AppSheetの業務アプリによる業務改善の導入事例・活用事例とは?

このページでは、AppSheetによって作成された業務アプリによる業務改善とその導入事例・活用事例について解説しています。

AppSheetは、Googleが提供するアプリ開発ツールです。

その特徴は、機能がシンプルであり、ノーコードツールであることから、非エンジニアでも簡単に誰でも扱いやすいアプリを開発できる点です。

このため、AppSheetは、社内の業務改善を目的とした業務アプリに向いているとされています。

本記事では、AppSheetの基本と、その強力な機能を活かした業務プロセスの改善をおこなう方法について解説します。

AppSheet(アップシート)とは

Google提供のノーコードアプリ開発プラットフォーム

AppSheet(アップシート)とは、GoogleCloudのサービスの1つとして提供される、ノーコード開発ができるアプリ開発のプラットフォームです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

AppSheetは、プログラミングが不要で、画面上で各種設定やデザインを実施するため、非エンジニアでもアプリ開発ができます。

また、さまざまなデータソースとの連携が可能で、データを収集し、操作するための効果的なツールです。

作成したアプリケーションはタブレットだけではなくデスクトップでも動作し、デバイスの種類に関係なく利用できます。

AppSheetは何ができる?主な6つの機能とは?

AppSheetには、主に次の6つの機能があります。

AppSheetの主な機能
  1. アクセス権の制御
  2. OCRによるデータ入力
  3. Googleサービス連携
  4. Automation機能で自動化
  5. GAS(Google App Script)連携
  6. 電子署名

これらのAppSheetの機能は、主に企業の社内において使いやすい機能であり、業務アプリ、特に業務改善に向いています。

この他、AppSheetの基本や主な機能につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetのおすすめポイント

AppSheetのメリットは多岐にわたりますが、特におすすめしたいポイントは以下のとおりです。

AppSheetのおすすめポイント
  • Automation機能による業務自動化を目的としたカスタムワークフローの設定が簡単で、ビジネスプロセスの効率化・自動化による業務改善が可能
  • アプリケーション内のデータがリアルタイムで同期され、常に最新の情報の保持が可能
  • アクセス権限の詳細な設定・制御により、データの保護が可能

AppSheetによる業務改善で得られる効果とは

AppSheetによる業務改善の主な3つの効果

このように、AppSheetの機能には、大きなメリットがあるため、導入することにより、業務改善が期待されます。

AppSheetによる業務改善で得られる効果
  • 業務・タスクの自動化による生産性の向上
  • データのリアルタイム分析による施策の即時性・正確性の向上
  • 顧客接点の強化によるカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上

効果1:業務・タスクの自動化による生産性の向上

AppSheetによる業務改善で得られる効果の1つめは、業務・タスクの自動化による生産性の向上です。

すでに述べたとおり、AppSheetには、「Automation機能」があり、業務自動化を目的としたカスタムワークフローの設定が比較的簡単にできます。

このカスタムワークフローを実装することにより、アプリケーションを使用して業務・タスクの自動化・効率化・省人化が可能となります。

その結果、従業員の生産性の向上や人件費の削減ができます。

効果2:データのリアルタイム分析による施策の即時性・正確性の向上

AppSheetによる業務改善で得られる効果の2つめは、データのリアルタイム分析による施策の即時性・正確性の向上です。

AppSheetは、Googleや外部の各種サービス・アプリとの連携ができるうえに、そのデータがリアルタイムで同期されます。

こうしたデータのリアルタイム分析により、業務データや顧客情報を即座に把握することができます。

その結果、経営上の各種施策について、即時性や正確性の向上ができます。

効果3:顧客接点の強化によるカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上

AppSheetによる業務改善で得られる効果の2つめは、顧客接点の強化によるカスタマーエクスペリエンス(CX)や顧客満足度の向上です。

AppSheetは、ノーコード開発プラットフォームですので、非エンジニアでも、比較的簡単にアプリを開発できます。

特に、業務内容に合わせてカスタマイズされたアプリの作成も可能です。

これにより、注文追跡や問い合わせ対応の可視化等、オンライン化できる顧客接点を強化し、顧客対応を改善することで、カスタマーエクスペリエンスの向上ができます。

AppSheetでできる業務アプリによる業務改善の導入事例・活用事例5選

AppSheetはヒューマンエラーの防止や無駄・コストの削減ができる

もともと、多くの企業で使用されていた紙やエクセルシートを活用した業務は、ヒューマンエラー時間の浪費など、いくつかの重要な課題を抱えていました。

手作業での記録プロセスは、エラーや不正確さが生じやすく、データの正確性や業務効率に悪影響を及ぼします。

この対策として、近年、AppSheetなどを使ったカスタムアプリケーションの開発による自動化・効率化が注目されています。

AppSheetが提供する数々の機能や外部連携を組み合わせ実装をすることで、企業のニーズにマッチしたカスタムアプリケーションの開発が可能になります。

以下ではいくつかの業務改善例をご紹介します。

活用事例1. 在庫管理の自動化

【課題】こんな経験ありませんか?
  • 在庫チェック担当が在庫数を手書きでメモし、データ入力担当がエクセルに入力する業務フローの中で、実際とは異なるデータが入力されてしまっていた

AppSheetで在庫管理の自動化を行うと、作業に必要な担当人数を減らしながら手動入力エラーの発生も防ぐこともできます。

AppSheetのスキャン機能などを活用して在庫管理を自動化
スキャン機能で自動データ入力 AppSheetのスキャン機能を利用することで、スマートフォンやタブレットのカメラを使用してバーコードやQRコードを迅速に読み取り、在庫数の自動入力ができます。これにより手動入力エラーを排除し、データの正確性を確保します。
リアルタイムでデータベースを更新 AppSheetのリアルタイムデータベースを活用することで、複数のユーザーが同時に在庫情報を更新すできます。また、通知機能により在庫切れを防ぐことも可能です。
過去の在庫データで需要予測 過去のデータを詳細に記録し、分析ツールを用いて需要予測に活用できます。

この他、Appsheetによる在庫管理につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetによる無料・低コストでの在庫管理アプリの構築のしかたとは?

活用事例2. 現場作業員向けの日報のアプリ化・電子化・効率化・自動化

【課題】こんな経験ありませんか?
  • 現場ごとに異なるフォーマットの日報の作成が必要なため多くの時間を要してしまっている
  • 生産プロセスのトレンドやパフォーマンスを追跡するための日報の検索が難しい

AppSheetを使ってフィールド作業員向けの日報システムを作る場合、Googleサービスを組み込むことで、デジタルな日報管理システムを効果的に構築し、データの保存、整理、分析、共有、および利用が容易になります。

また、Googleサービスはクラウドベースで提供されるため、データへのアクセス性とセキュリティも確保されます。

AppSheetのGoogleサービス連携でフィールド作業員向けの日報の自動化
Google Sheet連携 AppSheetをGoogle Sheetsと連携させることにより、日報データをGoogle Sheetsに格納し、データの整理、分析、およびレポート作成ができます。Google Sheetsはスプレッドシートとしてデータを効果的に管理できます。
Google Drive連携 AppSheetをGoogle Driveと連携させることにより、アップロードされた画像やファイルをGoogle Driveに保存し、関連する文書や画像へのアクセスが簡単になります。現場から簡単に情報へアクセスできるため、作業が効率的になります。
Google Maps連携 AppSheetをGoogle Mapsと連携させることにより、位置情報の記録やフィールド作業員の移動経路のトラッキングができるようになります。これにより、作業の進捗やルートの最適化ができます。
Google Calendar連携 AppSheetをGoogle Calendarと連携させることにより、作業員の予定やスケジュールを共有し、予定調整やタスクの管理を支援できます。
Google Workspace連携 AppSheetをGoogle Workspaceと連携させることにより、メール、カレンダー、ドライブ、ドキュメントなど、ビジネス向けのGoogleアプリケーションを一元管理できます。

AppSheetを活用して日報業務を電子化・アプリ化することには、以下のように多くのメリットがあります。

AppSheetを活用して日報業務を電子化・アプリ化するメリット
  • 日報の書式・項目・実態に合わせてアプリを構築できる
  • リアルタイムなデータ更新と共有できる
  • オフラインでも対応できる
  • 生産性向上と作業時間・残業時間の軽減ができる
  • データの保持・バックアップ・ダウンロードができる
  • 開発費用と料金を抑えて開発できる

この他、AppSheetによる日報の電子化・アプリ化とこれによる効率化・自動化等のメリットにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetによる日報アプリとは?効率化・自動化等のメリットも解説

活用事例3. 請求書処理の自動化

【課題】こんな経験ありませんか?
  • 紙で送られてきた請求書を手作業でデータ入力する際に誤りが生じ、支払いの遅延が発生
  • 紙の請求書が多く存在するため、過去の請求書を探すのに時間がかかる

請求書処理の自動化の実現は、業務効率の向上、エラーや遅延が減少、またデータの可視性と分析が向上し、ビジネス上の重要な意思決定をサポートします。

AppSheetのOCR技術などを使って請求書処理の自動化
OCR技術で請求書自動読み込み AppSheetでは、請求書等の画像をアップロードし、OCR技術を使用してテキストデータを抽出できます。これにより、請求書の情報を手入力する手間を省き、データエントリーの正確性を向上させます。また保存されたデータを簡単に検索できるため業務効率がアップします。
ワークフローでデータの自動処理 AppSheetでは、請求書データの自動処理とロジックを設定できます。例えば、過去の取引データを照合しする自動マッチング、必要な承認者に通知を送る承認フローの自動化、支払い期限のリマインダーの送信などがワークフローの実装が可能です。
モバイルアプリの活用 AppSheetでは、モバイルアプリとしてアプリケーションを配信できます。これにより、フィールド作業員や承認者はスマートフォンから請求書情報にアクセスできます。

活用事例4. 承認プロセスの自動化(ワークフローシステム・電子稟議)

【課題】こんな経験ありませんか?
  • 誰がどの段階で承認したのか、進捗状況が不透明であり、紛争や誤解が生じる
  • 承認後に別のサービスに承認状況をアップデートする必要があり二度手間になっている

AppSheetでは企業の要件に合致するプロセスの構築が可能なため、効率的で透明性のある承認プロセスが実現できます。

AppSheetのワークフローとAutomationを組みあわせて承認プロセスを自動化
ワークフローで承認フローを実装 AppSheetのワークフロー機能により、承認リクエストがアプリケーション内で生成された際に、自動的に承認者に対し通知を送信できます。この通知を受信した承認者は、承認または却下のアクションを実行します。これにより、承認ステータスが更新されます。
Automation機能で外部システムに通知を送信 AppSheetのAutomation機能により、承認ステータスが更新された際に、外部システムに通知を送信できます。これにより、外部システム側での関連データの更新が可能となります。
データフィルタリングで状況把握 AppSheetのデータフィルタリング機能により、承認プロセスに関連するすべてのドキュメントやレポートをデジタルで一元管理できます。また特定のユーザーや承認プロセスのステータスに基づいて、ドキュメントやレポートをデータベース内でフィルタリングします。これにより、必要な情報へのアクセスが簡素化されます。

このようなAppSheetの機能により、業務内容に応じてカスタマイズされた「ワークフローシステム」を構築することができます。

【意味・定義】ワークフローシステムとは?

ワークフローシステムとは、業務プロセスを効率的に管理し、タスクや情報の流れを自動化するためのソフトウェアやツールをいう。

ワークフローシステムによる稟議の電子化には、以下のような様々なメリットがあります。

稟議制度・稟議書の電子化のメリット
  • 稟議・業務の効率化
  • 稟議の手続き・決裁時間の短縮
  • ペーパーレス化による稟議書の管理・保存コストの削減
  • 稟議の可視化によるコンプライアンス・内部統制の強化
  • テレワーク等のオンライン対応に可能
  • 未入力・誤入力等のミスの防止

この他、AppSheetによる稟議の電子化・ワークフローシステムにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetによる稟議の電子化・ワークフローシステムのメリットとは?

活用事例5. 外部CRM(顧客管理)システムとの統合

【課題】こんな経験ありませんか?
  • 複数のシステムで保持している顧客データの登録内容が異なっていて、どれが正しいものが分からない

複数のシステムを使って業務を行なっている場合は、AppSheetとGoogle Apps Script(GAS)の組み合わせにより、外部CRMシステムとの連携をカスタマイズし、特定の業務ニーズに合わせて自動化およびデータ統合を実現するのが便利です。

AppSheetのGASを使った外部CRMシステム連携
データの同期 AppSheetは、システム間のデータの同期ができます。これにより、外部CRMとAppSheetアプリケーションの両方のシステム間でデータの整合性と一貫性を保つことができます。
カスタムレポートの自動生成 AppSheetは、外部CRMシステムからデータを取得できます。これにより、AppSheetアプリケーション内でカスタムレポートを生成できます。
データのエンリッチメント AppSheetは、外部CRMから取得したデータを自動的にエンリッチメントできます。たとえば、外部CRMシステムの顧客の連絡情報を自動的に取得し、詳細なプロフィール情報をAppSheetアプリケーションに追加することができます。

この他、Appsheetによる顧客管理(CRM)システムにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

顧客管理(CRM)システム・アプリをAppSheetで無料・低予算で構築する方法とは

まとめ

AppSheetを用いた業務改善は、迅速なアプリケーション開発、業務効率化、データ可視化、カスタマイズ性向上など、非常に魅力的で多くのメリットがあります。

まずは具体的な業務課題を特定し、それに合わせて業務フローをカスタマイズしたAppSheetのアプリを活用して業務改善を進めましょう。

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