
本記事では、ノーコードツールを活用した案件管理のツール・アプリの開発や導入をするメリットとポイントをご紹介します。
案件管理は、業務の効率化やタスクの進捗管理を適切に行うために欠かせない業務です。
適切に管理できていないと、納期の遅れやタスクの抜け漏れが発生し、業務の生産性や成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうした課題を解決する方法の一つが、ノーコードツールを活用した案件管理ツール・アプリの構築です。
本記事では、業務ニーズに合わせて案件管理を電子化・自動化できる、ノーコードツール活用のメリットを詳しく解説します。
案件管理の課題とニーズ
まず、案件管理の課題とニーズをご紹介します。
案件管理とは
案件管理は、企業活動における各種案件の管理するための業務をいいます。
【意味・定義】案件管理とは?
案件管理とは、企業や組織において発生する各種案件(プロジェクト、取引、商談など)を計画的かつ効果的に進めるための一連の業務をいう。
ひと言で「案件管理」と言っても、「案件」が何なのかによって、意味合いが変わってきます。
このため、「案件管理」という表現を使う場合、どういう意味で使っているのかをすり合わせることが重要となります。
また、案件管理には、採算管理、工数管理、予算管理、予実管理などが密接に関連しています。
【意味・定義】採算管理とは?
採算管理とは、企業や事業の収益性を確保するために、収入と支出を把握・分析し、コスト削減や利益最大化を図る管理プロセスをいう。
【意味・定義】工数管理とは?
工数管理とは、業務やプロジェクトにかかる作業時間(工数)を計測・分析し、効率的なリソース配分や生産性向上を図る管理プロセスをいう。
【意味・定義】予算管理とは?
予算管理とは、企業やプロジェクトの目標達成のために、収入と支出の計画を策定・監視し、適切にコントロールする管理プロセスをいう。
【意味・定義】予実管理とは?
予実管理とは、計画(予算)と実績を比較・分析し、差異の原因を把握して改善策を講じる管理プロセスをいう。
案件管理の業務には、これらの管理が含まれることもあります。
このため、どの程度の範囲の「案件」の管理を意味しているのかも重要となります。
案件管理の課題
従来の案件管理には以下を初めとする課題が存在します。
案件管理の課題
- 情報の一元管理・可視化が困難
- 正確な進捗管理が困難(タスクの重複や抜け漏れ)
- コミュニケーション不全
- 手作業によるエラー発生
- 非効率な作業
これらの課題を解決するために効果的なのが、案件管理ツール・アプリの導入です。
案件管理ツール・アプリの利用目的
案件管理ツール・アプリの利用目的
- 効率的な運営サポート
- データの一元管理とリソースの最適化
- 進捗状況の可視化による業務の効率化や自動化
- チーム間の協力・コミュニケーション強化
- 報告・分析の効率化
- リスク管理の強化と問題解決の迅速化
案件管理ツール・アプリを導入することで、業務の透明性を高め、チーム全体のパフォーマンスを向上できます。
案件管理ツール・アプリは事業内容や規模によって要検討
機能・コストが多種多様の案件管理ツール・アプリがある
案件管理ツール・アプリは、企業の営業活動に必須のものであることから、無料、低コストなものから、高機能で高額なものまで幅広くあります。
こうした多くの案件管理ツール・アプリから最適なものを選ぶためには、業務の規模やニーズに合ったツール・アプリを選定することが重要となります。
例えば、多くの案件を同時に管理し、進捗やコスト、リソースを細かく把握する必要がある業種や大企業では、高度な機能を備えたツール・アプリが役立ちます。
一方、少数の案件を効率的に管理したい場合や、特定の業務プロセスをスムーズに進めることが目的であれば、シンプルなツールで十分な場合もあります。
エクセル・スプレッドシートによる案件管理表の問題点とは?
特に、いわゆる「案件管理表」による管理をしている場合は、エクセルやスプレッドシートを使うことが多いでしょう。
【意味・定義】案件管理表とは?
案件管理表とは、案件管理に使われる表敬式のデータや表であって、案件管理に必要な項目が網羅的に記載されたものをいう。
エクセルやスプレッドシートによる案件管理表での管理は、無料・低コストでの案件管理ができるため、多くの企業で導入されていることでしょう。
しかしながら、そもそもエクセルやスプレッドシートは、表計算ツール・アプリであって、案件管理に特化したツール・アプリではありません。
このため、これらは複雑な管理や処理には向いていませんし、無理やり複雑な処理ができるように開発しても、かえってコストが高くつきます。
特に、エクセルによる管理の場合は、使い方によっては情報の共有が著しく制限されることとなるため、組織単位での案件管理には向きません。
まずは低コストのノーコードツールによる案件管理がオススメ
そこでオススメしたいのが、近年注目を集めているノーコードツールによる案件管理です。
ノーコードツールを活用すれば、企業やチームの業務に合わせた案件管理ツール・アプリを、低コストかつ短期間で構築できます。
しかも、ノーコードツールはカスタマイズ性が高いため、企業独自のニーズにも応えやすい、という特徴があります。
このため、高価なパッケージソフトやシステムを導入する必要まではないものの、エクセルやスプレッドシートによる案件管理に限界を感じている企業にとっては、検討に値する選択肢となります。
ノーコードツールとは?
続いて、ノーコードツールについてみていきましょう。
ノーコード開発=プログラミング不要の開発手法
続いて、ノーコードツールについてみていきましょう。
ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、ノーコード開発ツールを使用してアプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
ノーコード開発の手法を取る際に必要になるのが、ノーコードツールやノーコード開発ツールです。
【意味・定義】ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。
ノーコードツールは様々な会社が提供しており、大部分は同じですが、ツールによって機能が少し異なります。
このノーコードツールを使うことで、ドラッグ&ドロップするだけでアプリの開発を可能にします。
ノーコードツールが注目される理由
近年、ノーコード開発が世界で注目を集めている理由は、主に以下の4つです。
ノーコード開発が注目される4つの理由
- IT人材の不足
- クラウドサービスの一般化
- 大企業のノーコード開発への参入
- DX促進
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するメリット
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するメリット
- メリット1. 低コスト・短期間で導入が可能
- メリット2. 柔軟なカスタマイズが可能
- メリット3. 業務フローに即した迅速な変更が可能
- メリット4. モバイル対応が可能
以下では、各メリットについて詳しく解説します。
メリット1. 低コスト・短期間で導入が可能
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するメリットの1つ目は、低コスト・短期間で導入が可能な点です。
ノーコードツールは、開発費用だけでなく、ランニングコストも従来の方法と比べて低く抑えられます。
また、ノーコードツールによっては、無料で利用できるものもあります。
これは、スクラッチ開発の場合と比べて、大きなメリットと言えます。
【意味・定義】スクラッチ開発とは?
スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。
結果的に高くつく場合もあり得る
ただし、ノーコードツールは、自由に開発ができるスクラッチ開発などとは異なり、機能が制限されることもあります。
こうした場合であっても、追加のプラグインやカスタマイズをすることで、柔軟に対応できることもあります。
もちろん、こうしたプラグインやカスタマイズには、費用が発生することがあります。
その結果、コストや導入期間が予想以上に増加することがあります。
以上の点から、ノーコードツールによって案件管理ツール・アプリを開発する場合には、仕様を明確化したうえで、その仕様を実現できるノーコードツールを選定することが、極めて重要となります。
メリット2. 柔軟なカスタマイズが可能
ノーコードツールで案件管理をツール・アプリを開発するメリットの2つ目は、柔軟なカスタマイズが可能な点です。
ノーコードツールは直感的に操作できるため、比較的簡単に利用でき、企業やチームのニーズに応じた設定が可能です。
特に、案件管理ツール・アプリのユーザーは、ITスキルが必ずしも高くない場合も多いため、使いやすさが重要となります。
また、特別な要件や業務フローにも対応できるため、迅速に導入・運用することができます。
カスタマイズの具体例
- 情報(例:クライアントの詳細、進捗状況、担当者など)の追加・変更を容易化
- 手順や通知設定を変更し、承認フローや進捗のステータスをカスタマイズ
- ダッシュボードやリストビューを、ユーザーの使いやすさを重視したデザインに変更
一方で、複雑な計算式や条件分岐が必要な場合は、プログラミングを用いたカスタマイズが求められることもあります。
メリット3. 業務フローに即した迅速な変更が可能
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するメリットの3つ目は、業務フローに即した迅速な変更が可能な点です。
ノーコードツールはプログラミングなしで迅速に修正や更新ができます。
このため、案件管理の業務に変化や追加が生じても、スピーディに対応できます。
業務フローに即した迅速な変更の具体例
- 案件管理の作業フローに追加された新たなチェック項目の追加
しかし、大規模な変更が必要な場合は適用に時間がかかることがあり、業務全体の整合性を保つために追加の調整作業が必要になる場合があります。
メリット4. モバイル対応が可能
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するメリットの4つ目は、モバイル対応が可能な点です。
ノーコードツールの中には、モバイル対応のツール・アプリを簡単に構築できるものもあります。
しかも、ノーコードツールの中には、(一定の機能制限があるものの)オフラインであっても使えるものもあります。
これにより、ネット環境がない外出先であっても、案件管理が可能になります。
モバイル対応の具体例
- 営業先から案件の進捗状況を確認・更新できる
一方で、高度なインターフェースやパフォーマンスを求める場合、ノーコードツールで作成したモバイルアプリに機能制限が生じることがある点には注意が必要です。
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するポイント
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するポイント
- ポイント1. ユーザーインターフェースの直感性を重視する
- ポイント2. データの整合性を保つ仕組みの導入
ポイント1. ユーザーインターフェースの直感性を重視する
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するポイントの1つ目は、ユーザーインターフェースの直感性を重視することです。
【意味・定義】UI(ユーザーインターフェース)とは?
UI(ユーザーインターフェース)とは、Webサービスやアプリなどのサービスを利用するユーザーとサービスを提供する機器や道具の接点をいう。
ツール・アプリを導入の目的は、ユーザーの作業効率を向上させることにあります。
そのため、直感的で分かりやすいインターフェースを提供することが非常に重要です。
操作を簡単にし、情報の入力や確認がスムーズに行えるように設計することが求められます。
直感的なユーザーインターフェースの具体例
- シンプルなフォームやダッシュボードで簡素化
- 操作手順のステップガイドを提供
- 色分けやアイコンなどで視覚的な理解を促進
ポイント2. データの整合性を保つ仕組みの導入
ノーコードツールで案件管理ツール・アプリを開発するポイントの2つ目は、データの整合性を保つ仕組みの導入です。
営業管理業務は、複数の担当者や部門が関わることが多いため、データの整合性を保つことは非常に重要です。
この点について、入力制限や自動チェック機能を実装することで、データの入力ミスや重複を防ぎ、効果的に整合性を確保することができます。
データの整合性を保つ仕組みの具体例
- 必須項目や重複登録を検閲するバリデーションを設定
- 複数のフィールド間で関連性を持たせ、情報の整合性を確保
- データ入力時のエラーチェック自動化による警告
案件管理業務のノーコード開発活用例
最後に、案件管理業務に向いたノーコード開発ツールの具体例をご紹介します。
案件管理業務に向いたノーコード開発ツール
- AppSheet
- Bubble
- Glide
AppSheet
「AppSheet」は、Google Workspace(GWS)と連携したスケジュール管理に最適なノーコードツールです。
【意味・定義】AppSheetとは?
AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。
GoogleスプレッドシートやGoogleカレンダーと連携することで、業務請負のプロセスとスムーズに統合可能です。
具体的な活用例として、Googleカレンダーと連携した案件スケジュール管理アプリを、AppSheetを活用して構築する方法をご紹介します。
主な機能 |
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案件ごとの進捗管理 |
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担当者ごとのスケジュール表示 |
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重要な日程の自動反映 |
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スプレッドシートをデータベースとして活用 |
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AppSheetは、他のノーコードツールと比べて、特に業務アプリに向いた機能が豊富な点に特徴があります。
このため、ノーコードツールの中でも総合的に高機能な案件管理アプリの開発を目指すのであれば、AppSheetは有力な候補となります。
Bubble
「Bubble」は、カスタマイズ性の高いイベントスケジュール管理に最適なノーコードツールです。
【意味・定義】Bubble(ノーコード開発ツール)とは?
Bubble(バブル)とは、プログラミングの知識がなくてもビジュアブルな操作でウェブアプリが開発できるノーコードプラットフォームをいう。
Bubbleは、DB設計が自由に行えるので、詳細な案件情報の管理が可能です。
ワークフローなどの業務フローのカスタマイズが求められる案件管理ツール・アプリの開発に適しています。
具体的な活用例として、ワークフロー自動化付きの案件管理ツール・アプリを、Bubbleを活用して構築する方法をご紹介します。
主な機能 |
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案件ごとの進捗管理 |
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コメント・ファイル共有 |
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見積・請求書の自動作成・送信 |
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期限の自動通知 |
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スケジュールの可視化 |
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また、Bubbleは、他のノーコードツールと比べて、デザインの自由度が高い、という特徴があります。
このため、進捗状況の可視化、分析など、見た目での判断を重視する案件管理アプリを開発する場合は、Bubbleが有力候補となります。
Glide
「Glide」は、モバイル向けのシンプルなスケジュール管理に最適なノーコードツールです。
【意味・定義】Glide(グライド)とは?
Glide(グライド)とは、ノーコードツールの一種で、プログラミングのスキルがなくてもスプレッドシートからデータを利用してウェブアプリを構築できるプラットフォームをいう。
【意味・定義】ウェブアプリとは?
ウェブアプリとは、ウェブ技術(HTML、CSS、JavaScriptなど)を使用して開発され、ユーザーがウェブブラウザを通じて様々なプラットフォームで利用可能なアプリケーションをいう。
Glideを活用すれば、スマートフォンやタブレットから手軽に案件を管理できます。
具体的な活用例として、外出先からでも簡単に更新できる案件管理アプリを、Glideを活用して構築する方法をご紹介します。
主な機能 |
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案件の進捗を一覧表示 |
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クライアント・担当者情報管理 |
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進捗状況のタグ分類 |
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Googleスプレッドシート連携 |
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案件詳細の共有 |
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Glideは、設計、開発、操作がシンプルであり、比較的デザイン性も高い点に特徴があります。
この点から、高機能である必要がなく、モバイルでも簡単に動くUIの案件管理アプリが必要な場合は、Glideが有力候補となります。
まとめ
案件管理ツール・アプリを開発するを導入すると、案件の一元管理が可能になります。
業務プロセスやタスクの進捗を効果的に整理できますが、現場の実態や業務に合わない場合は、期待した効果を十分に得られません。
リスクや課題に対応する方法の一つが、ノーコードツールを活用した案件管理ツール・アプリを開発です。
低コストかつ短期間で最適な案件管理の自動化、業務に合わせたカスタマイズが実現できるため、柔軟な運用を求める方におすすめです。
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