本記事では、初心者向けに、AppSheetの特徴や使い方に関する入門的な事項について解説します。
AppSheetは、Googleが提供するノーコード開発ツールであり、プログラミング知識がなくても簡単にカスタムアプリを作成できます。
こうした手軽さから、AppSheetは、国海外問わず多くの企業によって導入されています。
特に、企業内では、業務アプリ・業務システムとして、業務効率化や情報共有のために積極的に活用されています。
本記事では、そんなAppSheetの概要に加え、特に初心者向けに、AppSheetの特徴や使い方について分かりやすく解説します。
AppSheetとは?
AppSheet = 「ノーコードツール」
まずは、AppSheetの概要を簡単にご紹介します。
AppSheetは、2017年にアメリカでリリースされたアプリの開発・構築のためのツールであり、GoogleCloudのサービスの1つとして提供されています。
【意味・定義】AppSheetとは?
AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。
AppSheetは、低コストかつノーコードでアプリ構築ができる開発ツールです。
このため、プログラミングの知識がない初心者であっても、簡単に比較的高機能なアプリの構築ができる、という特徴があります。
この特徴から、AppSheetは国内外問わず多くの企業で、小〜大規模まで、さまざまな用途のカスタムアプリ、業務アプリ・業務システムなどに使われています。
ノーコード開発・ノーコードツールとは?
ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」や「ノーコード開発ツール」といいます。
【意味・定義】ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。
こうしたノーコードツールを利用することで、プログラミングの経験がない初心者であっても、簡単にアプリ開発ができます。
AppSheetのメリット
次に、AppSheetのメリットをいくつかご紹介します。
AppSheetのメリット
- メリット1. UIの使い勝手が良い
- メリット2. 機能が豊富
- メリット3. Google Workspaceユーザーは無料で使用可能
メリット1. UIの使い勝手が良い
AppSheetのメリットの1つ目は、UIの使い勝手が良い点です。
【意味・定義】UI(ユーザーインターフェース)とは?
UI(ユーザーインターフェース)とは、Webサービスやアプリなどのサービスを利用するユーザーとサービスを提供する機器や道具の接点をいう。
AppSheetでは、直感的に操作できるドラッグ&ドロップのインターフェースが提供されているため、コードを記述する必要がありません。
【意味・定義】インターフェースとは?
インターフェースとは、「境界面」や「接点」のことであって、2つの異なるシステムなどがお互いに通信や操作を行うために必要な方法やソフトウェアをいう。
このため、AppSheetを使うことで、プログラミングの知識やコーディングのスキルがない初心者であっても、素早くカスタムアプリの構築ができます。
プロトタイプの作成から実運用のアプリケーションへの移行も簡単です。
【意味・定義】プロトタイプとは?
プロトタイプとは、製品やアプリの最初期の試作品で、概念や機能を検証・評価するために作成されるモデルをいう。
メリット2. 機能が豊富
AppSheetのメリットの2つ目は、機能が豊富な点です。
AppSheetでは、基本から高度な機能まで豊富に提供されています。
AppSheetで提供されている機能の具体例
- データ管理(自動同期)
- フォーム作成
- レポート生成
- ワークフローの自動化
- 外部システム連携
- オフラインモード
- セキュリティ(ユーザー管理やアクセス制御など)
- 外部システム連携
さらに、AppSheetはWebアプリとモバイルアプリの両方に対応しています。
このため、ユーザーは同じアプリをパソコンでもモバイルデバイスでも利用することができます。
メリット3. Google Workspaceユーザーは無料で使用可能
AppSheetのメリットの3つ目は、Google Workspaceユーザーは無料で使用可能な点です。
AppSheetのライセンスは、2023年6月までGoogle Workspaceの一部プランにのみ含まれていました。
2023年7月以降は、Google Workspaceのほぼ全てのプランでCoreプランを無料で利用できます。
これにより、Google Workspaceを用いるさまざまな規模の企業やチームが、追加ライセンスを購入せずにAppSheetを使ったアプリケーションの構築が可能になりました。
Coreプランが無料で使えるGoogle Workspaceのプランは以下の通りです。
AppSheetのCoreプランが無料で使えるGoogle Workspaceのプラン
- Business Starter, Standard, and Plus
- Enterprise Starter and Standard
- Frontline Starter and Standard
- Non-profits
- Education Standard
AppSheetでできること
次に、AppSheetでできることについて解説します。
AppSheetでは、主に次のことができます。
AppSheetでできること
- できること1. タスクやプロセスの自動化
- できること2. 他サービスとの連携
- できること3. データソースの選択
それぞれ、簡単に解説していきます。
できること1. タスクやプロセスの自動化
AppSheetでできることの1つ目は、タスクやプロセスの自動化です。
AppSheetには、様々な自動化・効率化の機能が実装されています。
これには、自動通知やリマインダーの設定、承認フローの作成、データ入力やワークフローの自動化などが含まれます。
【意味・定義】ワークフローとは?
ワークフローとは、特定の業務プロセスやタスクの手順や流れや、これらの定義をいう。
こうした自動化・効率化の機能を利用することで、企業独自の業務フローに合致した、細かくカスタマイズされたアプリの開発ができます。
できること2. 他サービスとの連携
AppSheetでできることの2つ目は、他サービスとの連携です。
AppSheetは、以下のGoogleのサービスや第三者が提供する外部サービスと連携できます。
他サービス連携の具体例 |
|
---|---|
自動化機能におけるメール・SMS・PDF変換 | メール送信、SMS送信、PDF変換などの自動化を実現 |
バーコードスキャン | 商品の管理や在庫管理などで使える |
住所のジオコーディング | 番地を地図上に表示可能な緯度と経度の場所に変換 |
Googleマップとの連携 | 地図上でのデータ表示やルート案内が可能 |
MixPanelを使用した使用状況のトラッキング | アプリの使用状況やユーザーの行動を詳しく分析 |
こうしたサービス連携を利用することで、初心者であっても、すべての機能を一から開発することなく、アプリを開発できます。
上記に加え、AppSheetのAPIを利用したカスタムインテグレーションも可能です。
【意味・定義】カスタムインテグレーションとは?
カスタムインテグレーションとは、異なるシステムやアプリケーションを特定のビジネス要件に応じて独自に連携させることをいう。
API連携を行うことで、外部サービスからAppSheetアプリ内の情報にアクセスができるようになります。
ただし、こちらの連携には一定レベルのプログラミング知識が必要になり、初心者では対応が難しいので、ご注意ください。
できること3. データソースの選択
AppSheetでできることの3つ目は、データソースの選択です。
AppSheetでは、Google SheetsやExcel、SQLデータベースなど、さまざまなデータソースを利用することができます。
既存のデータソースをそのまま使ってアプリを構築できるので、データの移行や変換の手間が省けます。
なお、データはリアルタイムで同期が行われるので、常に最新情報に基づいた意思決定が可能です。
この他、AppSheetでできることの詳細な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
AppSheetでできないこと
次に、AppSheetでできないことについて解説します。
残念ながら、AppSheetでは、次のことはできません。
AppSheetでできないこと
- できないこと1. 複雑なデータベースの設計
- できないこと2. 高度なグラフィックスやアニメーションの活用
- できないこと3. 特定のセキュリティ要件を満たすことできないこと
こちらも、簡単に解説していきます。
できないこと1. 複雑なデータベースの設計
AppSheetでできないことの1つ目は、複雑なデータベースの設計です。
AppSheetでは、高度なリレーショナルデータベースの設計や複雑なクエリの実行が難しいです。
【意味・定義】リレーショナルデータベースとは?
リレーショナルデータベースとは、データを表形式で整理し、複数の表の間の関係性を利用して効率的にデータの検索や管理を行うデータベースをいう。
このため、AppSheetは、大規模なデータベースアプリケーションには向いていないです。
できないこと2. 高度なグラフィックスやアニメーションの活用
AppSheetでできないことの2つ目は、高度なグラフィックスやアニメーションの活用です。
AppSheetのUI設計は、良くも悪くも、非常にシンプルです。
このため、ゲーム開発などで求められる高度なグラフィックスやアニメーションが必要な開発には不向きです。
また、見た目重視の一般消費者向けのアプリとしても、不向きであると言えます。
逆に言えば、企業内で使用する業務アプリ・業務システムのように、グラフィックデザインやアニメーションが不要なものに向いています。
できないこと3. 特定のセキュリティ要件を満たすこと
AppSheetでできないことの3つ目は、特定のセキュリティ要件を満たすことです。
AppSheetは、Googleが提供するノーコード開発ツールですので、必要最低限のセキュリティは十分に確保されています。
しかしながら、規制が厳しい業界向けの特定のセキュリティ要件を満たすのが難しいかもしれません。
このため、AppSheetを利用した開発では、データ保護やプライバシーに関する高度な要件を満たすことは難しい可能性があります。
この他、AppSheetではできないことの詳細な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
AppSheetの始め方
最後に、AppSheetの始める際のポイントをいくつかご紹介します。
AppSheetの月額料金は?無料と有料のプランの違いを比較
AppSheetには、基本的な機能が使える、プロトタイプ作成に最適な無料プランがあります。
AppSheetは、無料プランであっても、有料プランに含まれる機能を使うことができます。
ただ、アプリをデプロイ(公開)するためには有料プランへの切り替えが必要になります。
【意味・定義】デプロイとは?
デプロイとは、開発されたアプリを運用環境に配置し、当事者以外のユーザーが利用できるようにするプロセスをいう。
また、AppSheetには、以下のとおり、高度な機能の利用やユーザー管理が可能な有料プランは3つ用意されています。
AppSheetの料金表 | |||
---|---|---|---|
費用(ユーザー単位) | データベース数 | データベースのレコード上限数 | |
Starter | $5.00 | 5 | 2500 |
Core | $10.00/月 | 10 | 2500 |
Enterprise Plus | $20.00/月 | 200 | 200,000 |
参照:AppSheetの公式サイト、制限事項と既知の問題 – AppSheet ヘルプ
このように、プランごとに使えるデータベース数、各データベースのレコード上限数、機能などが異なります。
この他、AppSheetの料金プランの詳細につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
公式ドキュメントやオンラインチュートリアルをご紹介
AppSheetの公式サイトには、詳細なドキュメントや包括的なヘルプセンターが用意されているます。
一部のリソースは日本語にも対応しているので安心です。
さらに、使い方のチュートリアルや最新機能の紹介動画が豊富に揃っているYouTubeの公式チャンネル、そして他のユーザーと情報交換をしたり、質問や問題点を共有できるユーザーコミュニティのフォーラムも提供されています。
参照:AppSheet公式Youtubeチャンネル / AppSheetユーザーコミュニティ
まとめ
AppSheetは、プログラミング未経験の初心者でも簡単にカスタムアプリを作成できるため、多くの企業に利用されています。
AppSheetの主なメリットは、カスタマイズの柔軟性が高いため、各企業のニーズに適したアプリを簡単に作ることができる点です。
しかし、高度で複雑なアプリケーションや大規模なデータ処理には限界があるので、開発したいアプリによっては不向きな場合もあります。
このため、まずは無料プランでテストアプリを作成し、アイデアを形にしてみてはいかがでしょうか。
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