このページでは、ビジネス・マーケティングにおけるペルソナとはどんなものなのか、意味や作り方、ペルソナ作成の具体例を紹介します。
ペルソナとは、マーケティング分野で活用される分析手法で、自社製品やサービスのターゲットを架空のユーザー像・人物モデルに落とし込んだものです。
「ペルソナって聞いたことあるけど、実際に設定しても効果があるのかなぁ…?」と思ったことがありませんか?
確かに、ペルソナを設定するメリットは、数字などでは実感しにくいかもしれません。
しかし、ペルソナがあるビジネス戦略とペルソナがないビジネス戦略では、製品やサービスの効果に差が出ると言っても過言ではありません。
ペルソナのメリットを実感するためには、押さえておくべきポイントがあります。
このページでは、そういった作成時のポイントをはじめとして、特に初心者の方にもわかりやすくペルソナがビジネスで重要視されている理由などを紹介していきます。
ペルソナとは?
ペルソナは想定見込み客の詳細設定
ペルソナとは、マーケティング分野で活用される分析手法で、自社製品やサービスのターゲットを架空のユーザー像・人物モデルに落とし込んだものです。
【意味・定義】ペルソナとは?
ペルソナとは、マーケティング分野で活用される分析手法で、自社製品やサービスのターゲットを架空のユーザー像・人物モデルに落とし込んだものです。
元々ペルソナは、「人格」を表すラテン語で、役者がつける仮面を意味します。
そこから派生して、役者が演じる人物や役割、個人、性格を表すようになりました。
それがビジネスにも転じて、マーケティング分野でも使われ「ペルソナ」「ペルソナマーケティング」「ペルソナ分析」の用語で定着しています。
ターゲットとペルソナの違い
ターゲットとは?
ペルソナと同様に、マーケティング分野において活用されるものにターゲットがあります。
ターゲットは、自社製品やサービスの想定顧客層を指します。
【意味・定義】ターゲットとは?
ターゲットとは、マーケティング分野において自社製品やサービスの販売を狙う層をいう。
年齢や性別、職業などの大きな括りでアプローチするユーザー層を絞り込みます。
これを「ターゲティング」や「ターゲット設定」といいます。
ペルソナターゲットの違いは設定の粒度の違い
ターゲットで絞り込んだ層から、さらに想定顧客の設定を詳細におこなったものがペルソナになります。
ターゲットとペルソナは、使用される場面は同じですが、想定見込み客をどこまで絞るかの程度が違います。
つまり、ターゲットとペルソナの違いは、想定見込み客の設定の粒度の違いです。
ターゲットとペルソナの違い
- ターゲットは、自社製品やサービスを想定する想定顧客層で、ペルソナはターゲットをさらに深め1人の顧客像を作ること。その違いは、想定見込み客の設定粒度の違い。
なぜビジネスでペルソナを設定するのか?
ターゲットの設定だけでは何も決めていないのと同じ
自社商品やサービスを展開する際に、ターゲットの設定のみでも展開は可能です。
しかしながら、ターゲットの設定だけでは、対象となる見込み客がはっきりしない状態となります。
こうしたぼんやりとしたターゲットは、誰にも刺さらず、結果的に何も設定していないことと同じことになってしまいます。
ターゲット設定だけではダメな理由
- サービスや製品の戦略が曖昧になる
- マーケティング戦略に効果が出ない
ペルソナの設定により見込み客が自分ごととして考える
そこで、ターゲットよりもさらに絞り込んだペルソナの設定が重要となります。
ペルソナを設定することで、そのペルソナに当てはまる想定見込み客は、製品やサービスについて自分ごととして考えるようになります。
また、ペルソナそのものに直接当てはまらなかったとしても、ペルソナの周辺の見込み客に対しても、製品・サービスを訴求できる可能性が高くなります。
このように、ペルソナの設定は、ペルソナに当てはまる人だけでなく、その周辺を対象にする、という点が重要となります。
ペルソナは関係者が想定見込み客の認識を共有できる
また、ターゲットしか設定できていない場合、社内や関係者間で見込み客・顧客のイメージにばらつきが出てしまいます。
これに対し、ペルソナを設定しておくことで、認識を統一することができます。
特に、判断に迷う場面では、ペルソナを基準に判断することで、無駄な時間をかけて判断をしなくても済みます。
逆に言えば、しっかりとペルソナを作り込んでおかないと、常に誤った認識や判断をしてしまうリスクもあります。
ペルソナ作成のメリット
ペルソナ作成のメリットとは?
ペルソナ作成には、主に次のメリットがあります。
ペルソナ作成のメリット
- メリット1:チームでターゲットの人物像を共有できる
- メリット2:ユーザーのニーズに合わせた開発ができる
- メリット3:ユーザーに合わせてマーケティングができる
以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1:チームでターゲットの人物像を共有できる
メリットの1つ目は、社内やチーム内でターゲットとなる人物像を具体的に共有できることです。
ターゲットのみでペルソナを設定していない場合、同じチーム内でもターゲットから想定する人物像は全く別のものになります。
例えばターゲットが、30代・男性・会社員でも、チームのAさんはアクティブな営業を浮かべるかもしれませんし、チームのBさんはSEを思い浮かべるかもしれません。
この違いから、戦略の立て方や、商品やサービスの広告内容などで、全く異なる方針になってしまいます。
メリット2:ユーザーのニーズに合わせた開発ができる
メリットの2つ目は、ユーザーのニーズに合わせた開発ができることです。
ペルソナの作成を商品やサービスの企画段階から丁寧に作り上げることで、現実にターゲットとしているユーザーに求められている商品の開発ができます。
メリット3:ユーザーに合わせてマーケティングができる
メリットの3つ目は、ユーザーに合わせてマーケティングができることです。
しっかりとペルソナを立てておくことで、そのターゲットとしているユーザーの目に留まるような効果的なマーケティングができます。
例えば、商品の広告を出す際に、ペルソナが定まっていれば、新聞に広告を出すのか、ニュースサイトに広告出すのか、それともYoutubeなどのアプリに広告を出すのか、などなど、何が一番効果的な手段なのかを探しやすくなります。
ペルソナ作成の方法
ここからは、実際のペルソナ作成方法について以下の4つの手順に分けて解説していきます。
ペルソナ作成の手順
- 手順1:ペルソナの設定項目を考える
- 手順2:情報を集める
- 手順3:情報をもとにペルソナの概要を作る
- 手順4:ペルソナに詳細やストーリーをつける
手順1:ペルソナの設定項目を考える
まずはペルソナを組み立てるための設定項目を考えます。
設定項目には以下の内容を元に作成し、必要に応じて項目の削除・追加をします。
必要かどうかは、サービスや商品の購入に関わりそうなデータであるかどうかで考えます。
ペルソナの設定項目
- 名前
- 年齢
- 性別
- 住んでいる場所(都道府県〜市区町村まで)/最寄駅
- 現在の仕事、役職
- 仕事内容
- 勤務先や経営している会社の事業規模
- 収入
- 最終学歴
- 恋人、配偶者の有無、家族構成
- 平均インターネット利用時間
- インターネット閲覧のメインデバイス
- スマホのOS
- よく使うSNS
- 情報収集のツール・サービス
- 生活サイクル(平日・土日)
- 人間関係、交友関係
- 価値観、物の考え方
- 今課題と感じていることやチャレンジしたいこと
- 貯蓄
- インドア派、アウトドア派
- 趣味
- 現在の悩み
手順2:情報を集める
自社データを活用する場合は既存のデータを整理する
情報収集には、自社データを活用する方法と、社外のデータを活用する方法があります。
自社データの活用の場合は、ペルソナに設定する項目に合わせてデータを整理していきます。
また、既存顧客の中から今回のペルソナに合う人がいれば、直接インタビューをするのも良いでしょう。
なお、自社データは、データ収集の段階でフィルタリングがされ、バイアスがかかっていることもあります。
このため、こうしたバイアスには注意します。
社外データは有償サービスかオープンデータを使う
社外のデータを収集する場合は、外部業者に街頭インタビューやアンケートを実施してもらう、電話回答を依頼する、などが可能です。
コストがかかりますが、この場合情報の精度が高くなります。
外部業者を使わない場合は、WEBの活用も考えられます。
SNSで口コミやコメントをリサーチしたり、外部サイトのアンケート結果などをのオープンデータ使用します。
手順3:情報をもとにペルソナの概要を作る
手順2で集めた情報を、設定項目に当てはめていきます。
ここでは明らかな情報を淡々と埋めていき、漏れがないか、項目に対して簡潔になっているかを確認し、次の手順で詳細に記入します。
手順4:ペルソナに詳細やストーリーをつける
最後に、概要をもとに詳細やストーリーを作ります。
これは、ペルソナを説明する文章で、一人称の文章でストーリーを作成するケースが多いです。
自己紹介文を作成するように記載していくとうまくいきます。
ペルソナを作成するときのポイント
ペルソナを作成するときのポイント
- ポイント1:いきなりペルソナを作り出さない
- ポイント2:情報収集をていねいにする
- ポイント3:わかりやすいペルソナ作りを意識する
- ポイント4:なるべくリアルなペルソナを設定する
- ポイント5:あまりにニッチなペルソナを設定しない
ポイント1:いきなりペルソナを作り出さない
1点目のポイントは、情報収集をせずにいきなりペルソナを作り出さない、ということです。
情報収集をせずにいきなり思いつきでペルソナを作り出すと、本来のターゲット像から離れていってしまいます。
データに基づかない自社に有利な顧客像の設定は、視野を狭め、ニーズを見逃してしまう原因となります。
先入観を避けるために、客観的なデータを活用しましょう。
ポイント2:情報収集をていねいにする
2点目のポイントは、ペルソナに関する情報収集をていねいにする、ということです。
ペルソナの設定は、実際に存在する顧客のデータが基礎になります。
情報収集を雑に行うと、実際にペルソナを作っていくときに、イメージや先入観で作成することに繋がります。
その結果、先にもあげた本来のターゲット像から離れていくことになります。
ポイント3:わかりやすいペルソナ作りを意識する
3点目のポイントは、誰にでもわかりやすいペルソナを作る、という点です。
社内やチーム内で共有するペルソナは、誰もが見てわかりやすくないと、認識の違いが生まれ、連携がうまくいきません。
第三者から見て疑問が出ないほどシンプルにわかりやすく記載しましょう。
ポイント4:なるべくリアルなペルソナを設定する
4点目のポイントは、なるべくリアルなペルソナを設定する、という点です。
誰もがはっきりとイメージできるペルソナは、チーム内で認識を統一することに繋がります。
また、顧客に対しても、イメージがされやすい商品を届けることができます。
逆に、あまりに現実から遠いペルソナを設定すると、顧客が自分ごとに落とし込みにくく、顧客離れの原因に繋がります。
ポイント5:あまりにニッチなペルソナを設定しない
5点目のポイントは、あまりニッチなペルソナを設定しないことです。
ペルソナを作成する際、設定を絞り込むことは、非常に重要です。
だからといって、あまりにもペルソナをニッチに設定してしまうと、見込み客になり得る絶対数が圧倒的に不足してしまいます。
結果として、製品・サービスの開発や販売の戦略の幅も狭まってきてしまいます。
このため、ペルソナの作成する際には、どの程度まで設定を絞り込むのかのさじ加減がポイントとなります。
アプリ開発を例にペルソナを作成
それでは、ペルソナ設定の具体例を紹介します。
ここでは「ふるさと納税アプリの開発」を例にペルソナを作成していきます。
アプリのユーザーを想定したペルソナの具体例
「ふるさと納税アプリの開発」を例にしたペルソナ設定 | ||
---|---|---|
ペルソナ設定項目 | ペルソナ設定 | |
名前 | 岡部 明日香 | |
年齢 | 24歳 | |
性別 | 女性 | |
住んでいる場所(都道府県〜市区町村まで)/最寄駅 | 神奈川県川崎市高津区/梶ヶ谷駅 | |
現在の仕事、役職 | ブライダル会社の経理部一般社員 | |
仕事内容 | 経理事務 | |
収入 | 手取り23万円(年2回ボーナス有り) | |
最終学歴 | 短大卒業 | |
恋人、配偶者の有無、家族構成 | 恋人と同居予定。家族は両親と姉妹二人(3姉妹の次女) | |
平均インターネット利用時間 | 1日3時間30分 | |
インターネット閲覧のメインデバイス | スマートフォン | |
スマホのOS | iOS | |
よく使うSNS | LINE、Instagram、Youtube | |
情報収集のツール・サービス | サイト記事検索、ニュースアプリのコラム記事、Youtube | |
生活サイクル(平日・土日) | 平日:朝7時起床→9時出社〜18時就業→19時30分帰宅→23時就寝
土日:朝8時起床→23時就寝 |
|
人間関係、交友関係 | 短大時代の仲の良い友人とたまに会う。趣味仲間やサークルの仲間とは浅く付き合いがある。 | |
価値観、物の考え方 | 計画を立てて進めるのが得意。常に冷静で感情的な人が苦手。 物事を決める時は、数字や事実に基づいて慎重に判断をする。 冷蔵庫の中は常に1週間分の食料をストック、献立までは決めないが週末までに使い切れるようにしている。 |
|
今課題と感じていることやチャレンジしたいこと | 物価上昇や電気代高騰があり、積立ニーサなどに興味がある。今は無料で受講できるオンラインセミナーなどを休日に参加し、情報収集をしている。 | |
貯蓄 | 180万円(ボーナスも全てつぎ込むタイプ) | |
インドア派、アウトドア派 | インドア派だが、付き合いで日帰りキャンプなどのアウトドアが増えてきた | |
趣味 | 爆買い・爆食いのTVやYoutubeを観ること。長風呂。 | |
現在の悩み | 将来に金銭の不安があり、同居や老後のことを考え蓄えを増やしていくことを考えている。今転職をする気はなく、手元にあるものですぐにできる節約や、貯蓄の増やし方の情報を集めている。積立ニーサ、投資、ふるさと納税、ポイ活などなど。 |
ペルソナに関するよくある質問
- ペルソナとは、何ですか?
- マーケティング分野で活用される分析手法で、自社製品やサービスのターゲットを架空のユーザー像・人物モデルに落とし込んだものです。
- ペルソナ作成の手順を教えて下さい。
- ペルソナ作成には、以下の4段階の手順があります。
- 手順1:ペルソナの設定項目を考える
- 手順2:情報を集める
- 手順3:情報をもとにペルソナの概要を作る
- 手順4:ペルソナに詳細やストーリーをつける