このページでは、プロダクトオーナーとは何か、初心者の方にもわかりやすく紹介します。
プロダクトオーナーとは、アジャイル開発(スクラム開発)における発注側の責任者であって、開発において製品や開発の方向性を決める役割の者を指します。
以下の記事では、プロダクトオーナーの役割、必要なスキル、スクラムマスター、プロジェクトオーナーとの違いについてわかりやすく解説します。
プロダクトオーナーとは?
プロダクトオーナーはアジャイル開発で方針を決める責任者
プロダクトオーナーとは、アジャイル開発における発注側の責任者であって、製品(プロダクト)開発において、製品や開発の方向性を決める役割の者のことです。
プロダクトオーナーは、アジャイル開発の手法の中でも、特にスクラム開発において設置されることが多い役職です。
【意味・定義】プロダクトオーナーとは?
プロダクトオーナーとは、アジャイル開発における発注側の責任者であって、製品(プロダクト)開発において、製品や開発の方向性を決める責任者をいう。
【意味・定義】アジャイル開発とは?
アジャイル開発は、ソフトウェア開発の手法の一つで、開発の途中で変更が起きることを想定し、短期間で細かな工程の開発と実装を繰り返し、製品のアップデートを細かく行う開発手法をいう。
なお、スクラム開発とは、アジャイル開発の1つで、スクラムチームと呼ばれる開発チームを組み、短期間・少人数でコミュニケーションを重視する開発手法です。
プロダクトオーナーも、このスクラムチームの構成メンバーとなり、開発に関与します。
【意味・定義】スクラム開発とは?
スクラム開発とは、スクラム(スクラム開発)とは、アジャイル開発の1つで、スクラムチームと呼ばれる開発チームを組み、短期間・少人数でスプリント(一定期間の開発)を繰り返し、コミュニケーションを重視する開発手法をいう。
プロダクトオーナーの役割・仕事内容
プロダクトオーナーの役割や、仕事は主に以下の5つです。
プロダクトオーナーの5つの役割・仕事内容
- 1.製品の目標を明確にする
- 2.プロダクトバックログの作成・管理
- 3.顧客のニーズを的確に把握する
- 4.開発作業の優先順位を明確にする
- 5.ステークホルダーとスクラムチームをつなぐ役割
1.製品の目標を明確にする
プロダクトオーナーの役割の1つめは、製品の目標を明確にすることです。
プロダクトオーナーは、製品の目標や最終的なゴールを開発チームに伝える役割があります。
こうした製品の目標や最終的なゴールをチーム全員で共有することで、開発チームが顧客の要望を理解し、開発の成功率が上がります。
2.プロダクトバックログの作成・管理
プロダクトオーナーの役割の2つめは、プロダクトバックログの作成と管理です。
プロダクトバックログとは、開発に必要なプロダクトへの要望をまとめたリストやドキュメントです。
【意味・定義】プロダクトバックログとは?
プロダクトバックログは、プロダクトへの要望や発注側の要求事項をまとめたリストやドキュメントをいう。
スクラム開発では、プロダクトバックログに沿って開発を進めます。
プロダクトオーナーは、開発状況に合わせてプロダクトバックログを更新するなど管理を行います。
これにより、開発チームが常に最新の情報や全体を把握することができ、開発を効率よく進められます。
3.顧客のニーズを的確に把握する
プロダクトオーナーの役割の3つめは、顧客ニーズの的確な把握です。
開発によってプロダクトが出来上がっても、顧客のニーズが満たされていなければ、開発が無駄になってしまいます。
そのため、プロダクトオーナーは、開発に入る前や開発中に、顧客のニーズをしっかり把握しておく必要があります。
4.開発作業の優先順位を明確にする
プロダクトオーナーの役割の4つめは、開発作業の優先順位の明確化です。
アジャイル開発においては、プロダクトバックログにおいて、要求事項の優先順位を決めます。
この優先順位を決めることが、プロダクトオーナーの大事な役割です。
プロダクトオーナーは、開発チームが効率よく開発に取り組むために、この優先順位を決定し、必要に応じて優先順位の更新も行います。
5.ステークホルダーとスクラムチームとの連携
プロダクトオーナーの役割の5つめは、ステークホルダーとスクラムチームとの連携です。
ステークホルダーとは、利害関係者を表す英語で、ビジネスや開発において利害が発生する関係者全般を指します。
スクラム開発においては、特に発注者側の利害関係者を意味します。
【意味・定義】ステークホルダー(スクラム開発)とは?
スクラム開発におけるステークホルダーとは、発注者側の利害関係者をいう。
プロダクトオーナーは、ステークホルダーとスクラムチームをつなぐ役割をもち、開発において重要なポイントや戦略の相談を行います。
スクラムマスターやプロジェクトマネージャーとの違い
スクラムマスターとは
スクラムマスターは、受注者側の管理者・責任者であって、開発そもものの調整する役割を持ち、プロダクトオーナーと開発メンバーのサポートをします。
【意味・定義】スクラムマスターとは?
スクラムマスターは、受注者側の管理者・責任者であって、開発そのものの調整などを行い、プロダクトオーナーと開発メンバーのサポートをする役割をいう。
スクラムマスターは、開発の進め方やチーム内でのルールなどをスクラムチーム内に共有したり、課題に取り組む際の指揮を取ります。
スクラムマスターは、前に立ってプロジェクトを進めるよりも、開発チームのサポートにまわる役割を持ちます。
プロダクトマネージャーとは
プロダクトマネージャーとは、プロダクト(製品やサービス)に対して責任を持ち、戦略にもとづいてプロダクトの成長、売り上げ目標の達成を目指す発注者側の職種です。
プロダクトマネージャーは、プロダクトについて、経営的な視点が強く求められます。
なお、プロダクトマネージャーは、PdMと略されます。
【意味・定義】プロダクトマネージャーとは?
プロダクトマネージャーとは、プロダクト(製品やサービス)に対して責任を持ち、戦略にもとづいてプロダクトの成長、売り上げ目標の達成を目指す発注者側の職種をいう。
アプリ開発においては、アジャイル開発(スクラム開発)であっても、ウォーターフォール開発であっても、プロダクトマネージャーが直接開発に関わることはあまりありません。
また、スクラム開発では、プロダクトオーナーとプロダクトマネージャーが兼任する場合もあります。
プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーは、開発などのプロジェクトの企画から開発までプロジェクト全体に関わり、進捗管理やマネージメントを担当する役割です。
なお、プロジェクトマネージャーは、PMと略されます。
【意味・定義】プロジェクトマネージャーとは?
プロジェクトマネージャーは、開発などのプロジェクトの企画から開発までプロジェクト全体に関わり、進捗管理やマネージメントを担当する役割をいう。
アプリ開発やシステム開発では、プロジェクトマネージャーは、主にウォーターフォール開発の場合、特に、多くの事業者が関わる大規模な開発の場合に求められる役割です。
このような大規模開発の場合、プロジェクトマネジメントは、受注側(ベンダー側)で選任されるプロジェクトマネージャーが行うことが多いです。
他方で、アジャイル開発(スクラム開発)の場合、プロジェクトマネジメントは、チーム全体で行い、特定の者(特にスクラムマスター)が行うものではないとされています。
プロダクトオーナーとスクラムマスターとの役割分担を契約書に明記する
アジャイル開発(スクラム開発)では、プロダクトオーナーとスクラムマスターとの役割分担を明確化しておく必要があります。
その理由は、万が一、開発が中断、失敗した場合に、プロダクトオーナーとスクラムマスターとの役割分担が明確になっていないと、責任の所在をめぐってトラブルになるおそれがあるからです。
このため、事前にプロダクトオーナーとスクラムマスターの役割分担を明確にしたうえで、契約書にもその旨も記載します。
こうすることで、プロダクトオーナーとスクラムマスターの役割と責任が明らかとなり、トラブルの抑止・防止にもつながります。
プロダクトオーナーに必要なスキル
プロダクトオーナーに必要な3つのスキル
プロダクトオーナーには、主に次の3つのスキルが求められます。
プロダクトオーナーに必要なスキル
- 1.リーダーシップ
- 2.コミュニケーション能力
- 3.開発・製品に関する幅広い知識
リーダーシップ
プロダクトオーナーに必要なスキルの1つめは、リーダーシップです。
プロダクトオーナーは、プロダクトの目標達成に向けて、開発がうまく進むようにチームメンバーをリードしていく必要があります。
開発そのもののリードはスクラムマスターが担うことになりますが、プロダクトの開発全体についてはプロダクトオーナーが担うこととなります。
このため、プロダクトオーナーには、スクラムチームを含めたプロジェクト全体をリードできるリーダーシップが必要となります。
コミュニケーション能力
プロダクトオーナーに必要なスキルの2つめは、コミュニケーション能力です。
プロダクトオーナーは、常に開発メンバーやステークホルダーとのコミュニケーションが必要です。
特に、プロダクトバックログの作成の際にも、話し合いの中で作成や管理を進めていきます。
また、開発期間中に起きた問題や課題の解決、報告なども対応が必要となります。
こうしたステークホルダー・スクラムマスター・開発メンバーとの各種調整の場面では、プロダクトオーナーのコミュニケーション能力が問われます。
開発・製品に関する幅広い知識
プロダクトオーナーに必要なスキルの3つめは、開発・製品に関する幅広い知識です。
プロダクトオーナーは、製品の企画から開発の全般まで全てに関わるため、幅広い知識が必要となります。
この点につき、開発に関する技術的な経験やスキルは必須ではありません。
ただし、少なくともスクラムマスターや開発メンバーとコミュニケーションが取れるだけの知識は必要となります。
こうした知識がない状態では、プロダクトの価値を最大限に引き出すこともできず、顧客のニーズを理解することもできません。
プロダクトオーナーに関するよくある質問
- プロダクトオーナーとはなんですか?
- プロダクトオーナーとは、アジャイル開発における発注側の責任者であって、製品(プロダクト)開発において、製品や開発の方向性を決める責任者のことです。
- プロダクトオーナーの役割・仕事内容には、どのようなものがありますか?
- プロダクトオーナーの役割・仕事内容は、主に次の5つです。
- 1.製品の目標を明確にする
- 2.プロダクトバックログの作成・管理
- 3.顧客のニーズを的確に把握する
- 4.開発作業の優先順位を明確にする
- 5.ステークホルダーとスクラムチームをつなぐ役割