このページでは、アプリ開発の発注者の担当者、特に初心者向けに、アプリ開発の企画について、5W2Hを使いながら、簡単にわかりやすく解説しています。
「アプリ開発の企画を任されたんだけども、何から手を付ければいいのかわからない!」とお困りではありませんか?
それもそのはずで、ひと口にアプリといっても様々な要素があり、アプリ開発にも様々な手法がありますので、企画のしかたや企画書の書き方も様々です。
そこでこのページでは、多くの社会人の方がご存知の5W2hで、開発するアプリそのものと、アプリ開発についての企画の考え方をお伝えしています。
アプリ企画の5W2H
- Who=誰が使うアプリ?
- What=何をするアプリ?
- Why=なぜ使うアプリ?
- When=いつ使うアプリ?
- Where=どこで使うアプリ?
- How=どのように使うアプリ?
- How Much=課金や広告による収益は?
アプリ開発の企画
- Who=誰が開発する?
- What=何のアプリを開発する?
- Why=なぜ開発する?
- When=開発のスケジュールは?
- Where=どこで開発する?
- How=どのように開発する?
- How Much=予算や費用の金額はいくら?
このように、開発するアプリを5W2Hにあてはめることで、誰が見てもわかりやすい企画を立てることができます。
「アプリ開発の企画を任された!どうしよう!?」
なぜアプリ開発の企画が大切なのか?
企画が不十分なアプリ開発のリスク・デメリットとは?
5W2Hに進む前に、アプリ開発の企画がなぜ大事なのか?を筆者の経験からお伝えします。
アプリ開発の企画を定める前に開発を初めてしまうと、後々の大幅な変更や想定とは全く異なるものができてしまいます。
例えば企画が不十分な場合は、以下のリスク・デメリットがあります。
企画が不十分なアプリ開発のリスク・デメリット一覧
- 企画や仕様を変更する可能性が高くなり、企画の再定義が必要になり、開発期間が延びる
- 企画の再定義による作業行程の増加によりアプリの想定費用が増える
- 開発期間の延長により費用が増える
- 開発期間の延長によりリリース時期が延びる
企画の段階で開発会社からの協力も検討する
アプリ開発の企画をしっかり考えずに作ってしまったために、発注後に苦しくなってしまうことは多々あります。
アプリ開発の企画をしたことがない方や企画に不安がある方は、以下で紹介する「アプリの5W2H」「アプリ開発の企画5W2H」をぜひご参照ください。
また、もし企画から一緒に開発会社に考えて欲しい、企画の添削をして欲しい等々ある場合は、アプリ開発の企画から相談に応じてくれる開発会社を探すのも手です。
アプレボは、アプリ開発の企画から企画書の添削まで対応しています。
アプリ開発の企画、企画書の添削はアプレボにおまかせ!お問い合わせはこちら
企画の構成はアプリそのものと開発の行程に分ける
アプリ開発の企画を作成するときは、「アプリそのもの」と「アプリ開発の行程」の2つにわけて作成します。
アプリ開発の企画2ステップ
- ステップ1、アプリそのもの:これから作るアプリがどのようなアプリなのか
- ステップ2、アプリ開発の行程:アプリをどのように開発するのか
以下では「アプリそのもの」=「アプリの5W2H」、「アプリ開発の行程」=「アプリ開発の5W2H」として説明していきます。
アプリの5W2Hとは?
まずは、アプリそのものの企画概要について、5W2Hで考えてみましょう。
アプリそのものを5w2Hで表現すると、以下のようになります。
アプリの5W2H
- Who:誰が使うアプリ?
- What:何をするアプリ?
- Why:なぜ使うアプリ?
- When:いつ使うアプリ?
- Where:どこで使うアプリ?
- How:どのように使うアプリ?
- How much:課金や広告の売上があるアプリ?
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
5W2Hでアプリの企画を考えよう
Who:誰が使うアプリ?
誰が使うアプリなのか、誰に向けたアプリなのかを社内向けと社外向けに分けて下記の観点から考えます。
社内向け・社外向けのアプリ
- 社内向けアプリ:社内全体で使うのか、特定の部署が使うのか、などを検討する。
- 社外向けアプリ:事業者向けなのか(to B)、消費者向けなのか(to C)、などを検討する。
また、使用するユーザーの年代層や職種などの、いわゆるペルソナも想定できる場合は、これを企画書に記載しておきます。
【意味・定義】ペルソナとは?
ペルソナとは、自社製品の開発やサービスを展開する際に、詳細な想定を設定するターゲットのことをいう。
What:何をするアプリ?
アプリのジャンル・種類・機能を決める
アプリにも様々な種類があります。
これから作りたいアプリは何をする、どんなことが実現できるアプリなのかを考えます。
企画の段階では、主にアプリのジャンル、種類、機能等から決めていきます。
そして、詳細については、要件定義や仕様を確定させる行程で決定します。
アプリのジャンルを決定する
まずは、ジャンルを選びます。
アプリの主要なジャンル
- コミュニケーション系(メールやチャット、音声・ビデオ通話等)
- SNS系(メッセージ、掲示板、チャット等)
- メディア・ニュース
- 動画、画像作成
- 地図アプリ
- EC系(ネットショッピング、オンラインストア)
- ゲーム系
- 業務系
アプリの概要を決めた段階で、ジャンルはすでに決まっていると思われますので、特に問題はないでしょう。
ただし、ジャンルによっては、市場の競争が厳しく、マーケティングが非常に難しいアプリもあります。
このため、ジャンルを決定する際には、市場調査なども並行しておこなうべきです。
アプリの種類を決定する
次に、アプリの種類を決めます。
主なアプリの4種類
- ウェブアプリ・WEBサービス:ChromeやSafariといったWEBブラウザから利用できるアプリ
- ネイティブアプリ/スマホアプリ:AndroidやiOSといったOSにインストールして使用するアプリ
- ハイブリットアプリ:ウェブアプリをネイティブアプリのような使い方ができる、でWebView上で動くアプリ
- PWA(プログレッシブウェブアプリ):ウェブアプリをネイティブアプリのような使い方ができるアプリ。ハイブリットアプリとの違いは、PWAはブラウザ上で表示される点。
アプリの種類は、アプリの機能と開発費用に直結するため、非常に重要となります。
また、マーケティングの観点でも、それぞれのアプリの種類によって対策が異なります。
この点から、単に機能や開発費用の面だけでアプリの種類を決めるのではなく、事業全体のアプリの位置づけも考慮しながら、種類を決定します。
アプリの機能を決定する
アプリの種類と並行して、アプリの機能を決めます。
アプリの機能
- アプリを動かすのに必要な機能
- アプリにあったら便利な機能
アプリの機能を決定する際には、アプリに必要な機能、アプリにつけたい機能の思いつく点を全てあげましょう。
あらかじめペルソナを設定しておくと、この行程で役に立ちます。
アプリの機能はユーザーから見える部分の機能と見えない部分の機能があり、ここで網羅しようとしても開発経験がある人でないとあげきれません。
ですので、ここでは思いつくものをすべてあげておき、開発会社とアプリ開発を進める際に機能を追加したり減らしたりするのが良いでしょう。
Why:なぜ使うアプリ?
「What:何をするアプリ?」からジャンル等を絞ったら、そのアプリを使う動機を考えてみましょう。
ユーザーがどんな場面でアプリを使いたいのか、何を便利にしたいのかなど、自問自答を繰り返します。
例えば、ニュースアプリを例にあげると以下のようになります。
ユーザーがニュースアプリを使う動機の具体例
- 毎朝の通勤でサクッとニュースを知りたい
- 気になるニュースを詳しく記事で読みたい
- 受験の時事問題対策でニュースを知りたい
When:いつ使うアプリ?
アプリの使用期間などがあるかを以下の観点から考えましょう。
特に時期などのこだわりがない、日常的に使うものであれば特になしで大丈夫です。
アプリを使う期間・時期の具体例
- アプリの使用期間に制限があるか(例:1年限定のキャンペーン用のアプリ等)
- 特定の時期に使うアプリか(例:引越しや受験シーズンなど季節要因があるアプリ等)
Where:どこで使うアプリ?
海外向けアプリの企画は慎重に検討する
海外展開の難易度は高い
5Wの最後となるWhereでは、どこで使われるアプリなのかを考えます。
まず、国内向けのアプリの企画なのか、海外向けのアプリの企画なのかを検討します。
これは、海外向けのアプリ(特に社外向けの場合。後述)の企画の場合、特に消費者向け(to C)のものでは、次のような課題があるからです。
海外向けアプリの課題の具体例
- 表示言語の機能が必要になる
- 法規制に対応する必要がある
- 文化・宗教などのローカライズの問題が発生する可能性がある
特に、国内で事業展開したあとで海外展開をするアプリの場合、企画の段階で、これらの課題を意識しておくべきです。
そうでないと、海外展開の際に大幅に仕様を見直すことになるリスクがあります。
国内向けアプリと国外向けアプリの企画の違い一覧表
国内向けアプリと国外向けアプリの企画の違い一覧表 |
||
---|---|---|
国内向けアプリ | 海外向けアプリ | |
言語 | 日本語のみ | 英語+ローカル言語 |
文化 | 比較的違いが少ない | 多種多様 |
宗教 | 考慮する必要性は低い | 地域によって考慮する必要がある |
流行 | 把握しやすい | 国により様々で把握しにくい |
通貨 | 日本円中心 | 主に米ドル中心 |
法律・法規制 | 日本法のみの対応 | 各国法に対応 |
通信インフラ | 安定している | 国により様々 |
物流インフラ | 整備されている | 国によって整備されていない場合もある (特にECアプリでは課題となる) |
普及デバイス (スマホ) |
iphone(iOS)が多い | Androidが多い |
社内向け・社外向けによって仕様が大きくことなる
社外向けアプリの企画のほうが難易度が高い
社内なのか社外なのかでも、必要な機能やどこまでインターフェースにこだわるか等々大きく影響があります。
【意味・定義】インターフェースとは?
インターフェースとは、「境界面」や「接点」のことであって、2つの異なるシステムなどがお互いに通信や操作を行うために必要な方法やソフトウェアをいう。
また、法規制、集客、UI/UXなどについては、社外向けのアプリでは考慮するべき点が多いです。
特に、UI/UXは、ユーザーの満足度に直結します。
【意味・定義】UI・UXとは?
- UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーと製品やサービスの接点をいう。WEBサイトやアプリ開発で使われる場合は、サイトの見た目のことを指したりもする。
- UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスや製品を通して得られる経験のことをいう。UXには様々な手法があり、その中の一つにUIが含まれる。
これに対し、社内向けアプリでは、法規制、集客、UI/UXなどについては、社外向けアプリほど考慮する必要はありません。
なお、UI/UXにつきましては、詳しくは、それぞれ以下のページをご覧ください。
社内向けアプリの企画と社外向けアプリの企画
社内向けアプリの企画と社外向けアプリの企画 |
||
---|---|---|
社内向け | 社外向け | |
対象ユーザー | ・全体 ・特定の部署 ・特定の職種 |
・顧客 ・見込み客 ・不特定多数 |
消費者・事業者の別 | ー | ・消費者のみ ・事業者のみ ・消費者・事業者の双方 |
法規制 | ほとんどない | ・消費者:比較的多い ・事業者:比較的少ない |
UI・UX | 良好であることが望ましいが必須ではない | 良好であることが必須 |
集客・販促・マーケティング | 不要 | 必要 |
How:どのように使うアプリ?
企画の段階でインターフェースを検討する
「どのように使うアプリ?」では、アプリのインターフェースを検討します。
アプリのインターフェースには、主に次の2つがあります。
2種類のアプリのインターフェース
- フロントエンドのインターフェース:アプリのユーザーが使う操作画面
- バックエンドのインターフェース:アプリの管理者側が使用する管理画面
以下、それぞれの企画のポイントについて詳しく見ていきましょう。
フロントエンドのインターフェースのポイント
フロントエンドのインターフェースは、文字通りユーザーインターフェース=UIです。
そして、ユーザーインターフェースの良し悪しがユーザーエクスペリエンス=UX≒満足度に直結するため、非常に重要です。
ユーザーインターフェースは、開発会社の技術によって実現されるものですが、その元になるデザインは、発注者が企画しなければなりません。
このため、企画の段階で、少なくともデザインの大枠は決めておくべきでしょう。
バックエンドのインターフェースデザインのポイント
アプリの仕様によって重要度が変わってくる
バックエンドのインターフェースは、管理者にとっては重要であるものの、ユーザーにとってはまったく重要ではありません。
このため、フロントエンドのインターフェースに比べると、重視する必要がない場合もあります。
一方で、業務の実施に支障が出るアプリの場合は、フロントエンドのインターフェースと同様に重要となってきます。
具体的には、社内向けアプリなどで業務の中心となったり、基幹システムと連動したり、受発注の仕組みに組み込まれたりするアプリなどです。
ノーコード・ローコード開発では開発不要の場合もある
なお、フルスクラッチ(後述)でアプリを開発する場合は、バックエンドのインターフェースを作成することはほぼ必須となります。
一方で、ノーコードツール、ローコードツールなど、各種ツールを使ってアプリを開発する場合は、デフォルトで管理画面が実装されていることもあります。
この場合は、必ずしもバックエンドのインターフェースを作成する必要はありません。
もちろん、ノーコードツール、ローコードツールなどを使う場合であっても、より使いやすいように、別途バックエンドのインターフェースを作成したり、既存の管理画面をカスタマイズしたりする場合もあります。
インターフェース以外にHowに該当するものは?
なお、インターフェース以外にHowに該当するものがある場合は、Howとして検討するか、または他の箇所(特にWhat)で検討します。
重要なことは、漏れなく重複なく(MECEに)アプリの要素について検討し、企画を立てることです。
どの要素がどの5W2Hに該当するのかの線引きは、特に重要ではありません。
How much:マネタイズ=課金や広告による売上があるか
最後に、アプリのお金に関する「どのように」を考えます。
無料のアプリもありますが、一部有料型アプリや、全有料型アプリなどアプリの形態もさまざまです。
まずは、これから開発するアプリでそもそも収益を上げる必要性について検討します。
そして、収益を上げる必要がある場合は、どんな収益方法が良いか以下のモデルを参考に検討していきます。
アプリの収益モデル参考
- 無料版と有料版のアプリを提供するモデル
- アプリを無料で提供してアプリ内購入で収益化するモデル
- アプリを無料で提供してサブスクリプションで収益化するモデル
- 有料アプリモデル
- パートナーシップ モデル
アプリの5W2H具体例は?
具体例:不動産メディアのアプリの5W2H
5W2Hで考えたアプリの具体例は、次のとおりとなります。
不動産メディアのアプリの5W2H |
|
---|---|
5W2H | 内容 |
Who:誰が使うアプリ? | ・社外向け ・20代〜30代 ・マンション購入を検討している人が使うアプリ |
What:何をするアプリ? | ・不動産に特化したメディア・ニュース系 ・ネイティブアプリ、またはウェブアプリ |
Why:なぜ使うアプリ? | ・マンション売買の情報収集する ・マンション売買のお役立ちコラムを読む ・不動産屋とチャットで相談する |
When:いつ使うアプリ? | ・日常的に使用していただけるアプリ ・マンションの購入まで使われるアプリ |
Where:どこで使うアプリ? | ・国内の全国を対象(海外は今のところ視野に入れてない) |
How:どのように使うアプリ? | ・フロントエンドのインターフェース:ニュース配信画面、プッシュ通知、チャット機能等 ・バックエンドのインターフェース:ニュース投稿画面、チャット画面 |
How much:課金や広告の売上があるアプリ? | ・完全無料で使えるアプリ ・不動産屋に対して何らかの課金をする |
このような表をアプリ開発の企画書に記載すると、アプリの概要を把握しやすくなります。
具体例:LINEの5W2H
参考までに、実在するアプリであるLINEを5W2Hで表現すると、次のとおりとなります。
LINEの5W2H |
|
---|---|
5W2H | 内容 |
Who:誰が使うアプリ? | ・社外向け、社内向けの両者 ・10代〜幅広く |
What:何をするアプリ? | ・コミュニケーションをメインとしたスーパーアプリ |
Why:なぜ使うアプリ? | ・登録したアカウント同士でチャット・ビデオ・通話でコミュニケーションが取れるから ・数秒の動画配信ができるから ・ニュースが読めるから ・音楽も聞けるから ・ショッピングもできるから ・決済もできるから ・他サービスのアプリをLINEの中で使えるから |
When:いつ使うアプリ? | ・日常的にいつでも使えるアプリ |
Where:どこで使うアプリ? | ・一部の国を除く世界中。主に日本・台湾・タイ・インドネシア |
How:どのように使うアプリ? | ・フロントエンドのインターフェース:チャット・通話・ビデオ機能、ニュース表示、広告表示、動画・音楽配信、決済機能、等 ・バックエンドのインターフェース:アカウントデータ格納、ニュース投稿、広告配信、ミニアプリ追加、等 |
How much:課金や広告の売上があるアプリ? | ・広告あり:メインで使用するチャット機能のページに広告を常に表示させる ・課金1:LINEのテーマを購入できる ・課金2:チャットで使用できるスタンプを購入できる |
アプリ開発の5W2Hとは?
アプリの5W2Hで開発するアプリの企画概要が決まったら、次はアプリ開発の企画概要について5W2Hで考えてみましょう。
アプリ開発の企画概要を5W2Hで表現すると、以下のようになります。
アプリ開発の企画の5W2H
- Who:誰が開発する?
- What:何を開発する?
- Why:なぜ開発する?
- When:いつまでに開発する?
- Where:どこで開発する?
- How:どのように開発する?
- How:いくらの予算・費用で開発する?
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
5W2Hでアプリ開発の企画を考えよう
Who:誰が開発する?
誰がアプリ開発をするのか、という点では、大きく分けて自社開発の場合と外部への委託開発の2種類があります。
実際には、完全に内製化した開発体制でない限り、自社と外部の開発会社と作業を分担することがほとんどです。
逆に言えば、外部の開発会社に開発を丸投げすると、開発が失敗するリスクが高くなります。
こうした点を考慮しつつ、自社の開発体制を確認しながら、以下を参考に決めていくと良いでしょう。
自社内開発
- 完全社内での開発
- 自社で部分的に開発、一部を外部に委託
社外(外部)委託
- 1社の開発会社に委託
- 2社の開発会社に委託(再委託を可能とする)
- オフショア開発
What:何を開発する?
何を開発するのかに関しては、すでに述べた「アプリの5W2H」で考えたアプリそのものが該当します。
どんな機能でどのように連携するかなどは要求定義の段階で決定するため、ここでは簡潔でOKです。
Why:なぜ開発する?
なぜ開発するのかでは、企画趣旨全体を簡潔に書きます。
企画趣旨はここまであげてきたどんなアプリで、そのアプリを開発することで得られるメリットなどをまとめましょう。
アプリ開発のメリット
- アプリ開発により解決する課題(例:売り上げがあがる、業務効率が上がる)
- アプリ開発により販路拡大
- アプリ開発による売り上げアップ
When:いつまでに開発する?
アプリ開発の期間は中央値で約10ヶ月
アプリ開発の開発期間は、ウォーターフォール開発かアジャイル開発かなどの開発手法や、開発するアプリの種類によって異なります。
一般的には、平均では約10ヶ月程かかると言われています(ソフトウェア開発分析データ集2022p.20より)。
このため、まずは、ざっくりと10ヶ月はかかるものと想定しておきましょう。
開発手法や使用するツールによって大幅に異なる
あくまで例ですが、開発手法別に、フルスクラッチ開発(後述)であれば、最短でも6ヶ月〜、最長はカスタマイズする内容によって1年以上もあります。
ノーコードツール(後述)での開発またはローコードツール(後述)での開発の場合、一般には平均3ヶ月ほどと言われています。
正確に検討するには開発会社や開発担当する部署に開発したいアプリの概要を伝え、開発期間を確認した上でアプリのリリース日から逆算して、余裕をもって動きましょう。
また、企画から実装、アプリストアにアップロードする場合はストアでのリリースも含め、アプリ開発の行程は大きく下記の段階に分けることができます。
企画からリリースまでの行程
- 企画
- 開発
- 実装
- テスト
- アプリストア申請(リジェクト対応)
- リリース
各段階で期間が伸び、想定よりリリースの時期がずれてしまうこともあります。
アプリ開発をすることになったら、期間に余裕を持って検討しましょう。
また、リリース後にも、継続的な開発や、保守・メンテナンス・運用の行程も続きます。
Where:どこで開発する?
「Who:誰が開発するのか?」から開発者が決まったら、開発者がどこで開発を進めるのかを決めます。
社内の開発担当部署が開発を進める場合は、社内のルールに則り進めていくこととなります。
一方で、社外の開発会社と進める場合は以下の点を決めましょう。
開発会社との開発体制の例
- 開発会社に自社内に在中してもらい開発を進める(客先常駐)
- 開発会社の社内でのみ開発を進めてもらう
- 開発会社の中の開発担当者での自宅作業(リモートワークの許可)
また、開発会社への委託を検討している場合は、偽装請負にならないよう注意しましょう。
How:どのように開発する?
アプリの開発モデルと手法を決定する
どのようなアプリ開発の手法を取るのが良いかを考えていきます。
どのような開発なのかは、大きく2つ、「アプリの開発モデル」と「アプリ開発の手法」に分けられます。
2種類のアプリの開発モデル
ウォーターフォール開発
ウォーターフォールモデルとは、システム開発の際に、企画から開発完了まで入念に計画を立てその通りに実行する開発モデルです。
【意味・定義】ウォーターフォール開発とは?
ウォーターフォール開発とは、システム開発における工程を上流工程から下流工程に順々に移行していく開発手法をいう。
ウォーターフォール開発は、大規模開発の際には好まれますが、一度始めると仕様変更などが起きた時に後戻りするのが非常に困難です。
このため、一般的には、上流工程において、要件定義や仕様を明確に決めることができるシステム・アプリなどの場合に採用される開発モデルです。
なお、契約形態は、請負契約であることが多いです。
アジャイル開発
アジャイル開発とは、ソフトウェア開発の手法の一つで、開発の途中で変更が起きることを想定し短期間で開発と実装を繰り返し製品のアップデートを細かく行う開発アプローチです。
【意味・定義】アジャイル開発とは?
アジャイル開発は、ソフトウェア開発の手法の一つで、開発の途中で変更が起きることを想定し、短期間で細かな工程の開発と実装を繰り返し、製品のアップデートを細かく行う開発手法をいう。
アジャイル開発は、一般的には小規模なシステム・アプリの開発の際に採用される手法です。
おおまかな要件定義や仕様は最初に決定されますが、その後は、詳細な要件定義や仕様の決定と開発を同時に並行していきます。
このため、発注者(プロダクトオーナー)と開発会社のコミュニケーションが非常に重要となります。
なお、契約形態は、準委任契約であることが多いです。
3種類のアプリ開発の手法
フルスクラッチ
フルスクラッチ開発は、システム構築やアプリ開発において、一から全てコーディングにて開発をする手法です。
【意味・定義】フルスクラッチ開発とは?
フルスクラッチ開発とは、システム構築やアプリ開発において、一からすべてプログラミング・コーディングして開発をする手法をいう。
フルスクラッチ開発は、カスタマイズなど細部まで実現できることが多いものの、その分開発期間と費用がかかります。
ローコード開発
ローコード開発は、アプリ開発を支援するツールを使用してなるべくソースコードを書かずに開発をし、必要な部分のみスクラッチで対応する開発手法です。
【意味・定義】ローコード開発とは?
ローコード開発とは、プログラミングスキルが少なくても、ビジュアルなツールやコンポーネントを使ってアプリケーションが作れる方法をいう。
アプリ開発支援ツールを使用することで、開発期間を短縮し、こだわりの細部はスクラッチで追加もできるハイブリットな開発手法です。
ノーコード開発
ノーコード開発は、アプリ開発支援ツールを使用して開発する手法で、コーディングが不要なため、短期間で費用も抑えた開発が可能です。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
フルスクラッチ開発に比べると、自由なカスタマイズは難しいですが、最近のノーコードツールだとかなり実現できることが多くあり近年注目の開発手法です。
How much:いくらの予算・費用で開発する?
最後に、開発費用の予算や運用時の費用を社内で見積もっておきましょう。
開発するアプリの内容やどのような開発手法をとるかで、費用は変わってきます。
以下は大体の目安としてご参照ください。
アプリのタイプ別開発費用の相場 |
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---|---|
アプリタイプ | 開発費用相場 |
コミュニケーション系(メールやチャット、音声・ビデオ通話等) | 100万~700万程度 |
SNS系(メッセージ、掲示板、チャット等) | 50万円~300万円程度 |
メディア・ニュース | 50万円~300万円程度 |
動画、画像作成 | 50万円~200万円程度 |
地図アプリ | 500万~1,000万円程度 |
EC系(ネットショッピング、オンラインストア) | 100万〜1000万円程度 |
ゲーム系 | 300万円~1,000万円程度 |
業務系 | 50万円~300万円程度 |
また、先ほどもあげたように、アプリ開発の値段は、一概に決まっているわけではありません。
このため、自社の開発費用や保守費用をある程度正確に見積もりたいときは、アプリ開発会社に見積もりをとるのが一番良いです。
アプリ開発の5W2Hの具体例は?
5W2Hで考えたアプリ開発の具体例は、次のとおりとなります。
このような表をアプリ開発の企画書に記載すると、開発の全行程がイメージしやすくなります。
アプリ開発の5W2Hの具体例 |
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---|---|
5W2H | 内容 |
Who:誰が開発する? | ・社外のアプリ開発会社に委託する。 ・個人情報の保護等のセキュリティの関係のため、再委託は不可とする。 |
What:何を開発する? | ・関東圏内でマンション購入を検討している20〜30代の方向けに、売買情報の掲載や、マンション購入に関する情報発信、不動産スタッフとのチャットができるメディアアプリを開発 |
Why:なぜ開発する? | ・弊社はマンションの取り扱いが多く、より多くの顧客を取り込むためにアプリで集客を行う |
When:いつまでに開発する? | ・2月のリリースを目安にする。 ・開発期間は10ヶ月を想定する。 |
Where:どこで開発する? | ・第一希望:自社に客先常駐として開発をしていただく ・第二希望:開発会社の社内で開発をしていただく(リモートも可能) |
How:どのように開発する? | ・アジャイル開発 ・ノーコード、またはローコードを検討 |
How much:いくらの予算・費用で開発する? | ・開発費用:〜500万円 ・維持費用:ツール費用は月額10万円以内で検討、相談したい |
企画が完成し企画書を作成したらアプリ開発業者の選定をしよう
無事にアプリ開発の企画が完成し、企画書を作成したら、次にアプリ開発の業者を選定しましょう。
アプリ開発業者の選定につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
アプリ開発の企画についてよくある質問
- アプリ開発の企画におけるアプリの5W2Hとはどのような考え方ですか?
- アプリ開発の企画におけるアプリのの5W2Hとは、以下の考え方です。
- Who:誰が使うアプリ?
- What:何をするアプリ?
- Why:なぜ使うアプリ?
- When:いつ使うアプリ?
- Where:どこで使うアプリ?
- How:どのように使うアプリ?
- How much:課金や広告の売上があるアプリ?
- アプリ開発の企画における開発行程の5W2Hとはどのような考え方ですか?
- アプリ開発の企画における開発工程の5W2Hとは、以下の考え方です。
- Who:誰が開発する?
- What:何を開発する?
- Why:なぜ開発する?
- When:いつまでに開発する?
- Where:どこで開発する?
- How:どのように使うアプリ?
- How much:いくらの予算・費用で開発する?