AppSheetの料金プランは?業務アプリの無料枠についても解説

本記事では、Googleが提供するノーコード開発ツールであるAppSheetの料金プランについて解説しています。

働き方改革やDX推進により、プログラミングスキルがなくてもアプリケーション開発ができる開発ツールが注目されるようになりました。

こうした開発ツールの中でも、業務アプリケーションの構築が簡単なツールである「AppSheet」が人気を集めています。

AppSheetは、高機能であるにもかかわらず比較的簡単にアプリが構築できるだけでなく、無料を含めた柔軟な料金プランが用意されている点も特長です。

本記事では、こうしたAppSheetの概要、用途、料金プラン等について詳しく解説します。

AppSheetとは?

AppSheetは、GoogleCloudのサービスの1つとして提供される、ノーコード開発ができるアプリ開発のプラットフォームです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・事例についても解説

特に、小規模のアプリ開発であれば、低コスト・ハイスピードが実現できるため、注目されています。

AppSheetは、様々なデータベースとの連携が可能で、普段使用しているGoogleスプレッドシートやExelなどを使用してアプリ開発ができます。

また、AppSheetは専用のアカウントを作成する必要は無く、使用しているGoogleアカウントなどでサインインすれば、すぐにアプリ開発が始められます。

この他、AppSheetの詳細な解説につきましては、以下のページをご参照ください。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetの費用発生の仕組み

AppSheetには複数の料金プランがありますが、次の一定の条件のいずれかを満たした場合は、無料でアプリケーション開発が可能です。

AppSheetの無料利用が可能な範囲
  • 個人用のアプリケーション開発
  • アプリケーションのユーザーが10名以下
  • アプリケーションの検証をおこなうユーザーが10名以下

特に、開発したアプリケーションを、月10名までは無料プランのまま共有・テストできるため、フィードバックを収集して開発に反映できます。

無料のプランの場合は、外部へのメール送信やプッシュ機能など、一部制限される機能はありますが、その他の機能は全て無料で使えます。

AppSheetで無料でできることの具体例
  • アプリケーション制作
  • データソースの使用(DB含め)
  • 基本的なワークフローの設定
  • モバイルアプリケーションの利用
  • データの同期

なお、開発したアプリケーションを外部に公開(デプロイ)した場合、有償となります。

【意味・定義】デプロイとは?

デプロイとは、開発されたアプリを運用環境に配置し、当事者以外のユーザーが利用できるようにするプロセスをいう。

ただし、デプロイしなくても共有することで10人までは無料で使えます。

このため、開発したアプリケーションの有用性を現場で確認した後に、有料プランへ切り替えることも可能です。

AppSheetの料金表

AppSheetには、無料プランに加えて以下4つの有料プランがあります。

プランごとに使えるデータベース数、各データベースのレコード上限数、機能などが異なります。
※機能差の解説は後述

AppSheetの料金表
費用(ユーザー単位) データベース数 データベースのレコード上限数
Starter $5.00/月 5 2500
Core $10.00/月 10 2500
Enterprise Standard 問い合わせ 200 200,000
Enterprise Plus 問い合わせ 200 200,000

参照:AppSheetの公式サイト
※Enterprise StandardプランとEnterprise Plusプランの料金は、別途見積もりになっています。

Google Workplace ユーザーにお得な情報

2023年8月以降、Google WorkspaceのユーザーはCoreプランが無料で利用可能になりました(詳細は後述)。

各料金プランをご紹介

各料金プランの詳細は、以下でご紹介します。

プラン1. Starter

AppSheetの料金プランの1つ目は、Starterプランです。

Starterプランはアプリケーション開発に必要な基本機能が備わっています。

このため、個人や小規模のアプリケーション開発におすすめです。

Starter以上で使える主な機能
基本機能と自動化
  • データ表示機能(テーブルやチャート、ダッシュボードなど)
  • ブランディングとデザイン(カラーテーマ設定やローカライゼーションのカスタマイズ)
  • ログイン機能(Google、Microsoft、Dropbox、Boxなどを介したログイン)
  • 自動通知機能(メール、SMS、プッシュ通知)
  • Google Workspace連携
  • Excelデータ連携(Microsoft Excel)
標準的な認証プロバイダ
  • Google
  • Microsoft
  • Salesforce.com
  • Dropbox
  • Box
ガバナンスポリシー
  • パフォーマンスのためのリソース割り当て(低)
  • アプリケーションの監査ログ
  • アプリケーションのバージョン履歴
サポート
  • AppSheetコミュニティ(ユーザー同士の情報交換)
  • ヘルプ記事およびドキュメンテーション

プラン2. Core

AppSheetの料金プランの2つ目は、Coreプランです。

CoreプランはStarterプランの全機能に加えて、高度な機能やセキュリティが実装されています。

このため、中規模ビジネスでのアプリケーション開発におすすめです。

Core以上で使える主な機能
高度な機能と自動化
  • データ入力の迅速化(バーコードスキャンとNFC)
  • 自動化とWebhook(アプリケーションのイベント・スケジュールに基づくデータ変更)
  • 自然言語スマートアシスタント
セキュリティ機能
  • 役割やグループによるユーザーの管理
  • セキュリティフィルター
  • 役割によるユーザーのデータ更新制限
  • デバイス内の暗号化
サポート
  • メールでの問い合わせ

プラン3. Enterprise Standard

AppSheetの料金プランの3つ目は、Enterprise Standardプランです。

Enterprise StandardプランはCoreプランの全機能に加えて、高度なデータ管理や認証が提供されます。

このため、特に企業での大規模なアプリケーション開発特定のビジネスプロセスの自動化が必要な開発に適しています。

チームでの共同作業に対応しているのもポイントです。

Enterprise Standard以上で使える主なプラン
機械学習
  • 光学文字認識
  • 機械学習モデリング
高度なデータ管理
  • Salesforce.com
  • OpenAPI
  • 外部サービスおよびREST API
  • Apigee連携
  • BigQuery連携
高度な認証
  • Active Directory
  • OpenID Connect
  • Okta
  • Cognito
高度なユーザーおよびデータ管理
  • アプリケーション開発の工程管理
  • 自動エラーレポート
  • ユーザー操作のトラッキング
チームでの共同作業
  • 共有のデータソース
  • 共有の認証ソース
  • 共有の連携
ガバナンスポリシー
  • パフォーマンスのためのリソース割り当て(中)
  • アプリケーションの作成の制限
  • アプリケーション作成者への自動レポートとアラート
  • チームの監査ログのエクスポート
  • チームメンバー間でのアプリケーションやデータベースの転送
  • 組織、チームの階層の管理
  • チーム、組織のガバナンスポリシーの施行
サポート
  • 優先的なサポート

プラン4. Enterprise Plus

AppSheetの料金プランの4つ目は、Enterprise Plusプランです。

Enterprise PlusプランはEnterprise Standardプランの全機能に加えて、Google AIなどの高度なサービスや更なるガバナンスポリシーが実装されています。

このため、大規模で複雑なアプリケーション開発展開ニーズを持つ大企業や組織に最も向いているプランです。

Enterprise Plus以上で使える主な機能
エンタープライズデータサービス
  • OData
  • Google AI (Doc AI)
ガバナンスポリシー
  • パフォーマンスのためのリソース割り当て(高)

Google Workspaceを利用している場合は無償

AppSheetのライセンスは、2023年7月までGoogle Workspaceの一部プランにのみ含まれていました。

2023年8月以降は、Google Workspaceのほぼ全てのプランでCoreプランを無料で利用できます。

これにより、Google Workspaceを用いるさまざまな規模の企業やチームが、追加ライセンスを購入せずにAppSheetを使ったアプリケーションの構築が可能になりました。

AppSheet・Google Workspaceでできることの具体例
  • Google Sheetsを使ってアプリケーションを構築
  • Google Chatからアプリケーションへアクセス
  • Gmailからアプリケーションへアクセス
  • Google Calendarを使ったスケジュール連携

上記の通り、多数のGoogleアプリケーションやサービスと連携可能なため、効率的な業務プロセスを構築できます。

【意味・定義】ライセンスとは?

ライセンスとは、システム・アプリケーションソフトウェアなどの特定の知的財産権(著作権等)の利用許諾・使用許諾をいう。

参照:Google Workspace公式サイト / AppSheet公式サイト

AppSheetではどういったアプリケーションが開発できる?

AppSheetを活用した業務アプリの具体例

AppSheetは、プログラミングの知識がなくても簡単にアプリケーションを開発できるプラットフォームです。

企業独自のニーズや業務フローに合わせて自由にカスタマイズ可能で、業務効率化に役立つアプリケーションの構築に向いています。

AppSheetで開発できるアプリケーションの具体例
アプリケーションの用途 連携すると便利なGoogleのサービス
在庫管理システム
  • 商品や資産など、在庫情報の追跡
  • Google Sheets
  • Google Map
日報管理システム
  • 日々の業務や活動の報告
  • 進捗や成果の集計と管理
  • Google Sheets
  • Google Calendar
予約・受注管理システム
  • 予約や注文の受付
  • 予約状況の管理・把握
  • Google Sheets
  • Google Maps
社内承認システム
  • 社内のさまざまな承認プロセス処理
  • Google Sheets
  • Gmail
  • Google Chat
タスク管理システム
  • チームや個人の業務タスクの追跡
  • 進捗状況の可視化
  • Google Sheets
  • Google Calendar
  • Google Maps
  • Google Drive
顧客管理システム
  • 顧客情報や取引履歴などの記録
  • サービス提供の最適化
  • Google Sheets
  • Gmail
  • Google Drive
  • Google Calendar
  • Google Contacts

AppSheetを利用すると社内データや作業効率が可視化され、ワークフロー改善やDX化を行えます。

【意味・定義】DX化とは?

DX化とは、組織がデジタル技術を使って業務やサービスの改善を進め、効率性や競争力を向上させるプロセスをいう。

まとめ

社内で業務改善アプリケーションを導入する場合、なるべくコストは抑えたいものです。

AppSheetは、開発したアプリーションを外部に公開しない限り無料で使い続けられます。

デプロイする場合も、用途や規模に合わせて料金プランを選べるため使い方の幅が広ります。

Google関連のサービスと連携すると、Google WorkspaceのデータはAppSheetで構築するアプリケーションで利用可能です。

またGoogle Workspaceを使っている企業であれば、AppSheetのCoreプランを無料で使えます。

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