本記事では、AppSheetをオフラインで使用できる「オフラインモード」について解説します。
一般的なウェブアプリやウェブサービスでは、オンラインでの使用が前提となっています。
このため、建設現場やリモート地域での業務中に、ネットワークに接続できない状況が発生して業務に影響が出た経験をしたことある人は多いのではないでしょうか?
こんな時に便利なのが、ネットワーク接続がない状況でもアプリを利用できる「オフラインモード」機能です。
オフラインモードでは、オフライン状態であってもアプリを使用することができ、データの変更やメディアの利用も可能です。
さらに、オンラインになった際にデータの同期が自動的に行われます。
本記事では、業務改善アプリの構築に多く使われているノーコードツール「AppSheet」の「オフライン」機能について詳しく解説します。
AppSheetとは?
AppSheet=Googleが提供するノーコードツール
まず、国内外問わず多くの企業で導入されているツール「AppSheet」についてご紹介します。
AppSheetは、Googleが提供するノーコードでアプリ構築ができる開発ツールのひとつで、低コストで、柔軟かつ比較的高機能なアプリ構築ができる点に特徴があります。
【意味・定義】AppSheetとは?
AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。
AppSheetは国内外問わず多くの企業で使われているノーコードツールの一つで、プログラミングの知識がなくても簡単にカスタムアプリを作成できます。
ノーコード開発・ノーコードツールとは?
ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」や「ノーコード開発ツール」といいます。
【意味・定義】ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。
ノーコードツールは、従来のプログラミングに頼らずにビジネスユーザーや非技術者でも手軽にアプリ開発ができるようにするためのプラットフォームです。
AppSheetのメリット
AppSheetを導入するメリットは、以下の通りです。
AppSheetのメリット
- 導入コストの低さ
- 柔軟性とカスタマイズ性
- リアルタイムなデータ更新
- 開発時間の短さ
AppSheetは、独自の業務フローに合わせて機能を柔軟にカスタマイズできるので、企業の業務改善アプリの構築に使われることが多いです。
無料プランの提供もあるので、まずは無料でテストアプリを作ってみるのがおすすめです。
なお、AppSheetの料金プランにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
AppSheetの機能「オフライン」モードとは?
次に、AppSheetの機能「オフライン」モードについて詳しくみていきましょう。
一部機能をオフラインでも使用できる「オフライン」モード
オフラインモードは、主にオンラインでの使用が前提となるウェブアプリにおいて、オフラインでも(一部の機能を)使用できる機能のことです。
【意味・定義】オフラインモードとは?
オフラインモードとは、ユーザーがネットワーク接続のない状況でもアプリを利用できるようにする機能をいう。
一部のネイティブアプリは、完全オフラインで使用できるように設計されているので、事前にダウンロードしたコンテンツを表示したり、ローカルで処理を行ったりすることができます。
【意味・定義】ネイティブアプリとは?
ネイティブアプリとは、PCやスマートフォンなどのデバイスにインストールして利用される、特定のプラットフォームに最適化されたアプリケーションをいう。
他方で、一般的なウェブアプリは、オンラインでの使用が前提となっているため、オフラインでの使用がまったくできない場合もあります。
しかしながら、AppSheetは、オンラインでの使用が前提でありながら、(限られた機能ではあるものの)オフラインでも使える「オフライン」モードも実装されています。
オフラインモードの特徴
オフラインモードには、大きく以下の3つの特徴があります。
オフラインモードの特徴
- ネットワーク接続が不要
- ローカルデータを使用
- ネットワーク接続が再度可能になった際にデータを同期
オフライン機能を導入することで、ネットワーク接続がなくてもアプリやサービスを利用できます。
これにより、ユーザーは通信障害やネットワークの制約に関係なく、データの閲覧や操作が可能です。
【意味・定義】ローカルとは?
ローカルとは、デバイス内部やその近くのストレージやリソースを指し、ネットワーク接続が不要な状態をいう。
オンラインモードとオフラインモードの違い
オフラインモードに対し、オンラインモードは、オンラインでウェブアプリやネイティブアプリを使用している状態のことをいいます。
【意味・定義】オンラインモードとは?
オンラインモードとは、ユーザーがネットワークに接続され、リアルタイムでデータやサービスにアクセスできる状態をいう。
オンラインモードとオフラインモードの違いは、次のとおりです。
オンラインモードとオフラインモードの違い | ||
---|---|---|
オンラインモード | オフラインモード | |
ネットワーク接続 | 接続されている | 接続されていない |
データへのアクセス | リアルタイムでアクセス可能 | 事前にダウンロードしたデータのみアクセス可能 |
サービスへのアクセス | ネットワーク上のサービスにアクセス可能 | ローカルで提供されるサービスにのみアクセス可能 |
データ同期 | ネットワーク経由で同期が可能 | オフライン時に同期は不可能 |
利便性 | リアルタイムの情報やサービスへのアクセスが可能 | ネットワークに接続されていなくても一部の操作が可能 |
オンラインモード・オフラインモードのどちらを使うかは、ネットワーク接続の可否とデータ同期の必要性に基づいて決定することが多いです。
AppSheetのオフラインモードの設定
AppSheetが提供するオフラインモードでは、以下の設定が行えます。
AppSheetのオフラインモードの設定
- 設定1. オフライン時にアプリを使用
- 設定2. オフライン時にメディアを使用
設定1. オフライン時にアプリを使用
AppSheetのオフラインモードの設定の1つ目は、オフライン時のアプリの使用です。
AppSheetは、ユーザーがネットワーク接続がないオフラインの状況でも、アプリの機能を使うことができます。
オフラインで行ったデータの変更は、次回オンラインになったタイミングでまとめて同期されます。
これによって、常に最新のデータにアクセスが可能となります。
参照:オフラインと同期について(AppSheet公式ヘルプページ)
設定2. オフライン時にメディアを使用
AppSheetのオフラインモードの設定の2つ目は、オフライン時のメディアの使用です。
AppSheetでは、設定でオフライン時のメディアの利用を許可することができます。
これにより、アプリの初期読み込み時に、ユーザーのデバイスに写真やファイルなどのメディアのダウンロード・キャッシュされます。
データがキャッシュされると、ユーザーは、ネットワーク接続がない状況でも、写真やファイルなどのメディアにアクセスが可能となります。
【意味・定義】キャッシュとは?
キャッシュとは、一度取得したデータを一時的に保存し、再度アクセスする際に、同じデータを再取得する代わりにキャッシュから読み込むことをいう。
参照:データのキャッシュについて(AppSheet公式ヘルプページ)
「オフライン」モードを導入するメリット
「オフライン」モードを導入するメリット
- メリット1.インターネット環境に依存しない使用
- メリット2.通信費の節約
- メリット3.UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上
- メリット4.データ処理の時間の削減
- メリット5.セキュリティの向上
- メリット6.バッテリーの節約
以下では、AppSheetの「オフライン」モードを導入するメリットについて詳しく解説していきます。
メリット1.インターネット環境に依存しない使用
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの1つ目は、インターネット環境に依存しない使用です。
オフラインモードを導入することで、ユーザーは、インターネットに接続できない状況でもAppSheetで構築されたアプリを使用することができます。
これは、電波の届かない場所でのフィールド作業や移動中などで役立つだけではなく、一時的なネットワーク障害時にも便利です。
例えば、山岳地帯、地方の工場、倉庫、建設現場等のように、常時インターネットに接続できない場所における作業であっても、業務アプリとしてAppSheetを使用できます。
メリット2.通信費の節約
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの2つ目は、通信費の節約です。
オフラインモードが使用できるAppSheetは、デバイスを常時インターネットに接続して使用する必要はありません。
つまり、AppSheetは、サーバーのデータベースと同期する際にwi-fi等のインターネット回線に接続するだけでも、使用できます。
AppSheetで構築するアプリの機能にもよりますが、オフラインモードだけでも十分に使用できるように構築した場合は、デバイスごとのインターネット回線の契約が必要ではなくなります。
これにより、通信費を節約できます。
メリット3.UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの3つ目は、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上です。
AppSheetのオフラインモードは、データ自体はいったんローカルで処理します。
このため、ユーザーは、スムーズな操作や素早い応答によりデータ処理ができます。
これにより、ネットワークの待ち時間や通信エラーによるストレスが軽減され、UX(ユーザーエクスペリエンス)が向上します。
【意味・定義】UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーが商品・製品・サービス・アプリケーションを通じて得られる印象・体験をいう。
メリット4.データ処理の時間の削減
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの4つ目は、データ処理の時間の削減です。
AppSheetのオフラインモードでは、必要なデータを事前にキャッシュ保存しておくことができます。
これにより、オフラインの状態であっても、データのロードや処理にかかる時間を削減することができます。
このため、ユーザーは、オンラインの環境と変わらずに、ストレスなくAppSheetのアプリを使用できます。
メリット5.セキュリティの向上
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの5つ目は、セキュリティの向上です。
データがローカルに保存されるオフラインモードでは、ネットワークを介したデータの送受信がありません。
これは、データのセキュリティが強化にも繋がります。
ただし、オフラインモードで処理されたデータは、オンラインに復帰した後でサーバーのデータベースと同期されます。
この同期の際のセキュリティには注意が必要です。
メリット6.バッテリーの節約
AppSheetの「オフラインモード」を導入するメリットの6つ目は、バッテリーの節約です。
電波が届かない場所では、オフラインモードを使うことで、バッテリーの消費を抑えることができます。
充電が難しい環境でアプリを使う必要がある場合でも、長時間使用できるといったメリットがあります。
なお、電波が届かない場所では、スマホやタブレット端末は、電波を探すために電力を消費することがあります。
このため、オフラインで使用する場合は、いわゆる「機内モード」にすることで、デバイスのバッテリーの消費を抑えられます。
AppSheetの「オフライン」モードで開発したいアプリ
最後に、AppSheetの「オフラインモード」で開発したいアプリを、使うユーザーの職種別にご紹介します。
AppSheetの「オフライン」モードで開発したいアプリ |
|
---|---|
営業担当者 |
|
フィールドエンジニア |
|
配達ドライバー |
|
研究者 |
|
まとめ
AppSheetのオフライン機能は、ネットワーク接続がなくてもアプリを利用できる便利な機能です。
オフライン時にデータの閲覧や変更が可能であり、データの同期もオンラインになったタイミングで自動的に行われるため、作業の柔軟性が向上します。
特に、ネットワーク接続が不安定な環境や、建設現場、リモート地域などでの作業が頻繁に発生する場合に便利です。
また、常時インターネット接続の環境が必要でないため、通信費の節約にも繋がります。
このように、AppSheetは、ネットワーク環境に依存せず、また、通信費も節約できるため、業務アプリ・業務システムの構築に最適な開発ツールです。
当社では、こうしたAppSheetを含めたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。
業務アプリ・業務システムの開発・導入でお悩みの方は、今すぐご連絡ください。