
本記事では、ノーコードによる日報業務の電子化や日報管理ツール・システム・アプリの導入と、そのメリット、特に効率化や自動化について解説します。
日報は、日々の業務を効率的に管理するための重要な手段として、多くの業種で活用されています。
しかし、日報作成には時間がかかることや、正確なデータ記録が難しいといった課題もあります。
こうした課題を解決するための方法として、ノーコードツールを利用した日報管理ツール・システム・アプリの導入が有効です。
本記事では、手作業や書面での日報を電子化するメリットや、ノーコードを活用した日報管理ツール・システム・アプリを構築する際に抑えておきたいポイントについて詳しくご紹介します。
日報業務の課題とニーズ
日報業務とは
まずは、日報業務の課題とニーズについてみていきましょう。
日報は、「日次報告書」の略称であり、業務の進捗状況を把握するために使用されます。
【意味・定義】日報とは?
日報業務とは、主に企業や組織内で、従業員が1日の業務内容や成果、問題点、次の日の予定などを記録して上司やチームに報告する業務をいう。
仕事の効率化が進むとともに、問題の早期発見や改善策の検討にも役立ちます。
日報には、達成した目標、未達成の目標、直面した課題、今後の対応策などが含まれます。
このため、日報は、業務の振り返りと次のステップを明確にするための重要なツールです。
日報業務の課題
他方で、日報は日々の報告書になるため、その課題は次のように多岐にわたります。
手作業による日報業務の課題
- 時間と労力の消費
- データの整合性と正確性の確保の困難
- 情報の共有とアクセスの制限
- データの整理・管理と検索の困難さ
特に、手作業での日報の作成や、書面での日報は非常に手間がかかります。
このため、成果が感じられにくい日報業務は、「意味がない」とまで思われがちです。
日報アプリの利用目的
日報アプリには、以下を始めとするニーズがあります。
日報アプリの利用目的
- 進捗管理と透明性の確保
- コミュニケーションの向上
- 問題点や課題の早期発見
- 個人の業務評価
- 業務改善と効率化
- 記録としての役割
事業内容・事業規模によって導入するシステムを検討
日報アプリの機能・コストは様々
日報アプリは、無料のものから高額ものまで、様々あります。
ただ、企業独自の柔軟な日報業務に対応できる高機能なシステム・アプリは、どうしても高額になりがちです。
こうした高機能なシステム・アプリは、事業規模によっては、導入や運用のコストが収益を圧迫する可能性があります。
このため、日報アプリは、売上・利益等に応じたシステムの導入が重要なポイントになります。
費用対効果が高いノーコードツールがおすすめ
そこで注目されているのが、ノーコードツールを活用したアプリの構築です。
ノーコードツールは、比較的低コストで、柔軟なアプリの構築ができます。
このため、ノーコードツールを活用することで、企業ごとの業務フローに合わせた日報業務のアプリ化・システム化が無料・低コストで実現できます。
ノーコードツールとは?
ノーコード開発=プログラミング不要の開発手法
ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、ノーコード開発ツールを使用してアプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
ノーコード開発の手法を取る際に必要になるのが、ノーコードツールやノーコード開発ツールです。
【意味・定義】ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。
ノーコードツールは様々な会社が提供しており、大部分は同じですが、ツールによって機能が少し異なります。
このノーコードツールを使うことで、ドラッグ&ドロップするだけでアプリの開発を可能にします。
ノーコードツールが注目される理由
近年、ノーコード開発は世界で注目を集めています。
その理由は主に以下の4つです。
ノーコード開発が注目される4つの理由
- IT人材の不足
- クラウドサービスの一般化
- 大企業によるノーコード開発への参入
- DX促進
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリット
続いて、ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットをご紹介します。
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリット
- メリット1.低コスト・短期間で導入が可能
- メリット2. それぞれの企業の日報業務に特化したツールの構築が可能
- メリット3. ユーザーインターフェースの改善が可能
- メリット4. 自動化と効率化が可能
- メリット5. モバイル対応が可能
それぞれ、以下で詳しく解説します。
メリット1. 低コスト・短期間で導入が可能
スクラッチ開発に比べると低コスト・短期間
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットの1つ目は、低コスト・短期間で導入が可能な点です。
ノーコードツールは、初期の開発費用が従来の方法と比べて低く抑えられます。
それだけでなく、ランニングコストも低く、場合によっては無料で利用できることもあります。
また、開発期間が短いため、すぐに業務の効率化を実現することができます。
これは、スクラッチ開発の場合と比べて、大きなメリットと言えます。
【意味・定義】スクラッチ開発とは?
スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。
結果的に高くつく場合もあり得る
ただし、ノーコードツールは、自由に開発ができるスクラッチ開発などとは異なり、機能が制限されることもあります。
こうした場合であっても、追加のプラグインやカスタマイズをすることで、柔軟に対応できることもあります。
もちろん、こうしたプラグインやカスタマイズには、費用が発生することがあります。
その結果、コストや導入期間が予想以上に増加することがあります。
以上の点から、ノーコード開発によって日報業務のシステム化・アプリ化を進める際には、仕様を明確化したうえで、その仕様を実現できるノーコード開発ツールを選定することが、極めて重要となります。
メリット2. それぞれの企業の日報業務に特化したツールの構築が可能
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットの2つ目は、それぞれの企業の日報業務に特化したツールの構築が可能な点です。
ノーコードツールを活用することで企業ごとに異なる業務フローや日報に求められる項目に対応し、各企業の固有のニーズに合わせた日報アプリを簡単に作成することができます。
企業の日報業務に特化したカスタマイズの具体例 |
|
---|---|
業務内容に合わせた項目設定 |
|
承認フローの設計 |
|
ノーコードツールは柔軟性がある一方で、非常に複雑な業務フローや高度なカスタマイズには限界がある場合があります。
こうした場合は、ノーコードツールではなく、スクラッチ開発によるアプリ・システム開発も視野に入れて検討するべきです。
メリット3. ユーザーインターフェースの改善が可能
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットの3つ目は、ユーザーインターフェースの改善が可能な点です。
日報アプリは、日報業務が煩雑にならないよう、使いやすいインターフェースが重要です。
【意味・定義】インターフェースとは?
インターフェースとは、「境界面」や「接点」のことであって、2つの異なるシステムなどがお互いに通信や操作を行うために必要な方法やソフトウェアをいう。
ノーコードツールを活用することで、直感的でストレスの少ない操作画面を設計でき、業務の効率を大幅に向上させることができます。
【意味・定義】UI(ユーザーインターフェース)とは?
UI(ユーザーインターフェース)とは、Webサービスやアプリなどのサービスを利用するユーザーとサービスを提供する機器や道具の接点をいう。
ユーザーインターフェース改善の具体例 |
|
---|---|
直感的なデザイン |
|
カスタムフィールド |
|
デメリットとして、ノーコードツールでは高度なカスタマイズが難しく、特殊な機能やデザインが必要な場合には制約が生じることがあります。
メリット4. 自動化と効率化が可能
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットの4つ目は、自動化と効率化が可能な点です。
日報業務の多くのプロセスを自動化することで、業務効率が向上し、時間の節約やヒューマンエラーの削減が期待できます。
その結果、従業員はより重要な業務に集中でき、生産性の向上につながります。
自動化と効率化の具体例 |
|
---|---|
自動集計とレポート生成 |
|
自動通知とリマインダー |
|
ただし、複雑な業務フローや特殊な要件に対応しきれない場合があり、柔軟性が制限されることがあるので注意が必要です。
メリット5. モバイル対応が可能
ノーコードツールで日報業務をアプリ化するメリットの5つ目は、モバイル対応が可能な点です。
多くのノーコードツールは、モバイル対応となっています。
このため、ノーコードツールで日報アプリを構築する場合、外出先や現場でも簡単に日報を提出・管理でき、どこからでもリアルタイムで情報を更新・確認できます。
また、ノーコードツールによっては、オフラインでの日報の作成にも対応している場合もあります。
これにより、業務の柔軟性と効率性が大幅に向上します。
モバイル対応の効果の具体例 |
|
---|---|
外出先でも提出可能 |
|
リアルタイムでの確認と承認 |
|
オフラインモード |
|
ノーコードツールによってはデバイス間での一貫した動作や特定の機能制限がある場合があり、複雑な操作には対応しきれないことがあります。
ノーコードツールで日報アプリを構築するポイント
ノーコードツールで日報アプリを構築する場合は、特に以下の2点に気をつける必要があります。
ノーコードツールで日報アプリを構築するポイント
- ポイント1. 日報内容の項目設計を明確にする
- ポイント2. フィードバック機能の実装
以下では、各ポイントについて解説します。
ポイント1. 日報内容の項目設計を明確にする
ノーコードツールで日報アプリを構築するポイントの1つ目は、日報内容の項目設計を明確にすることです。
日報に必要な項目(作業内容、進捗状況、問題点、次のステップなど)を事前に明確に定義しておくようにしましょう。
業務に必要な情報が漏れなく記録できるよう、適切な項目設定を行い、過不足のない日報が作成できるように設計することが求められます。
日報内容の項目設計の具体例
- 日報に記載する項目(作業時間、完了したタスク、未完了のタスク、課題)をあらかじめ設定し、項目ごとに入力形式(テキスト、チェックボックス、ドロップダウンメニューなど)を決めておく
ポイント2. フィードバック機能の実装
ノーコードツールで日報アプリを構築するポイントの2つ目は、フィードバック機能の実装することです。
日報は業務改善のための貴重なデータ源であるため、アプリ内で上司や同僚からフィードバックを受けやすくする仕組みを整えておくことが重要です。
フィードバックを簡単に提供・受け取れる環境を作ることで、日報を活用した迅速な改善が可能になります。
フィードバック機能の具体例
- 日報にコメント機能を追加し、上司が簡単にフィードバックを行えるようにする
- フィードバックをタスクに紐づけて管理することで、進捗管理も効率化できる
日報業務に向いたノーコードツールの具体例・事例
日報アプリの構築に向いたノーコードツールはいくつかあります。
そのうちの「AppSheet」を活用した、デバイスに依存しない日報アプリを紹介します。
上記のアプリは、実際に弊社で構築した建設業者向けの日報アプリです。
こちらは、スマホから日報データを簡単に入力でき、集計作業を自動化する機能も実装されています。
また、日報の提出状況や未提出のものがリアルタイムで見える化され、管理者は効率的に確認できます。
これにより、エクセルでの手動入力を省き、集計時間を即時に短縮、業務効率化の実現が可能となりました。
まとめ
日報管理システムの導入は、日々の作業時間の短縮と情報管理の精度向上を実現し、業務の効率化や生産性の向上に寄与します。
しかし、現場の実情に合わないシステムを導入すると、逆に作業時間が増えたり、業務効率が低下することもあります。
このようなリスクを避けるためには、ノーコードツールを使った日報管理アプリの構築が効果的です。
ノーコードツールなら、従来の業務フローに合わせて柔軟にアプリを作成でき、低コストで最適なシステム導入が可能です。
当社では、こうしたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。
業務アプリ・業務システムの開発・導入や業務改善・業務効率化でお悩みの方は、今すぐお問合せフォームからご連絡ください。