案件管理とは?脱エクセルやツール・アプリ導入で効率化する方法を解説

このページでは、案件管理の効率化・業務改善のために、ツール・アプリを導入する方法について解説しています。

案件管理とは、各部署における案件の進捗管理や記録の業務のことです。案件管理は、企業の業務効率と成果の最大化に欠かせない重要な業務です。

適切な案件管理は、対応漏れや遅延を防ぎ、情報共有がスムーズになり、納期厳守や顧客満足度の向上にもつながります。

一方、Excelやスプレッドシートでの管理は、情報の分散や属人化を招き、かえって非効率になるケースも少なくありません。

こうした課題を解決する手段として、案件管理のツール・アプリ化が注目されています。

特にノーコードツールやスクラッチ開発を活用することで、自社の業務に最適化された柔軟な管理ツール・アプリを構築することが可能です。

本記事では、案件管理業務の概要やよくある課題を整理し、最適なツール・アプリ化の方法について詳しく解説します。

案件管理とは

案件管理=業務案件の管理

はじめに、案件管理の概要についてみていきましょう。

案件とは、一般に、各部署が対応するべき業務案件、特に、商談・プロジェクト・契約交渉・受発注など対外的な業務案件などを意味します。

【意味・定義】案件(業務案件)とは?

事業活動における案件とは、一般に、各部署が対応するべき商談・プロジェクト・契約交渉・受発注など対外的な業務案件をいう。

このため、案件管理とは、こうした案件の進捗管理や記録の業務のことです。

【意味・定義】案件管理とは?

案件管理とは、商談・プロジェクト・契約交渉・受発注などの業務案件を一元的に管理し、進捗や対応履歴を適切に追跡することをいう。

こうした案件管理が重要とされるのは、営業活動やプロジェクトの進行では、各案件の状況の可視化が大切だからです。

案件管理を行うことで、誰が・どのように対応しているのかがすぐに分かり、仕事がスムーズに進みます。

また、正しい情報に基づいて素早く判断できるため、より良い意思決定にもつながります。

案件管理の管理項目とは?

案件管理では、主に次の項目を管理します。

案件管理の主な管理項目
  • 案件

  • 顧客の基本情報(商号等の会社名、住所、事業所名等

  • 担当者の情報(担当部署、氏名、連絡先等)
  • 商材
  • 商談経緯内容

  • 受注確度見込み度合い

  • 受注予定金額

  • アクションタスク

案件管理業務では、こうした管理項目を見える化して社内で共有するにより、効率的な案件対応を目指すこととなります。

案件管理の必要性とメリットとは?

メリット1.営業活動効率

案件管理ツール・アプリの必要性とメリットの1つめは、営業活動の効率化です。

営業担当者が複数の案件を同時並行で進める場合、口頭やメール、Excelによる管理では情報が分散しやすく、対応漏れや情報の更新ミスが起こりがちです。

案件管理ツール・アプリ導入することで、営業担当複数案件効率管理でき、情報検索更新迅速ます。

これにより、顧客対応スピード向上し、商談機会逃すリスク低減ます。

メリット2.受注確度や受注率向上

案件管理ツール・アプリの必要性とメリットの2つめは、受注確度や受注率の向上です。

案件管理では、案件の「温度感」や「受注確度」定量・定性的把握すること重要です。

特に、案件ごと詳細情報記録・分析することで、見込みニーズ関心把握し、最適提案可能となります。

これにより、受注確度高い顧客や案件に優先的に対応でき、受注向上期待できます。

メリット3.属防止業務標準化

案件管理ツール・アプリの必要性とメリットの3つめは、属人化の防止と業務の標準化です。

属人的な営業活動は、退職・異動などによる業務の断絶や、知見の散逸というリスクを常に抱えています。

こうしたリスクに対応するためには、脱属人化、情報の共有、業務の標準化等が重要となります。

案件管理ツール・アプリは、こうした情報の共有と業務の標準化により、特定担当依存しない体制構築できます。

メリット4.部門連携強化

案件管理ツール・アプリの必要性とメリットの4つめは、部門間の連携強化です。

特に大企業のように事業規模が大きい場合、案件管理は、ひとつの部署だけでなく、複数の部門間にわたる業務になります。

このため、営業部門だけでなく、マーケティング、製造、開発、カスタマーサポートなど、案件に関与する複数の部門との情報連携が不可欠です。

この点について、案件管理システム活用することで、部門情報共有容易なります。

これにより、顧客対応向上し、企業全体パフォーマンス向上ます。

案件管理の課題およびツール・アプリ導入の効果

案件管理表による管理の課題とは?

案件管理の方法として、スプレッドシートやExcelなどを用いた「案件管理表」による管理が広く利用されています。

【意味・定義】案件管理表とは?

案件管理表とは、案件ごとの進捗や対応履歴などの情報を一覧形式で整理し、管理しやすくしたものをいう。

しかし、こうした案件管理表を使った案件管理にはいくつもの課題が存在します。

案件管理の課題
  • 課題1. 顧客対応でのトラブルや信頼損失
  • 課題2. 社内の非効率や属人化の加速
  • 課題3. 自動化や効率的な管理ができない
  • 課題4. 分析や戦略的活用ができない
  • 課題5. 情報やファイルが散在し、探す時間がムダに
  • 課題6. スケジュール管理と納期遅延のリスク

これらの課題により、業務の非効率化や業績の機会損失が発生する可能性があります。

以下、これらの課題と解決策について、詳しく解説します。

課題1. 顧客対応でのトラブルや信頼損失

案件管理の課題の1つ目は、顧客対応でのトラブルや信頼損失です。

問題点
  • 問い合わせがあっても、既存顧客か新規顧客かがすぐに判断できない
  • 過去の問い合わせ履歴が残っておらず、「誰が・いつ・何をしたか」が不明
  • 担当者が不在時、他のメンバーが状況を把握できず対応できない
  • 久しぶりの連絡に対して情報がなく、失礼な対応になることがある
主な原因
  • 顧客情報が一元化されておらず、進捗が全員に共有されていない
  • 対応履歴を記録・共有仕組みがなく、属人的に処理している
  • 問い合わせ履歴や顧客情報が保存・検索できないため、記憶に頼って対応している

案件管理のツール・アプリは、顧客情報をデータベース化して共有することで、過去の対応履歴や属性情報を即時に確認できます。

これにより、チーム全体で状況を把握しやすくなり、担当者の不在時でもスムーズに引き継ぎが可能になります。

また、過去の対応内容をすぐに参照できるため、久しぶりの問い合わせにも丁寧かつ的確な対応ができ、顧客との信頼関係を維持・強化することができます。

課題2. 社内の非効率や属人化の加速

案件管理の課題の2つ目は、社内の非効率や属人化の加速です。

問題点
  • 案件の進め方や判断基準が人によって異なり、認識のズレで会議や対応が長引く
  • 担当者以外の案件の状況が把握できず、サポートや引き継ぎが難しい
  • 進捗が共有されておらず、次に何をすべきかが不明確
主な原因
  • 標準化された進行フローやルールがなく、属人的な対応に依存している
  • 進捗状況が個人の管理に閉じていて、共有されていない
  • 情報共有がメール・口頭ベースで、タスクの可視化がされていない

案件管理のツール・アプリは、標準的な進行フローやルールで案件管理がおこなわれます。

これにより、認識のズレや無駄なやりとりが減少し、業務のスムーズな進行が実現します。

また、案件ごとの進捗や担当状況をリアルタイムで確認できるため、チーム内での連携や引き継ぎもスムーズになります。

さらに、タスクの一覧やステータスが「見える化」されることで、メンバー全員が次にやるべきアクションを把握しやすくなり、業務全体の流れが明確になります。

課題3. 自動化や効率的な管理ができない

案件管理の課題の3つ目は、自動化や効率的な管理ができない点です。

問題点
  • フェーズごとの自動通知やアラートができず、常に手動で対応が必要
  • 条件に合う案件を抽出して一括対応するなどの効率的な運用ができない
主な原因
  • 手動管理が中心で、進捗やステータスに応じたトリガー設定ができない仕組みになっている
  • 案件情報が分散・非構造化されていて、条件検索やフィルタリングが困難

案件管理のツール・アプリには、自動通知やアラートの機能があります。

こうした機能を活用することで、案件のステータス変化に応じた対応漏れや見落としを未然に防ぐことができます。

また、案件データを一元管理し、構造化することで、特定条件に合致する案件の抽出や一括操作が簡単に行えるようになります。

課題4. 分析や戦略的活用ができない

案件管理の課題の4つ目は、分析や戦略的活用ができない点です。

問題点
  • 見積もりと案件が連携しておらず、リアルタイムの売上予測ができない
  • 確度や優先度が管理されておらず、営業判断や日程調整に活かせない
  • 案件データの蓄積・分析ができず、ボトルネックや傾向が見えない
  • 収益性の低い案件を判断できない
主な原因
  • 見積もり情報と案件情報が別々に管理されていて、紐付けや自動集計ができていない
  • 判断材料となる情報を入力・整理する仕組みがない
  • 案件データがExcelや個人メモ、部門ごとのシステムなどに分散していて、集約・分析が困難
  • 把握しにくいコスト(人件費・外注費・資材費など)を明確に管理できていない

案件管理のツール・アプリは、案件と見積もりを一元管理できるものもあります。

案件・見積もりの一元管理は、売上予測の自動的な可視化や、リソース配分の精度の向上などの期待ができます。

また、「確度」や「優先度」といった情報を明示的に管理できることで、チーム全体で戦略的に動けるようになります。

さらに、案件データを構造化して一元管理することで、どのような傾向の案件が多いか、どのフェーズで停滞しやすいかといった分析も可能に。

案件ごとのコスト(人件費・外注費・資材費など)もリアルタイムで把握できるため、収益性を見極めた判断も行いやすくなります。

課題5. 情報やファイルが散在し、探す時間がムダに

案件管理の課題の5つ目は、情報やファイルが散財し、探す時間がムダになってしまう点です。

問題点
  • 担当者の変更履歴や過去の対応内容が把握できない
  • 関連資料が分散していて、必要な情報をすぐに見つけられない
主な原因
  • 対応履歴や担当者の情報がメールや口頭、個人のファイルに点在していて、履歴として残っていない
  • ファイルが各自のPC、クラウド、メール添付などに分散して保存され、案件単位で整理されていない

案件管理のツール・アプリの導入の最大のメリットは、「誰が・いつ・何をしたか」といった対応履歴をすぐに把握できるようになることです。

これにより、担当者個人による属人的な対応ではなく、組織としての対応ができるようになります。

また、案件ごとに企業情報や関連ファイル、やり取りの履歴を紐づけて一括管理できるため、必要な情報の検索やチーム内での共有も効率的に行えるようになります。

課題6. スケジュール管理と納期遅延のリスク

案件管理の課題の6つ目は、スケジュール管理と納期遅延のリスクです。

問題点
  • 納期が守られないことがある
  • 業務過多やボトルネックの発生
  • 問題発覚が遅れる
主な原因
  • タスクや納期の管理が曖昧で、優先順位の不明確な業務が多い
  • 担当者のリソース状況が見えず、割り当てが後手に回る
  • 予定と実績のズレが把握しにくい

案件管理のツールやアプリには、ガントチャートやタスク管理機能により、スケジュールを明確に把握できるものがあります。

こうした機能により、納期遅れを未然に防ぐことが可能になります。

また、担当者ごとのタスク進捗やリソースの状況をリアルタイムで確認できるため、最適な配分やフォロー体制の構築がしやすくなります。

さらに、予定と実績の比較によって、進捗の遅れや潜在的なリスクも早期に把握でき、的確な対応につなげることができます。

ツール・アプリによる案件管理のやり方の具体例

案件管理ツール・アプリを導入すると各部門の連携がスムーズになります。

以下は、案件管理ツール・アプリを使った受注案件の業務フローの具体例です。

案件管理ツール・アプリを使った受注案件の業務フローの具体例
1. 受注フェーズ(案件の登録・情報共有) ツール・アプリに案件情報を登録し、納期・予算・担当者を自動通知で共有
2. 進行管理フェーズ タスクをツール・アプリ上で割り振り、進捗状況をリアルタイムで可視化
3. 納品・完了フェーズ チェックリストを活用して品質を確認し、クライアントへ電子納品
4. 振り返り・改善フェーズ 案件データを分析し、レポートを自動生成して業務改善に活用

案件管理ツール・アプリを導入することで各フェーズの業務が効率化され、情報共有・進捗管理・品質確認・振り返りまでを一貫してスムーズに行えるようになります。

自社に最適な案件管理方法を選ぶポイント

導入や運用にかかるコストが大きい場合、収益を圧迫する可能性もあるため、コストパフォーマンスを十分に考慮した選択が求められます。

自社に最適な案件管理手法を選ぶために重要なポイントをご紹介します。

自社に最適な案件管理方法を選ぶポイント
事業規模や業種(案件数・業務の複雑さ)
  • 扱う案件の数や業務の複雑さに応じて、必要な管理レベルや機能の範囲が異なるため、自社の事業特性に合った管理方法を選ぶ
    • 小規模の案件管理の場合、Excelや無料の案件管理ツールで対応可能な場合もある
    • 大規模で複雑な業務フローの場合、カスタマイズ性の高いノーコードツールやスクラッチ開発を検討
課題と必要な機能
  • 現在抱えている業務上の課題を明確にし、それを解決できる具体的な機能が備わっているかを確認
    • 進捗管理を強化したい場合、タスク管理・ガントチャート機能が充実したツールを選択
    • チーム間の情報共有円滑化が必要な場合、コメント・チャット・ファイル共有機能付きのツールを選択
    • 案件データの分析・報告の時短が必要な場合、自動レポート機能やBIツール連携が可能なツール・アプリを選択
予算・コストや社内のITスキル
  • 導入・運用コストや社内のITスキルを考慮し、手軽に導入できるツール・アプリか、専門人材が必要なツール・アプリかを判断
    • シンプルな運用なら市販の案件管理ツールを利用
    • 自社業務に最適化するならノーコードツールを活用
    • 高度なカスタマイズが必要ならスクラッチ開発やエンタープライズ向けツール・アプリを導入
スケーラビリティ(将来の成長対応)
  • 事業の成長に伴って案件数や業務範囲が拡大しても、柔軟に対応できる拡張性のある管理方法を選ぶ
    • 現在の案件規模に適したツール・アプリかどうか
    • チームや案件数が増えても運用可能かどうか
    • 既存ツール・アプリ(ERP、CRM、社内ツール)と連携可能かどうか

案件管理ツール・アプリ・アプリ導入の手順

続いて、案件管理ツール・アプリ導入の一般的なプロセスを段階的に説明します。

案件管理ツール・アプリ導入の手順
1. 導入計画の策定
  • 現状の課題を洗い出し、案件管理で解決したいこと(目的・KPI)を明確化
    • 例:案件の進捗可視化、対応漏れ防止、部門間の情報共有強化
2. 要件定義
  • 必要な管理項目や機能を整理
    • 例:ステータス管理、タスク管理、スケジュール管理、レポート機能など
  • 管理する情報を決定
    • 例:案件概要、顧客情報、対応履歴、担当者、期日、関連資料
  • 既存データの移行計画を立案
3. ツール/方法の選定
  • 最適な案件管理ツールを選定
    • 市販ツールの比較、ノーコードツールの試用、自社開発の検討
4. 設計・設定/開発
  • 選定したツールの初期設定・カスタマイズを実施
    • 市販ツールなら案件管理のテンプレート作成
    • 自社開発なら開発プロジェクト開始
    • ノーコードならワークフロー設計
5. テスト運用
  • 本格運用前にテストデータを用いて動作確認し、問題点を修正
  • 実際のユーザーに試用してもらいフィードバックを収集
6. 社内展開(トレーニング)
  • 案件管理ツール・アプリの操作方法を担当者に教育
  • 新しい業務フローや運用ルールを周知徹底
7. 本番運用開始と評価
  • KPI(案件の進捗率、対応スピード、チームの業務効率向上など)をモニタリング
  • 必要に応じて設定や運用フローを改善し、より効果的な案件管理を実現

案件ツール・アプリの導入は、要件定義から本番運用・評価まで段階を踏むことで、業務の効率化とデータ活用の最大化が可能になります。

案件管理ツールの種類

案件管理の代表的なツールは以下の通りです。

案件管理ツールの種類
  • エクセル
  • Googleスプレッドシート
  • タスク管理ツール
  • SFA(営業支援システム・ツール)
  • CRM(顧客管理システム・ツール)

それぞれのツールには特徴や得意分野があり、自社の業務内容や課題に応じて使い分けることが重要です。

まずはノーコードツールでの案件管理ツール・アプリの構築がおすすめ

初めて案件管理のツール・アプリを導入する場合や、エクセルやスプレッドシートを切り替える場合は、ノーコードツールでの案件管理ツール・アプリの構築がおすすめです。

ノーコードツールとは?

ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法をノーコード開発といいます。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

このノーコード開発の手法を取る際に必要になるのが、ノーコードツールやノーコード開発ツールです。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・導入事例・活用事例も解説

ノーコードツールは様々な会社が提供しており、大部分は同じですが、ツールによって機能が少し異なります。

このノーコードツールを使うことで、ドラッグ&ドロップするだけでアプリの開発を可能にします。

ノーコードツールが注目される理由

近年、ノーコード開発が世界で注目を集めている理由は、主に以下の4つです。

ノーコード開発が注目される4つの理由
  • IT人材の不足
  • クラウドサービスの一般化
  • 大企業のノーコード開発への参入
  • DX促進

比較的低コストで導入できるノーコードでの業務効率化は、人手不足の解消や業務の効率化のためのDXが必要となる経営環境では、特に注目を集めています。

ノーコードツールによる案件管理の効率化につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

案件管理の課題とノーコードツールを活用したツール・アプリの開発をご紹介

案件管理ツール・アプリの構築に向いているノーコードツール

案件管理ツール・アプリに向いているノーコードツールには、主に以下のものがあります。

案件管理ツール・アプリの構築に向いているノーコードツール
  • Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」
  • 簡単な案件管理ならスマホで可能な「Glide」

それでは、各ノーコードツールをみていきましょう。

Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」

案件管理ツール・アプリの構築に向いているノーコードツールの1つ目は、Google Workspaceユーザーにおすすめの「AppSheet」です。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetはGoogle Workspaceとスムーズに連携し、スプレッドシートのデータを元に手軽にカスタマイズ可能なアプリを作成できるため、業務効率化に最適です。

AppSheetを使うメリット
Google Workspaceユーザーは無料で使える
  • Google Workspaceエディションを導入している企業は無料で使える
  • Google Workspace環境に統合できるため、既存の業務フローに馴染みやすい
迅速なプロトタイピング
  • プロトタイプを迅速に作成でき、ニーズに応じた開発とテストが即座に行える
  • 手動や既存システム等で行う業務に不足している機能を比較的簡単に開発できる
多プラットフォーム対応
  • 構築したツール・アプリは、Web(Windows、macOS)・iPhone(iOS)・Androidなど、様々なプラットフォームで動作する
  • インターネットに接続していれば外出先でも案件情報にアクセスでき、柔軟で効率的なデータ利用が可能

AppSheetは、他のノーコードツールと比べて、特に業務アプリに向いた機能が豊富な点に特徴があります。

このため、ノーコードツールの中でも他の業務の効率化と併せて、総合的に高機能な案件管理のツール・アプリの開発を目指すのであれば、AppSheetは有力な候補となります。

また、今までエクセルで案件管理をしていた場合は、顧客データをGoogleスプレッドシートにインポートすることで、顧客データをAppSheetのデータベースとして活用できます。

このため、エクセルからAppSheetによる案件管理ツール・アプリへの移行は、比較的スムーズにできます。

この他、AppSheetによるタスク管理・工数管理・進捗管理や、予約管理・受注管理につきましては、詳しくは、それぞれ以下のページをご覧ください。

AppSheetでタスク管理・工数管理・進捗管理のシステム・アプリを無料・低予算で構築する方法とは

AppSheetで予約管理・受注管理のシステム・アプリを構築する方法

簡単な案件管理ならスマホで可能な「Glide」

案件管理ツール・アプリの構築に向いているノーコードツールの2つ目は、簡単な案件管理ならスマホで可能な「Glide」です。

【意味・定義】Glide(グライド)とは?

Glide(グライド)とは、ノーコードツールの一種で、プログラミングのスキルがなくてもスプレッドシートからデータを利用してウェブアプリを構築できるプラットフォームをいう。

ノーコードツールGlideの料金プランは?無料プランや制限を解説

Glideは、スマホから簡単に案件情報を管理・更新可能なアプリを、ノーコードで手軽に導入・運用できます。

Glideを使うメリット
シンプルで簡単なツール・アプリ構築
  • プログラミングの知識がなくてもツール・アプリを構築できる
    • インターフェースがシンプルで直感的に操作可能
    • 多彩なテンプレートにより、短期間でアプリを作成できる
営業やフィールドワークに最適なモバイル対応
  • モバイルアプリに対応しているため、現場でのスムーズなデータアクセスが可能
    • 外出先でも、チームメンバーが簡単に案件情報や業務データを更新できる
自動化機能を活用可能
  • 定型的な業務やタスクの自動化により時間を節約し、業務効率を高められる
    • データの更新や通知、定期的なリマインダーの送信など

Glideは、設計、開発、操作がシンプルであり、比較的デザイン性も高い点に特徴があります。

この点から、高機能である必要がなく、モバイルでも簡単に動くUIの案件管理ツール・アプリが必要な場合は、Glideが有力候補となります。

この他、Glideでのプロジェクト管理予約管理・受注管理につきましては、詳しくは、それぞれ以下のページをご覧ください。

ノーコードツールGlideでプロジェクト管理ツールを無料・低予算で構築する方法とは?

ノーコードツールGlideで構築する予約管理システム・受注管理システムとは?

フルカスタマイズには「スクラッチ開発」での案件管理ツール・アプリ構築がおすすめ

続いて、フルカスタマイズが可能な「スクラッチ開発」をご紹介します。

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用しつつ、大半をプログラミング・コーディングでシステムやアプリを構築する開発手法のことです。

【意味・定義】スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。

スクラッチ開発とは?アプリ開発における使われ方とメリット・デメリットを紹介

スクラッチ開発は一からすべて設計するため、細かい設定やこだわり、デザイン等を実現したい場合に向いています。

スクラッチ開発が向いているユーザー

スクラッチ開発は、以下に当てはまるユーザーに最適です。

スクラッチ開発が向いているユーザー
ノーコードツールでは要件を満たせない企業
  • 標準的な案件管理ツールでは対応できない特殊な業務フローや管理プロセスを持つ
  • 業界特化の案件管理が必要
    • 建築業の施工管理、製造業の生産工程管理、法律事務所の案件管理など
大規模な案件管理を必要とする企業
  • ノーコードツールではパフォーマンスが低下する可能性がある大規模案件や多数のタスクを扱うケース
  • AIやBIツールと連携し、リアルタイムで案件進捗の分析・予測を行いたい
  • 数百人〜数千人規模のチームが関与し、案件データ量が膨大になる
長期的に運用・拡張を考えている企業
  • ノーコードでは実装できない細かなカスタマイズが必要で、ツールの制約に縛られたくない
  • 外部ツール・アプリとの柔軟な連携、マイクロサービス化など将来的な拡張が視野に入っている
  • 事業成長に合わせて案件管理の仕組みをスケールアップしたい
セキュリティやデータガバナンスが厳しい企業
  • 機密情報や案件データの厳格な管理が必要でクラウドサービスの標準機能では不十分
  • 自社のセキュリティポリシーに準拠し、オンプレミス環境での運用を求める
  • 監査ログやアクセス管理を厳格に行う必要がある
既存ツール・アプリとシームレスに統合したい企業
  • ERP、会計ツール・アプリ、基幹ツール・アプリなどと完全に適合するカスタムAPIが必要
  • 自社独自の業務ツール・アプリと密接に連携する案件管理ツールを構築したい
  • 既存のワークフローを大きく変更せずにツール・アプリを導入したい

逆に、特別な要件や複雑な業務フローがなく、シンプルな案件管理を求める企業には、スクラッチ開発は不向きです。

案件管理運用のベストプラクティス

最後に、案件管理運用のベストプラクティスをご紹介します。

案件管理運用のベストプラクティス
案件情報・進捗の最新化
  • 状況や情報最新化の常態化、定期的な更新ルールの設定や進捗報告の仕組み化
  • タスクの状況や期日のリアルタイム管理、納期遅延のリスクの最小化
部門間での情報共有
  • 案件に関わる部門(営業・管理部門・経営層など)での進捗共有・認識のズレ防止
  • 一元管理されたデータ活用による円滑なコミュニケーションと迅速な意思決定の実現
データ分析と案件改善
  • 蓄積データを活用した、受注率・利益率・リソース負荷などの分析
  • ボトルネックの可視化による、スケジュールやリソース配分の最適化
セキュリティとコンプライアンス
  • 適切な権限管理、関係者以外の不要なアクセスの制限
  • データの機密性保持、外部流出や不正アクセスのリスク低減
継続的な運用改善
  • 定期的な案件管理の運用プロセス見直しとチームのフィードバック反映
  • 業務の変化に応じた、ツール・アプリやワークフローの最適化と効率的な案件管理の維持

まとめ

案件管理、業務効率や成果に直結する重要な業務ですが、Excelやスプレッドシートでの管理では、情報の分散や属人化、更新作業の手間など多くの課題が生じやすくなります。

こうした課題を解決するには、ツールやアプリの導入が効果的です。

特にノーコードツールやスクラッチ開発を活用すれば、自社の業務に最適化した柔軟な案件管理ツール・アプリを構築できます。

導入後は、案件情報更新の徹底や部門間でのスムーズな共有、データ分析の継続が成果を左右します。

適切なツール・アプリ運用により、業務の効率化はもちろん、納期遵守や品質向上、さらには顧客満足度や売上向上にもつながります。

自社に最適なツールを導入し、より効果的な案件管理を実現しましょう。

当社では、こうしたノーコードツールやスクラッチ開発による業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。

業務アプリ・業務システムの開発・導入や業務改善・業務効率化でお悩みの方は、今すぐお問合せフォームからご連絡ください。