けるプロジェクトチーム

プロジェクトマネージャーは、アプリ開発・システム開発のプロジェクトのプロジェクトチームを編成します。

アプリ開発・システム開発において、プロジェクトチームは開発の成否を分ける重要な組織です。

プロジェクトチームの編成の際、プロジェクトマネージャーは、各メンバーのスキルや経験を評価し、適切な役割と責任を割り当てます。

プロジェクトチームは、たとえば開発者、デザイナー、テスターなどといった専門家で構成されることが多いです。

プロジェクトマネージャーが開発を成功に導く

このため、プロジェクトマネージャーには、違う分野の専門家同士のコミュニケーションや協力しやすい環境を作る役割があります。

繰り返しになりますが、プロジェクトチームは、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。

プロジェクトチームは、各メンバーのスキルと能力を最大限に活かすことを目的としてます。

この点からも、プロジェクトマネージャーの役割は大きいといえます。

仕事内容3.プロジェクトの進捗管理

プロジェクトマネージャーの進捗管理は、プロジェクトの進行状況を把握し、目標達成に向けて計画通りに進めるための活動です。

プロジェクトマネージャーは、タスクごとの達成状況を確認し、進捗状況を追跡します。

また、併せて、課題や遅延が発生した場合には、原因を特定し、適切な対策を取ります。

なお、進捗管理では、スケジュールの遵守やリソースの効果的な利用、チームのコミュニケーションを確保することが重要です。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進捗状況を定期的に報告し、関係者とのコミュニケーションを通じて進捗状況を共有します。

仕事内容4.チームのサポート

プロジェクトマネージャーは、チームのサポートを通じてメンバーの成功を後押しする役割もあります。

特に、チームメンバーに対して必要な手段を提供し、作業がスムーズに進むことを支援します。

また、メンバーの課題や問題に対して適切な支援や解決策を提供することで、プロジェクトの目標達成に向けて彼らをサポートします。

それだけでなく、プロジェクトマネージャーは、コミュニケーションや相談の場を設けることで、メンバーの成長やスキル向上を促進します。

チームのサポートは、モチベーションの向上や生産性の向上につながり、プロジェクトの成功に重要な役割を果たします。

1つのプロジェクトを完成させるだけでなく、今後のメンバーのスキル向上につながる育成という側面も大きいということがわかります。

仕事内容5.課題・問題の報告と共有

プロジェクトマネージャーは、課題や問題を特定し、関係者と共有する役割を担当します。

また、プロジェクトの進行中に発生する様々な課題や問題を把握し、原因を分析します。

そして、それらを関係者に報告し、適切な対策や解決策を共有します。

こうした報告と共有により、関係者は問題を理解し、かつ、必要な措置を講じることができます。

また、プロジェクトマネージャーは、チームメンバーともコミュニケーションをとる中で、彼らの意見や提案を収集し、プロジェクトの品質や効率性の向上に役立てます。

そのため課題・問題の報告と共有は、プロジェクトの円滑な進行と成功に不可欠な要素です。

プロジェクトリーダーとの違いは？

プロジェクト全体に責任を負うプロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーは、役割と責任において違いがあります。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの全体的な成功に向けて調整と管理を行います。

たとえばプロジェクト全体の計画、実行、監視、制御を担当し、リソースの管理やスケジュールの管理、関係者とのコミュニケーション、リスク管理など幅広い責任を持ちます。

プロジェクトチーム内で責任を負うプロジェクトリーダー

これに対して、プロジェクトリーダーは、プロジェクトチーム内でのリーダーシップとタスクの実行を担当します。

具体的にはチームメンバーを指導し、モチベーションを高め、作業の進行をサポートします。

プロジェクトリーダーは、各メンバーの役割と責任を明確にし、チームの協力と協調を促進します。

そのため、プロジェクトリーダーはプロジェクトマネージャーの業務を支援するという立場ということです。

プロジェクトマネジメント義務とは？

プロジェクトマネジメント義務＝プロジェクトを成功に導く開発者側の義務

ウォーターフォール型開発によりアプリ開発・システム開発を行うえでは、いくつもの段階的な契約（多段階契約）を結ぶことが一般的です。

特に大規模・長期間に及ぶシステム開発の場合には、基本契約を締結したうえで、工程ごとに毎回個別契約を締結します。

こうした大規模・長期間のアプリ開発・システム開発で問題となってくるのが、開発側におけるプロジェクトマネジメント義務に関する責任です。

プロジェクトマネジメント義務は、いわゆる「スルガ銀行・IBM事件」（東京高裁判決平成25年9月26日）において、IT業界に広く知れ渡りました。

プロジェクトマネジメント義務には、主に次のものがあります。

プロジェクトマネージャーはプロジェクトマネジメント義務の責任者

開発者である受注者は、アプリ開発・システム開発を計画通りに進めることや、作業の進捗管理を行うことを通して、プロジェクトを問題なく進める責任があります。

プロジェクトマネジメント義務は、通常は、プロジェクトマネージャー個人に発生する義務ではありません。

しかしながら、プロジェクトマネージャーは、プロジェクトマネジメント義務にあたる業務内容を負っている立場にあります。

プロジェクトマネジメント義務違反＝善管注意義務＝債務不履行

もし判例に挙げられているような義務を果たせなかった場合、開発者側（受注者側）は、善管注意義務違反となり、債務不履行（いわゆうる契約違反）となります。

その結果、賠償責任責任が発生したり契約解除されたりする可能性もあります。

このような事態を避けるためにも、プロジェクトマネージャーは、プロジェクトをしっかりと管理することが求められる重要な立場であることがわかります。

プロジェクトマネージャーに必要なスキル

プロジェクトマネージャーには、主に次の4つの必要とされています。

必要なスキル1.マネジメントスキル

当然のことではありますが、プロジェクトマネージャーにはマネジメントスキルが求められます。

具体的には個々人の進捗状況からチーム全体の管理も行うことで、プロジェクトの目標達成に向けて組織やリソースを最適化する能力です。

そのほかにも予算やスケジュール管理、そして仕様変更や契約書の管理など幅広い業務を行うためのスキルが必要でしょう。

必要なスキル2.交渉力

プロジェクトマネージャーの交渉力は、他の関係者との協力やリソースの獲得など、色々な立場の人の要望をまとめ上げるシーンが出てきます。

例えば、ソフト開発やテスト段階で顧客側（委託者側）から仕様変更や機能の追加の要望が出ることへの対応などです。

時にはメンバーからのトラブル対応や相談に乗ることもあります。

顧客側と開発側がそれぞれ納得できる代替案を提案するといった交渉をする立場にあるのがプロジェクトマネージャーです。

必要なスキル3.コミュニケーション能力

プロジェクトマネージャーのコミュニケーション能力は、チームや関係者と円滑な情報共有や意思疎通を図り、それぞれの協力を促進するスキルのことです。

これは、アプリ開発やシステム開発の規模や、プロジェクトチームの規模が大きければ大きいほど、必要とされる能力です。

チーム全体で良好な関係を築くことや、会議進行のために様々な人の意見を聞きつつも自分の意見をしっかりと伝えるスキルが必要になります。

必要なスキル4.開発に関する専門知識

当然ではありますが、プロジェクトマネージャーはアプリやシステム開発のすべての工程を管理する立場にあるため、開発に関する専門知識は必須です。

プロジェクトマネージャーは、必ずしもエンジニア出身である必要はありません。

ただ、直接開発を担当するエンジニアとの間で、技術的な点について少なくともコミュニケーションが取れる程度の専門知識は必須です。

その領域は、プログラミング言語やネットワーキングといった技術についての理解をはじめ、要件定義や設計に関するスキルなど多岐にわたっています。

プロジェクトマネージャーが取得しておくべき資格

開発を発注する際の会社選び方のポイントとしか以下のような資格を持っているかでも判断に役立ちます。

資格1.プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャ試験は、IPA（情報処理推進機構）が認定している、プロジェクトマネージャーとしての知識や思考力を問う資格です。

この資格を持っているプロジェクトマネージャーは、プロジェクトマネジメントに関する知識やスキルを持っていると判断する際にも役立つでしょう。

資格2.ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験とは、情報処理推進機構（IPA）が実施している試験で、ITの戦略的な計画や管理に関する能力を評価する試験です。

この試験に合格しているプロジェクトマネージャーは、経営者の視点で戦略立案やプロジェクトの実行を進めることができると判断できます。

資格3.応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、IPA（情報処理推進機構）が認定している、ITエンジニアとしての知識、思考力を問う資格です。

基本情報技術者試験よりも上位の資格で、高度な知識とスキルを身に着けていると証明できます。

なおこの試験に合格しているとプロジェクトマネージャー試験の一部試験が免除になります。

資格4.PMP試験

PMP試験は、プロジェクトマネジメントの知識とスキルを評価する国際的な資格試験です。

プロジェクトの計画・開発・運用などプロジェクトマネジメントに関する専門的な知識を持っている証明になります。

プロジェクトマネージャーについてよくある質問

プロジェクトマネージャーとはどんな仕事？

プロジェクト全体の責任者としてプロジェクトにかかわる全体をまとめる役割を持っています。
プロジェクトの計画立案やスケジュール管理、予算・工数の割り出しといった幅広い業務が含まれます。

プロジェクトマネージャーが向いている人は？

色々な人とコミュニケーションを取りつつチームをまとめて目標達成をすることが得意な人に適しているといえるでしょう。
また急な事態にも適切に対応できる柔軟性を持っていることも求められます。