AppSheetのOCR機能(画像認識機能)とは?使い方や業務アプリ・業務システムへの活用法も解説

本記事では、AppSheetのOCRの機能や使い方、導入の際のメリット・注意点、具体的なシステム・アプリでの利用方法等について解説しています。

OCR(Optical Character Recognition)は、「光学文字認識」のことで、画像や書類などの光学的なデータから、文字情報をテキストデータとして抽出する技術のことです。

OCR技術が広く使われる前は、手書きや印刷された文書を手作業で入力する必要があり、時間がかかるうえ、人為的なエラーが多発していました。

近年では、このOCR技術が発達し、業務効率化のために広く使われるようになり、文書や画像から文字を自動的に読み取ることで作業時間が短縮され、正確性が向上しました。

このOCR技術を使用できるツールは様々ありますが、業務効率化のために使われている代表的なものが、Googleが提供している「AppSheet」です。

本記事では、OCR機能が使えるカスタムシステム・アプリ構築ツール「AppSheet」の簡単な概要とOCR機能を導入するメリットや注意点を詳しく解説します。

AppSheetとは?

AppSheet=Googleが提供するノーコードツール

まずはAppSheetの基本をみていきましょう。

AppSheetは、Googleが提供するノーコードでアプリ構築ができる開発ツールのひとつで、低コストで、柔軟かつ比較的高機能なアプリ構築ができる点に特徴があります。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetは国内外問わず多くの企業で使われているノーコードツールの一つで、プログラミングの知識がなくても簡単にカスタムアプリを作成できます。

ノーコード開発・ノーコードツールとは?

ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」「ノーコード開発ツール」といいます。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・事例についても解説

ノーコードツールは、従来のプログラミングに頼らずにビジネスユーザーや非技術者でも手軽にアプリ開発ができるようにするためのプラットフォームです。

AppSheetのメリット

AppSheetを導入するメリットは、以下の通りです。

AppSheetのメリット
  • 導入コストの低さ
  • 柔軟性とカスタマイズ性
  • リアルタイムなデータ更新
  • 開発時間の短さ

無料プランの提供もあるので、まずは無料でテストアプリを作ってみるのがおすすめです。

なお、AppSheetの料金プランにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetの料金プランは?業務アプリの無料枠についても解説

AppSheetの「OCR」機能とは?

次に、AppSheetのEnterpriseプランで提供されている「OCR」機能をご紹介します。

OCR(Optical Character Recognition) = 「光学文字認識」

【意味・定義】OCR(Optical Character Recognition)とは?

OCR(Optical Character Recognition)とは、コンピューターが画像や文書から文字を認識し、テキストデータとして抽出する技術をいう。

日本語では「光学文学認識」として知られる「OCR」は、画像や文章などの視覚情報を解釈しテキストデータとしてデータを取り込む、近年注目されている技術です。

AppSheetの「OCR」でできること

AppSheetの「OCR」機能は、現在はβ版として提供されています。

AppSheetの「OCR」機能でできること
文字の自動処理
  • 紙の書類をデジタル化し、電子的に保存、検索、編集するためのテキストデータに変換
  • 機械が処理できるテキストデータ形式に変換し、自動的な分類、検索、分析などの処理を行う
テキストの抽出
  • 画像や文書からテキストを抽出し、自動的にデータベースに格納したり別のアプリケーションで処理したりする

参照:AppSheetのOCRについて(AppSheetの公式サイト)

AppSheetの「OCR」機能を使うメリット

このように、AppSheetの「OCR」機能はβ版であるものの、AppSheetの他の機能と組み合わせることによって、以下の様々なメリットを発揮できます。

AppSheetの「OCR」機能を使うメリット
  • メリット1. データ入力の効率化
  • メリット2. 正確性の向上
  • メリット3. リアルタイムな情報検索
  • メリット4. 統合性と柔軟性
  • メリット5. 保管の容易さ

以下、詳しくみていきましょう。

メリット1. データ入力の効率化

AppSheetの「OCR」機能を使うメリットの1つ目は、データ入力の効率化です。

OCRを使うと画像や文書からテキストデータを自動的に抽出できるので、手作業でのデータ入力作業が不要になります。

事業活動では、様々な書類のデータをシステム等に入力しなければならない場面があります(例:レシートの金額を経費申請のシステムに入力する、等)。

AppSheetのOCR機能により、こうしたデータ入力の手間が削減され、他のシステムやAppSheetの他の機能との連動により、業務の効率化ができます。

メリット2. 正確性の向上

AppSheetの「OCR」機能を使うメリットの2つ目は、正確性の向上です。

手動でデータ入力を行う場合、入力ミスや読み間違いなどのヒューマンエラーを避けることは困難です。

これに対し、OCR機能を使いテキストデータを自動抽出すると、データの正確性向上が期待できます。

ただし、OCR機能は、100%間違えないわけではありませんので、最終的には人間による確認は必須となります。

メリット3. リアルタイムな情報検索

AppSheetの「OCR」機能を使うメリットの3つ目は、リアルタイムな情報検索が行える点です。

紙で管理している書類から必要な情報を検索するには、1枚ずつ目視で確認していく必要があり、時間と手間がかかります。

しかし紙ではなく、OCR機能を使ってテキストをデータで保管しておけば、必要な情報をリアルタイムで検索できます。

こうした検索機能により、必要な情報にアクセスする時間を大幅に短縮できます。

メリット4. 統合性と柔軟性

AppSheetの「OCR」機能を使うメリットの4つ目は、統合性と柔軟性です。

AppSheetは他のアプリやシステムと連携ができます。また、AppSheet自身の他の機能とも連動できます。

こうした連動により、異なるサービス間や機能間でのデータ共有が可能です。

当然ながら、OCRを使って抽出したテキストデータを、他のサービスへ送信し使用することもできます。

メリット5. 保管の容易さ

AppSheetの「OCR」機能を使うメリットの5つ目は、保管の容易さです。

OCR機能を用いたデジタル保管は、紙媒体での保管と異なり、書類のファイリングの手間や保管場所が不要になり、経年劣化のリスクも軽減されます。

また、画像データでの保管もテキストデータに比べて保存容量が大きくなる傾向があるため、OCR機能でテキストデータに変換することで、保存容量を削減できます。

さらに、取り込んだテキストデータをクラウド上に保管すると、リモートワークやテレワーク先からのファイルアクセスが可能です。

【意味・定義】クラウドとは?

クラウドとは、インターネットを介してデータやサービスをオンライン上のリモートサーバーに保存・アクセスする仕組みや場所をいう。

AppSheetの「OCR」機能の注意点

AppSheetの「OCR」機能使用の注意点は3つあります。

AppSheetの「OCR」機能の注意点
  • 注意点1. AppSheet Enterpriseのみ利用可能
  • 注意点2. 学習用にデータが必要
  • 注意点3. 精度に注意

注意点1. AppSheet Enterprise Plusのみ利用可能

AppSheetの「OCR」機能の注意点の1つ目は、AppSheet Enterprise Plusのみ利用可能な点です。

現状β版として提供されているAppSheetのOCR機能を利用できるのは、有料プランの「Enterprise Plus」のみです。

参照:AppSheetの料金プラン(AppSheetの公式サイト)

注意点2. 学習用にデータが必要

AppSheetの「OCR」機能の注意点の2つ目は、学習用にデータが必要な点です。

事前に4件ほどのデータ(画像・文書と抽出結果)を入力し、テストデータを使って学習することで、実際のデータのテキスト抽出の精度が向上します。

注意点3. 精度に注意

AppSheetの「OCR」機能の注意点の3つ目は、精度に注意を要する点です。

特に、手書きの文字や不明瞭な画像、異なるフォントやスタイルの文字に対しては精度が低下する可能性があります。

OCRは高度な機能ですが100%の精度は保証できないため、抽出したテキストをダブルチェックするプロセスがあると安心です。

AppSheetの「OCR」機能で構築できるアプリの具体例

最後に、AppSheetのOCR機能を使って構築できるシステム・アプリの具体例をご紹介します。

AppSheetの「OCR」機能で構築できるシステム・アプリの具体例
請求書管理アプリ
名刺管理アプリ
文書管理アプリ
  • 文書をスキャン・文書内のテキストを抽出して、テキストを検索可能な形式に変換
  • 文書の内容を素早く検索したり、カテゴリー分けしたりすることが可能
経費精算アプリ
(レシート・領収書管理アプリ)
  • レシートや領収書などの文書からテキストデータを抽出し、自動的に情報を読み取り、経費精算書を作成
  • シンプルなレシート・領収書への使用や、テストデータとして事前登録しておくことがおすすめ
    (書式が複雑で多様なレシート・領収書を取り込む場合、OCR技術だけでの対応は難しい場合がある)

まとめ

AppSheetのOCR機能を使うことで、低コストでのシステム・アプリの構築ができます。

手作業の労力を削減しデータの取り込みを自動化することで、業務効率を向上させられるため、業務改善システム・アプリの構築に特におすすめです。

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