顧客管理とは?効率化や脱エクセルのソフト・システム・アプリの導入方法を解説

本記事では、顧客管理の基本と、紙やエクセルでの管理からソフト・システム・アプリの導入による業務の効率化のポイントについて解説します。

顧客管理とは、顧客に関するデータや情報を管理することをいいます。

顧客管理業務は、売上の拡大のみならず、顧客満足度の向上やトラブルの未然防止など、あらゆる顧客との関係性において重要となります。

しかしながら、顧客管理の業務は、しばしば紙やエクセルが使われ、情報分散や属人化が生じやすく、業務の非効率化を招くことも少なくありません。こうした課題を解決する方法として、顧客管理のソフト・システム・アプリ化が注目されています。

特に、ノーコードツールを活用すれば、既存のパッケージソフトやシステムとは異なり、比較的低コストで自社の顧客管理業務に適合したソフト・システム・アプリを導入でき、業務の効率化が達成できます。

本記事では、こうした顧客管理業務の概要や課題を整理し、最適なソフト・システム・アプリ化の方法を詳しく解説します。

顧客管理とは

顧客情報=顧客の情報・データ・関係の管理

はじめに、顧客管理の概要をみていきましょう。

【意味・定義】顧客管理とは?

顧客管理(Customer Relationship Management / CRM)とは、顧客に関する情報・データや関係を一元管理し、営業やマーケティングに活用する一連の活動をいう。

顧客管理には、顧客情報の収集・管理、関係構築、ニーズの把握といった活動が含まれます。

顧客管理業務で把握する情報やデータはあらゆる事業活動の基礎となりますので、効率よく、正確に、大量に情報・データを把握することが重要となります。

そのうえで、それぞれの顧客に適した対応が満足度の向上や売上拡大に寄与し、継続的な関係を築くことで長期的なビジネスの成功につながります。

管理するべき顧客情報・顧客データとは?

顧客管理業務において管理するべき顧客情報・データは、企業の業種や、顧客が事業者であるか消費者であるか等によって異なります。

一般的には、以下の基礎的な情報・データが、共通して管理や収集の対象となります。

収取・管理するべき顧客情報・顧客データ(事業者の場合)
  • 会社名(商号・屋号・氏名)
  • 所在地(住所)
  • 業種
  • 事業内容
  • 従業員数
  • 資本金
  • 連絡先(電話番号・FAX番号・メールアドレス)
  • 担当者情報(氏名・部署・役職・連絡先)

この他、業種や商材によって、取引の履歴、通話・会話・メール等のコミュニケーションの履歴、取引条件や契約内容などを管理することもあります。

また、特に消費者が顧客である場合や、決裁権者の権限が強い場合などは、そういった個人の趣味・嗜好・価値観などの情報を取得・管理することもあります。

これらの顧客情報・顧客データを取得・管理・分析し、事業活動に活かすことが、顧客管理の重要なポイントとなります。

顧客管理の課題とソフト・システム・アプリ導入による解決策

顧客管理にはいくつもの課題が存在します。

顧客管理の課題
  • 課題1. エクセル管理の限界
  • 課題2. 属人化による業務の停滞
  • 課題3. 情報を一元管理できていない

これらの課題により、業務の非効率化や業績の機会損失が発生する可能性があります。

解決策としておすすめなのが、顧客管理ソフト・システム・アプリの導入です。

以下では、課題それぞれの解決策を詳しく解説します。

課題1. エクセル管理の限界

エクセルでの顧客管理には大きなデメリットがある

顧客管理の課題の1つ目は、エクセル管理の限界です。

小規模事業者や、中小企業では、顧客管理をエクセルでおこなっている場合もあるでしょう。

エクセルは、WindowsPCに標準で搭載されていることが多いため、低コストで使用でき、また、使い慣れている方が多い点や、多くのPCで使える点がメリットと言えます。

しかしながら、エクセルでの顧客管理には、以下の通りさまざまなデメリットがあります。

問題点

データ入力や更新に時間がかかる

  • データが増えて重くなり、開くのも遅い
  • 誰かが編集していると、ロックされてしまい作業が止まる
  • 複数人で編集すると、上書きミス等が発生する

 

過去の対応履歴や最新情報の把握が難しい

  • バージョン管理ができず、最新のデータを誰が持っているか不明

 

手動管理によるミスや重複データが発生する

  • 電話番号やメールアドレスを打ち間違えてしまい、重要な連絡がとれない

 

統計分析が難しい

  • 関数、マクロ、VBA等であらかじめ設計しておかないと、検索、データ抽出、可視化、統計分析が難しい

この通り、エクセルでの顧客課題が多く、業務の効率化や正確な情報共有は困難を極めます。

特に、エクセルは本来は表計算ソフトであるため、統計分析以外の点については、本来は顧客管理に向いたソフトではありません。

また、肝心な統計分析についても、関数・マクロ・VBAなどのスキルがないと、実効性が高い顧客管理のための統計分析はできません。

このため、エクセルのみで効果的・効率的な顧客管理は限界があり、せっかくの顧客情報や顧客データも宝の持ち腐れとなってしまいます。

顧客管理ソフト・システム・アプリの導入がおすすめ

上記の問題点を解消するには、クラウド型顧客管理ソフト・システム・アプリの導入がおすすめです。

顧客管理ソフト・システム・アプリは、顧客情報を一元管理でき業務効率化が図れる上、リアルタイムでの更新が可能になり、同時編集によるミスやデータの重複を防げます。

また、過去の対応履歴や購買履歴も把握できるためデータの信頼性が向上し、よりスムーズで明確な顧客対応を実現させられます。

さらに、統計分析を前提としたソフト・システム・アプリを導入することで、効率よく営業活動や商品開発に顧客データを利用できます。

課題2. 属人化による業務の停滞

顧客管理の課題の2つ目は、属人化による業務の停滞です。

特定の人物に依存した情報管理や対応が多いと、担当者の休暇や退職によって業務が滞り、顧客対応に支障をきたすことがあります。

問題点

特定の担当者に情報が集中し、引き継ぎが難しい

  • 顧客情報は営業担当しか把握していない
  • 担当が休んだり辞めたりすると、クライアント対応ができなくなる

 

担当者が退職・異動すると対応が滞る

  • 過去の商談履歴やクレーム対応の経緯が個人メールにしかなく、情報共有が難しい

 

標準化されたフローがなく、新人が適切な判断や対応を行えない

  • ベテラン社員の勘や経験に頼りすぎて、新人は何をすればいいかわからない

顧客管理ソフト・システム・アプリを導入すると特定の担当者に依存せず、商談や対応の履歴を一元管理できるため、誰でもスムーズに対応可能です。

また、AIチャットボットを活用すれば、定型的な問い合わせ対応を自動化でき、業務負担の軽減が期待できます。

さらに、社内Wikiを活用してナレッジを共有することで業務の標準化はさらに進み、新人でも適切な対応が行えるようになります。

課題3. 情報を一元管理できていない

顧客管理の課題の3つ目は、情報を一元管理できていないことです。

営業・サポート・マーケティングなど、部門ごとに情報が分散していると、顧客対応が遅れたり誤ったりする場合があります。

問題点

営業・サポート・マーケティング間で情報が分断される

  • 部門別のツールで顧客情報を管理していて、一元化されていない

 

顧客ごとの最新状況を担当者間や部門間で共有できず、対応が遅れる

  • メールやチャットでやりとりした情報が個人の手元に残り、チームで共有できていない
  • 過去にクレームを受けた顧客に、無神経な営業電話をかけてしまった

顧客管理ソフト・システム・アプリを活用すると最新の顧客情報を全社で共有でき、営業・サポート・マーケティングなどの部門間の連携がスムーズになります。

特に、顧客データをダッシュボード化すると、リアルタイムで状況を把握できるため、迅速で適切な対応も可能です。

また、過去の対応履歴を参照することで、顧客に合わせた最適なコミュニケーションを実現できます。

顧客管理ソフト・システム・アプリを使った業務フローの具体例

このように、顧客管理ソフト・システム・アプリを導入すると、各部門の連携がスムーズになり、業務フローを効率化できます。

以下は、顧客管理ソフト・システム・アプリを使った業務フローの具体例です。

顧客管理ソフト・システム・アプリを使った業務フローの具体例
1. 営業が新規顧客を獲得 スマホアプリから即座にCRMへ登録し、リアルタイムで情報を共有
2. サポート担当がフォロー CRM上のデータをもとに適切なサポートを提供し、顧客満足度を向上
3. マーケティング施策の最適化 過去の対応履歴や顧客データを活用し、一人ひとりに最適なアプローチを実施
4. 顧客の行動データを分析 購入履歴や行動パターンを分析し、精度の高い営業・マーケティング施策を展開
5. スムーズな引き継ぎを実現 退職や異動が発生しても、システムに蓄積された情報を活用し業務の停滞を防ぐ

顧客管理ソフト・システム・アプリを導入することで各部門が情報を共有し、業務の効率化・顧客満足度の向上・継続的なビジネス成長を実現できます。

これらは、あくまで個別の営業活動に関する部分のみにフォーカスしていますが、顧客情報や顧客データの統計分析をおこなうことで、マーケティングの施策を立案したり、商品開発に活かしたりと、他の事業部門でも活用できます。

自社に最適な顧客管理方法を選ぶポイント

導入や運用にかかるコストが大きい場合、収益を圧迫する可能性もあるため、コストパフォーマンスを十分に考慮した選択が求められます。

自社に最適な顧客管理手法を選ぶために重要なポイントをご紹介します。

自社に最適な顧客管理方法を選ぶポイント
事業規模(顧客数)や業種(BtoB/BtoC)
  • シンプルな管理ツールから高度なCRMまで、顧客数や業種に応じて最適なシステムを選ぶ
    • 小規模事業の場合は低コストで導入できるExcelやクラウドCRM、ノーコードツールを活用
    • 大企業や複雑な業務の場合はカスタマイズ性を重視し、自社開発、高度なCRMやエンタープライズシステムの導入を検討
課題と必要な機能
  • 顧客分析や営業管理の効率化など、目的に応じた機能を備えたツールを選定
    • 特定の業務に合わせた項目が必要ならカスタマイズ性が高いツール(ノーコード / 自社開発)を採用
    • 汎用的な機能で十分なら市販CRMを活用
予算・コスト、社内リソースの有無
  • 導入・運用コストや社内のITスキルを考慮し、手軽に導入できるツールか、専門人材が必要なシステムかを判断
    • ITリテラシーのある担当者がいればノーコードツールで内製も可能
    • 専門人材がいない場合は、サポートが充実したパッケージ型CRMを選ぶと安心
スケーラビリティ(将来の成長対応)
  • 将来的なデータ量増加や機能追加にも対応できるか確認し、事業の成長に合わせて拡張可能なシステムを選ぶ
  • 既存システムとの連携や運用体制の整備も重要
    • 成長を見越して数万件規模のデータを扱うなら堅牢なCRMや自社開発を検討
    • 数千件規模ならノーコードツールでも対応可能

顧客管理ソフト・システム・アプリ導入の手順

続いて、顧客管理ソフト・システム・アプリ導入の一般的なプロセスを段階的に説明します。

顧客管理ソフト・システム・アプリ導入の手順
1. 導入計画の策定
  • 自社の現状の課題をしっかりと洗い出し、顧客管理において実現したいこと(目的)や、上げたい成果(KPI)を明確にする
    • 期待する改善内容、達成すべき目標を明確化し、今後のプロセスをスムーズに進める土台を作る
2. 要件定義
  • 実際に管理したい顧客情報・顧客データや必要な機能を整理する
    • 名寄せ(重複する顧客情報・顧客データを統合する)機能
    • バリデーション(入力する顧客情報・顧客データを簡略化・効率化するルールを決める)機能
    • 分析レポート(顧客データを視覚化し、意思決定をサポートする)機能など
  • 必要項目(商談、受発注、対応の履歴など)を洗い出し、管理するデータを明確にする
  • 利用する統計分析を選定し、テストデータなどで試算してみる
  • 過去データの新システム移行計画も立て、方法やスケジュールを検討する
  • 顧客情報・顧客データの内容に応じた必要なレベルのセキュリティを決定する
3. ツール・方法の選定
  • 市販のCRMツール(顧客関係管理ツール)やノーコードツールを検討・試用し、必要な機能が揃ったシステムを選定する
  • 導入や運用のコスト、今後の拡張性も考慮し、将来的な成長を見据えて選択する
4. 設計・設定/開発
  • 選んだツール・方法に基づいてシステムを構築
    • 自社開発:開発プロジェクトをスタートさせてシステムを作成する
    • 市販のCRMツール:自社のニーズに合った初期設定とカスタマイズを行う
    • ノーコードツール:アプリ画面の設計や試作を行い、ユーザーが直感的に使えるインターフェースを作成する
  • システムの仕様を確定し、実務で活用できる設計を行う
5. テスト運用
  • 本格稼働前にテストデータで動作を検証して問題点を洗い出し、本番運用のリスクを最小限に抑える
    • ユーザーのフィードバックから、期待通りに機能するか確認する
  • システムに不具合がないか、データが正確に反映されるかなど、細かく確認し、必要に応じて修正を加える
6. 社内展開(トレーニング)
  • 新システムの運用ルールを社内に周知する
  • 基本操作から日常的な利用法、トラブルシューティングまで、幅広い研修を行う
  • 全社員が円滑に使用できる状態にし、導入後のスムーズな移行を実現する
7. 本番運用開始と評価
  • 定期的にKPI(顧客満足度や商談成約率など)の達成状況をモニタリングし、目標通りの成果を上げているか評価する
  • 問題が発生した場合や改善点が見つかった場合は、より効果的な設定や運用フローに改善する

顧客管理ソフト・システム・アプリの導入は、計画策定から本番運用・評価まで段階を踏むことで、業務の効率化とデータ活用の最大化が可能になります。

顧客管理運用のベストプラクティス

最後に、顧客管理運用のベストプラクティスをご紹介します。

顧客管理運用のベストプラクティス
データ更新の徹底
  • 最新情報の維持
    • 定期更新のルールを設け、入力チェック機能や自動更新機能を活用する
    • 情報の正確性を確保し、誤ったデータによるミスを防ぐ
部門間での情報共有
  • 営業・カスタマーサポート・マーケティングなど、部門間での情報共有
    • リアルタイムに共有することで、一貫した顧客対応を実現
  • 社内チャットツールやCRMの活用が有効
分析と活用
  • 蓄積データの活用
    • 顧客セグメント別の傾向分析やマーケティング施策の立案
  • RFM分析や顧客ランク分け、LTV(顧客生涯価値)分析を活用
    • より効果的なアプローチを検討
セキュリティとコンプライアンス
  • 個人情報を扱うため、アクセス権限の適切な設定や情報漏えい対策を徹底
  • 社内のセキュリティガイドラインの整備、プライバシーポリシーの遵守が不可欠
継続的な改善
  • 定期的に運用プロセスを見直し、システムのアップデートやワークフローの最適化を図る
  • ユーザーのフィードバックを取り入れ、より使いやすい仕組みへ改善

ノーコードツールでの顧客管理ソフト・システム・アプリの構築がおすすめ

特に紙やエクセルでの顧客管理をしている場合は、まずは低コストで導入できるノーコードツールでの顧客管理ソフト・システム・アプリの構築がおすすめです。

ノーコードツールとは?

ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法をノーコード開発といいます。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

このノーコード開発の手法を取る際に必要になるのが、ノーコードツールやノーコード開発ツールです。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・導入事例・活用事例も解説

ノーコードツールは様々な会社が提供しており、大部分は同じですが、ツールによって機能が少し異なります。

このノーコードツールを使うことで、ドラッグ&ドロップするだけでアプリの開発を可能にします。

ノーコードツールが注目される理由

近年、ノーコード開発が世界で注目を集めている理由は、主に以下の4つです。

ノーコード開発が注目される4つの理由
  • IT人材の不足
  • クラウドサービスの一般化
  • 大企業のノーコード開発への参入
  • DX促進

比較的低コストで導入できるノーコードでの業務効率化は、人手不足の解消や業務の効率化のためのDXが必要となる経営環境では、特に注目を集めています。

ノーコードによる顧客管理業務の効率化につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

顧客管理(CRM)の業務効率化とノーコードによるシステム・アプリの構築のポイントは?

顧客管理ソフト・システム・アプリの構築に向いているノーコードツール

顧客管理ソフト・システム・アプリの構築に向いているノーコードツール
  • Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」
  • 簡単な顧客管理ならスマホで可能な「Glide」

それでは、各ノーコードツールをみていきましょう。

Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」

顧客管理ソフト・システム・アプリの構築に向いているノーコードツールの1つ目は、Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」です。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetはGoogle Workspaceとスムーズに連携し、スプレッドシートのデータを元に手軽にカスタマイズ可能なアプリを作成できるため、業務効率化に最適です。

AppSheetを使うメリット
Google Workspaceユーザーは無料で使える
  • Google Workspaceエディションを導入している企業は無料で使える
  • Google Workspace環境に統合できるため、既存の業務フローに馴染みやすい
迅速なプロトタイピング
  • プロトタイプを迅速に作成でき、ニーズに応じた開発とテストが即座に行える
  • 手動や既存システム等で行う業務に不足している機能を比較的簡単に開発できる
多プラットフォーム対応
  • 構築したシステム・アプリは、Web(Windows、macOS)・iPhone(iOS)・Androidなど、様々なプラットフォームで動作する
  • インターネットに接続していれば外出先でも顧客情報にアクセスでき、柔軟で効率的なデータ利用が可能

AppSheetは、他のノーコードツールと比べて、特に業務アプリに向いた機能が豊富な点に特徴があります。

このため、ノーコードツールの中でも他の業務の効率化と併せて、総合的に高機能な顧客管理アプリの開発を目指すのであれば、AppSheetは有力な候補となります。

また、今までエクセルで顧客管理をしていた場合は、顧客データをGoogleスプレッドシートにインポートすることで、顧客データをAppSheetのデータベースとして活用できます。

このため、エクセルからAppSheetによる顧客管理システム・アプリへの移行は、比較的スムーズにできます。

この他、AppSheetでの顧客管理システム・アプリの構築につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetで顧客管理(CRM)システム・アプリを無料・低予算で構築する方法とは

簡単な顧客管理ならスマホで可能な「Glide」

顧客管理ソフト・システム・アプリの構築に向いているノーコードツールの2つ目は、簡単な顧客管理ならスマホで可能な「Glide」です。

【意味・定義】Glide(グライド)とは?

Glide(グライド)とは、ノーコードツールの一種で、プログラミングのスキルがなくてもスプレッドシートからデータを利用してウェブアプリを構築できるプラットフォームをいう。

【意味・定義】ウェブアプリとは?

ウェブアプリとは、ウェブ技術(HTML、CSS、JavaScriptなど)を使用して開発され、ユーザーがウェブブラウザを通じて様々なプラットフォームで利用可能なアプリケーションをいう。

ノーコードツールGlideの料金プランは?無料プランや制限を解説

Glideは、スマホから簡単に顧客情報を管理・更新可能なアプリを、ノーコードで手軽に導入・運用できます。

Glideを使うメリット
シンプルで簡単なシステム構築
  • プログラミングの知識がなくてもシステムを構築できる
    • インターフェースがシンプルで直感的に操作可能
    • 多彩なテンプレートにより、短期間でアプリを作成できる
営業やフィールドワークに最適なモバイル対応
  • モバイルアプリに対応しているため、現場でのスムーズなデータアクセスが可能
    • 外出先でも、チームメンバーが簡単に顧客情報や業務データを更新できる
自動化機能を活用可能
  • 定型的な業務やタスクの自動化により時間を節約し、業務効率を高められる
    • データの更新や通知、定期的なリマインダーの送信など

Glideは、設計、開発、操作がシンプルであり、比較的デザイン性も高い点に特徴があります。

この点から、高機能である必要がなく、モバイルでも簡単に動くUIの顧客管理アプリが必要な場合は、Glideが有力候補となります。

この他、Glideでの顧客管理システム・アプリの構築につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

顧客管理システム・CRMシステムをノーコードツールGlideで無料・低予算で構築する方法とは?

フルカスタマイズには「スクラッチ開発」での顧客管理システム構築がおすすめ

続いて、フルカスタマイズが可能な「スクラッチ開発」をご紹介します。

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用しつつ、大半をプログラミング・コーディングでシステムやアプリを構築する開発手法のことです。

【意味・定義】スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。

スクラッチ開発とは?アプリ開発における使われ方とメリット・デメリットを紹介

スクラッチ開発は一からすべて設計するため、細かい設定やこだわり、デザイン等を実現したい場合に向いています。

スクラッチ開発が向いているユーザー

スクラッチ開発は、以下に当てはまるユーザーに最適です。

スクラッチ開発が向いているユーザー
ノーコードツールでは要件を満たせない企業
  • 特殊な業務フローやデータ管理が必要
  • 業界特化の機能を求める
大規模な顧客管理を必要とする企業
  • ノーコードツールではパフォーマンスが低下する可能性がある数万〜数百万件の顧客データを扱う
  • AIやBIツールと連携し大量なデータをリアルタイム分析したいなど、高速なデータ処理を求める
長期的に運用・拡張を考えている企業
  • ノーコードでは実装できない細かなカスタマイズが必要で、ツールの制約に縛られたくない
  • 外部システムとの柔軟な連携、マイクロサービス化など、ビジネスの成長に応じて自由にシステムを拡張したい
セキュリティやデータガバナンスが厳しい企業
  • 個人情報・機密情報の厳格な管理など、高度なセキュリティ要件を満たす必要がある
  • クラウドCRMではなく、オンプレミス環境での運用を求める
既存システムとシームレスに統合したい企業
  • ERP、会計システム、基幹システムなどに完全に適合するカスタムAPIが必要

逆に、特別な要件や複雑な業務フローがなく、シンプルな顧客管理を求める企業には、スクラッチ開発は不向きです。

この他、スクラッチ開発での顧客管理システム・アプリの構築につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

顧客管理(CRM)システムのスクラッチ開発による業務効率化のポイントとは?

顧客管理運用のベストプラクティス

最後に、顧客管理運用のベストプラクティスをご紹介します。

顧客管理運用のベストプラクティス
データ更新の徹底
  • 最新情報の維持
    • 定期更新のルールを設け、入力チェック機能や自動更新機能を活用する
    • 情報の正確性を確保し、誤ったデータによるミスを防ぐ
部門間での情報共有
  • 営業・カスタマーサポート・マーケティングなど、部門間での情報共有
    • リアルタイムに共有することで、一貫した顧客対応を実現
  • 社内チャットツールやCRMの活用が有効
分析と活用
  • 蓄積データの活用
    • 顧客セグメント別の傾向分析やマーケティング施策の立案
  • RFM分析や顧客ランク分け、LTV(顧客生涯価値)分析を活用
    • より効果的なアプローチを検討
セキュリティとコンプライアンス
  • 個人情報を扱うため、アクセス権限の適切な設定や情報漏えい対策を徹底
  • 社内のセキュリティガイドラインの整備、プライバシーポリシーの遵守が不可欠
継続的な改善
  • 定期的に運用プロセスを見直し、システムのアップデートやワークフローの最適化を図る
  • ユーザーのフィードバックを取り入れ、より使いやすい仕組みへ改善

まとめ

顧客管理は企業の成長に直結する重要な業務ですが、エクセルや紙ベースの管理では情報の分散や属人化、更新の手間など多くの課題が生じます。

これらを解決し、より効率的に顧客情報を管理するためには、ソフト・システム・アプリの導入が効果的です。

ノーコードツールやスクラッチ開発を活用すると、自社の業務フローに最適化された顧客管理ソフト・システム・アプリを構築できます。

導入後は、データ更新の徹底や部門間での情報共有、データの分析と活用を継続的に行うことが重要です。

適切な顧客管理ソフト・システム・アプリの運用により、業務の効率化だけでなく、顧客満足度の向上や売上最大化にもつなげられます。

自社に最適なシステムを導入し、より効果的な顧客管理を実現しましょう。

当社では、こうしたノーコードツールやスクラッチ開発による業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。

業務アプリ・業務システムの開発・導入や業務改善・業務効率化でお悩みの方は、今すぐお問合せフォームからご連絡ください。