AppSheetによる日報アプリとは?効率化・自動化等のメリットも解説

本記事では、AppSheetを活用した日報の電子化、アプリの導入と、そのメリット、特に効率化や自動化について解説します。

日報は、日々の業務を管理する有益な手段として多くの業種で導入されています。

ただ、日報には、作成に要する時間や正確なデータ記録の難しさなど、多くの課題が存在します。

こうした課題を解決する方法として、日報のシステムとしてAppSheetを活用する方法があります。

本記事では、特に手作業・書面での日報業務を電子化することによるメリット、特にAppSheetを活用した日報アプリの導入と日報業務の効率化・自動化についてご紹介します。

日報業務の4つの課題とは?

日報は、「日次報告書」の略称です。

日報の性質上、従業員の日々の業務内容を把握するには非常に便利であり、多くの企業で導入されていることでしょう。

他方で、日報は、日々の報告書となりますので、その課題は、次のように多岐にわたります。

手作業による日報業務の課題
  • 時間と労力の消費
  • データの整合性と正確性の確保の困難
  • 情報の共有とアクセスの制限
  • データの整理・管理と検索の困難さ

特に、手作業での日報の作成や、書面での日報は非常に手間がかかるため、「意味がない」とまで思われがちです。

これらの課題を解決し効果的な業務遂行の実現におすすめなのが、デジタルソリューションの導入です。

【意味・定義】デジタルソリューションとは?

デジタルソリューションとは、コンピューターやデジタル技術を使って問題を解決する方法をいう。

特に、AppSheetを利用した、企業ごとの特徴に合わせた日報の電子化・アプリ化により、日報業務を効率化・自動化できます。

AppSheetとは?

AppSheetは、Googleが提供するノーコードでアプリ構築ができる開発ツールのひとつで、低コストで、柔軟かつ比較的高機能なアプリ構築ができる点に特徴があります。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetは国内外問わず多くの企業で使われているノーコードツールの一つで、プログラミングの知識がなくても簡単にカスタムアプリを作成できます。

ノーコード開発・ノーコードツールとは?

ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」「ノーコード開発ツール」といいます。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・事例についても解説

ノーコードツールは、従来のプログラミングに頼らずにビジネスユーザーや非技術者でも手軽にアプリ開発ができるようにするためのプラットフォームです。

AppSheet=業務アプリ向けのノーコードツール

AppSheetは、フォーム入力やデータ表示、ワークフローの自動化など、便利な機能が充実しています。

このため、AppSheetは、日報業務を含めて、多くの業務改善アプリの構築に使われています

AppSheetの業務アプリによる業務改善の導入事例・活用事例とは?

AppSheetを活用して日報業務を電子化・アプリ化するメリット

具体的には、AppSheetを活用した日報の電子化・アプリ化には、以下のようなメリットがあります。

AppSheetを活用して日報業務を電子化・アプリ化するメリット
  • 日報の書式・項目・実態に合わせてアプリを構築できる
  • リアルタイムなデータ更新と共有できる
  • オフラインでも対応できる
  • 生産性向上と作業時間・残業時間の軽減ができる
  • データの保持・バックアップ・ダウンロードができる
  • 開発費用と料金を抑えて開発できる

それぞれ、かんたんに見ていきましょう。

メリット1. 日報の書式・項目・実態に合わせてアプリを構築できる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの1つ目は、日報の書式・項目・実態に合わせてアプリを構築ができる点です。

一般的にな日報管理システムを導入する場合、システムの仕様に合わせて日報の書式や項目などを変える必要があります。

このため、既存の日報業務とかけ離れたシステムを導入してしまうと、現場での作業に大きな摩擦や負担が生じます。

一方、AppSheetはユーザーのニーズに合わせて柔軟に構築が可能なので、既存の日報業務をそのまま電子化・アプリ化できます。

メリット2. リアルタイムなデータ更新と共有できる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの2つ目は、リアルタイムなデータ更新と共有が可能な点です。

紙で日報管理をおこなう場合、紙に記入されてから提出されるまでにタイムラグが発生します。

これに対し、紙を廃止してAppSheetで日報業務を電子化・アプリ化することで、リアルタイムなデータ更新が可能になり常に最新の情報が利用できるようになります。

また、データ共有が容易なため、関係者間での情報共有がスムーズになるのも嬉しいポイントです。

メリット3. オフラインでも対応できる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの3つ目は、オフラインに対応している点です。

AppSheetを利用したアプリは、ユーザーがインターネットに接続していない状況でも利用可能です。

具体的には、オフラインモードで更新されたデータは、ユーザーがオンラインになった時点でサーバーに同期されます。

このため、フィールドサービスやリモートエリアでの作業など、インターネット接続が不安定な場面でもスムーズな日報業務を実現可能です。

メリット4. 生産性向上と作業時間・残業時間の軽減ができる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの5つ目は、生産性向上と作業時間・残業時間の軽減が可能な点です。

AppSheetは、様々な入力項目を条件に応じて自動的に入力されるように設定できます。

こうした自動化は、手作業による入力を極力減らし、日報作成に要する時間と労力の削減に役立ち、結果的に作業効率が向上します。

これにより、他の業務にリソースを振り分けることが可能になるだけではなく、残業時間・人件費の削減を実現します。

メリット5. データの保持・バックアップ・ダウンロードができる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの6つ目は、データの保持・バックアップ・ダウンロードができる点です。

Appsheetは、事業用に提供されている、様々な形式のデータベースをデータソースとして利用できます。具体的には、Googleスプレッドシート、Excel、Cloud SQL、Salesforceなどが該当します。

これらのデータベースは、いずれもデータの保持・バックアップ・ダウンロード等に対応しています。

他方で、他の日報管理システムはこれらの機能が制限される場合があります。

このため、Appsheetにより日報を電子化・アプリ化した場合、より高機能な日報管理システムを導入する場合も、データの移行がスムーズにおこなえます。

メリット6. 開発費用と料金を抑えて開発できる

AppSheetによる日報の電子化・アプリ化のメリットの7つ目は、低コストな開発費用と料金で導入が可能な点です。

AppSheetは、ノーコードツールであるため、プログラミングの知識がなくても利用できます。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・事例についても解説

このため、自社開発であっても、外注による開発であっても、低い導入コストでワークフローシステムを構築できます。

また、ランニングコストについては、プロトタイプの開発中は無料で始められますが、業務アプリとして実用化するためには、料金プランを選択する必要があります。

AppSheetの料金表
費用(ユーザー単位) データベース数 データベースのレコード上限数
Starter $5.00 5 2500
Core $10.00/月 10 2500
Enterprise Plus $20.00/月 200 200,000

参照:AppSheetの公式サイト制限事項と既知の問題 – AppSheet ヘルプ

なお、最大10名までは、プロトタイプのアプリを共有できますので、10名以下の小規模事業者の場合は、ランニングコストが発生しません。

また、多くのGoogle Workspaceエディション(プラン)には、AppSheet Coreライセンスが含まれています。

このため、すでに該当するGoogle Workspaceエディションを導入している企業の場合は、AppSheetのランニングコストは発生しません。

この他、AppSheetの料金プランや無料枠につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetの料金プランは?業務アプリの無料枠についても解説

AppSheetによる日報業務の電子化・アプリ化で実現可能な機能の具体例

以上のように、AppSheetによる電子化・アプリ化には、様々なメリットがあります。

続いて、日報業務にAppSheetを導入した場合の機能の具体例について、見ていきましょう。

AppSheetで実現可能な日報管理の機能の具体例
  • フォーム機能を用いたデータ入力の簡素化
  • 添付機能による写真やファイルの添付
  • 位置情報機能による地理的な位置情報の把握
  • 自動化されたレポート生成機能の活用
  • リアルタイムなデータ更新と共有機能の活用

具体例1. フォーム機能を用いたデータ入力の簡素化

AppSheetで実現可能な日報管理の具体例の1つ目は、フォーム機能を用いたデータ入力の簡素化です。

AppSheetには、Googleフォームと連携することにより、フォームを利用できる機能があります。

これにより、アプリ内では、直感的なデータ入力が可能です。

また、日付やタイトル、内容、進捗状況、予定などがシンプルなフォームで手軽に構築できます。

このように、AppSheetでは、必要な項目だけを設置することで、簡単でスピーディーな入力を実現できます。

特に、自由記述を必要最低限になるまで減らし、作業の時間を削減することが重要となります。

具体例2. 添付機能による写真やファイルの添付

AppSheetで実現可能な日報管理の具体例の2つ目は、写真やファイルの添付機能です。

AppSheetには、写真やファイルの添付機能があります。

この添付機能を利用して、現場で撮影した写真や重要な資料を簡単に日報に添付できます。

これにより、記録の豊かさと正確性が向上し、効率的な情報共有が可能になります。

具体例3. 位置情報機能による地理的な位置情報の把握

AppSheetで実現可能な日報管理の具体例の3つ目は、地理的な位置情報を使った機能です。

AppSheetには、位置情報機能があります。

この位置情報機能により、自動的にユーザーの位置情報を日報に記録することが可能です。

作業現場や移動中の正確な位置情報を手軽に追加できるので、作業履歴の可視化や管理がスムーズになります。

具体例4. 自動化されたレポート生成機能の活用

AppSheetで実現可能な日報管理の具体例の4つ目は、自動化されたレポート生成機能の活用です。

AppSheetには、自動的にレポートを生成する機能があります。

この機能により、カスタマイズされた集計や分析レポートを自動的に生成することができます。

特に、定期報告のフォーマットの簡素化や生成頻度の柔軟な設定により、効率的な業務管理が可能になります。

具体例5. リアルタイムなデータ更新と共有機能の活用

AppSheetで実現可能な日報管理の具体例の5つ目は、リアルタイムなデータ更新と共有機能の活用です。

すでに述べたとおり、AppSheetには、リアルタイムデータ更新とデータ共有の機能があります。

この機能により、アプリ内のデータを常に最新状態に保つことができます。

また、データの共有機能を使用すると関係者とのデータを共有も容易です。

AppSheetで日報業務の電子化・アプリ化をする際のポイント

さて、実際にAppSheetで日報業務の電子化・アプリ化をする場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか?

ここでは、以下の3つのポイントについて解説します。

AppSheetで日報管理システムを構築する際のポイント
  • 必要な機能の洗い出し
  • ユーザビリティの重視
  • データの安全性と管理

ポイント1. 必要な機能の洗い出し

AppSheetで日報管理システムを構築する際のポイントの1つ目は、必要な機能の洗い出しをおこなうことです。

既存の日報業務を電子化・アプリ化する場合、現在の日報の中で、必要な項目、不要な項目、追加する項目を洗い出す必要があります。

そのうえで、必要な項目と追加する項目について、AppSheetの機能で実現可能かどうかを検討することとなります。

具体的には、ユーザーがスムーズにデータ入力できるフォームや自動化されたレポート生成、写真やファイルの添付など、必要な機能を具体的にリストアップします。

必要な機能のみを実装し、シンプルで使いやすいアプリを構築するのがポイントです。

ポイント2. ユーザビリティの重視

AppSheetで日報管理システムを構築する際のポイントの2つ目は、ユーザービリティを重視したアプリの構築です。

効率的な日報アプリを作成するためには、ユーザーにとって使いやすいUIであることが重要となります。

【意味・定義】UIとは?

UI(ユーザーインタフェース)とは、人がコンピューターやスマートフォンなどのデバイスとやり取りをする画面やボタンなどの部分をいう。

UI(ユーザーインターフェース)とは?意味やUXとの違い、例をわかりやすく解説

ユーザーが簡単かつ迅速に情報入力できる環境を整える、効率的でエラーのない日報作成が可能となります

ポイント3. データの安全性と管理

AppSheetで日報管理システムを構築する際のポイントの3つ目は、データの安全性と管理の計画を立てることです。

機密情報の取り扱いには、システムが安全かつ順調に運用される環境が重要です。

この点について、AppSheetは、Googleが提供するノーコードツールであり、セキュリティ機能は非常に充実しています。

ただ、ユーザー側の設定によっては、高度なセキュリティ機能も意味をなさないことになります。

このため、こうしたセキュリティの設定をはじめ、適切なバックアップ、復元策を検討して、データの保護と信頼性を確保することに努めましょう。

まとめ

日報管理システムの導入は、毎日の作業時間短縮や正確で効率的な情報管理を実現し、業務プロセスの合理化と生産性の向上を促進します。

他方で、現場の実態や業務に合っていない日報管理システムを導入してしまうと、かえって作業時間が増えてしまったり、作業効率が悪化する場合もあります。

こうしたリスク・課題に対応する方法として、AppSheetを活用した日報管理システムの構築・アプリ化が挙げられます。

AppSheetは、従来の日報業務に合わせてアプリを自由に構築できるので、低コストで最適な日報管理システムの導入を考えている方におすすめです。

当社では、こうしたAppSheetを含めたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。

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