本記事では、備品管理・貸出管理のシステム・アプリをノーコードツールで開発する解説します。

備品管理業務・貸出管理業務は、企業や施設内で使用される備品や機器を正確に管理し、効率的に運営を行うための重要な業務です。

適切な貸出・返却管理、在庫確認、メンテナンス予定の把握、リマインダー送信などが、業務の効率化やコスト削減に繋がります。

こうした備品管理・貸出管理の業務の最適化には、運営側とスタッフ双方にとって使いやすいシステム構築が欠かせません。

そこでおすすめなのが、ノーコードツールを利用した備品管理・貸出管理システムの導入です。

本記事では、ノーコードツールで備品管理・貸出管理業務をシステム化・アプリ化するメリット、業務を効率化・自動化するポイントを解説します。

備品・貸出管理の課題とニーズ

備品・貸出管理とは

まずは、備品・貸出管理の課題とニーズをみていきましょう。

【意味・定義】備品管理とは?

備品管理とは、会社や施設で使用する物品(備品)の在庫や状態を把握し、適切に保管・補充・維持する業務をいう。

備品管理業務では、無駄な購入を防ぎ、効率的な運用を目指します。

【意味・定義】貸出管理とは?

貸出管理とは、物品の利用予約・貸出・返却状況の記録・追跡する業務をいう。

貸出管理業務は、紛失や重複利用を防ぎ、スムーズな運用をサポートすることが目的です。

備品・貸出管理の課題

備品管理・貸出管理は、企業が所有する物品や資産を効率的に追跡・管理し、最適な利用を促進するための重要なプロセスです。

正しい業務プロセスを導入しないと、以下のような課題が発生するリスクがあります。

備品管理・貸出管理の課題
  • 業務の属人化による不透明な管理
  • 時間と労力の消費
  • タイムミスや入力ミスなどのヒューマンエラー
  • 複数拠点での情報の不一致
  • 不正確な分析やレポート
  • 不適切な会計処理

これらは業務の遅延や資産の無駄づかいを招く可能性が高いです。

備品・貸出管理システムの利用目的

企業活動において、ほとんどの物品は備品管理・貸出管理の対象となります。

このため、資産の損失を防ぐには適切な管理が肝要です。

備品管理・貸出管理システムのニーズ
  • 業務の「見える化」
  • 固定資産管理のための棚卸
  • PCやスマホなどのIT機器の管理
  • プロジェクターやカメラ、机や椅子、工具などの社内備品の管理
  • 紙の文書の管理や廃棄

効率的なプロセスを実現するためには、備品管理・貸出管理業務に特化したシステムやアプリの導入がおすすめです。

事業内容・事業規模によって導入するシステムを検討

備品管理・貸出管理のシステムの費用対効果は様々

備品管理・貸出管理システムは、シンプルで安価なものから高機能で高額なものまで、様々な種類があります。

このため、事業規模によってはシステム導入や運用のコストが収益を圧迫する可能性があります。

重要なポイントは、売上・利益に応じたシステムの導入です。

例えば、機械設備を多く保有する事業や大企業では、複雑な管理機能を備えたシステムが便利です。

一方、小規模な事業や特定の備品管理を必要とする場合には、シンプルな管理方法で十分なケースもあります。

費用対効果が高いノーコードツールがおすすめ

そこで注目されているのが、ノーコードツールを活用した備品管理・貸出管理システムです。

ノーコードツールは、比較的低コストで、事業の特性に応じた柔軟なアプリの構築ができます。

ノーコードツールを活用することで、企業や店舗ごとの管理業務に合わせたシステムを、低コストかつ短期間で構築できます。

ノーコードツールとは?

ノーコード開発=プログラミング不要の開発手法

ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、ノーコード開発ツールを使用してアプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

ノーコード開発の手法を取る際に必要になるのが、ノーコードツールやノーコード開発ツールです。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・導入事例・活用事例も解説

ノーコードツールは様々な会社が提供しており、大部分は同じですが、ツールによって機能が少し異なります。

このノーコードツールを使うことで、ドラッグ&ドロップするだけでアプリの開発を可能にします。

ノーコードツールが注目される理由

近年、ノーコード開発が世界で注目を集めている理由は、主に以下の4つです。

ノーコード開発が注目される4つの理由
  • IT人材の不足
  • クラウドサービスの一般化
  • 大企業のノーコード開発への参入
  • DX促進

ノーコードツールで備品管理・貸出管理をシステム化するメリット

続いて、ノーコードツールで備品管理・貸出管理の業務をシステム・アプリ化するメリットは、以下のとおりです。

ノーコードツールで備品・貸出管理をシステム化するメリット
  • メリット1. 低コスト・短期間で導入が可能
  • メリット2. 独自の業務フローに完全対応が可能
  • メリット3. リアルタイムな管理・追跡が可能
  • メリット4. 他ツールとのシームレスな連携が可能

各メリットを、以下で解説します。

メリット1. 低コスト・短期間で導入が可能

スクラッチ開発に比べると低コスト・短期間

ノーコードツールで備品管理・貸出管理をシステム化するメリットの1つ目は、低コスト・短期間で導入が可能な点です。

ノーコードツールは、初期の開発費用が従来の方法と比べて低く抑えられます。

それだけでなく、ランニングコストも低く、場合によっては無料で利用できることもあります。

また、開発期間が短いため、すぐに業務の効率化を実現することができます。

これは、スクラッチ開発の場合と比べて、大きなメリットと言えます。

【意味・定義】スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。

結果的に高くつく場合もあり得る

ただし、ノーコードツールは、自由に開発ができるスクラッチ開発などとは異なり、機能が制限されることもあります。

こうした場合であっても、追加のプラグインやカスタマイズをすることで、柔軟に対応できることもあります。

もちろん、こうしたプラグインやカスタマイズには、費用が発生することがあります。

その結果、コストや導入期間が予想以上に増加することがあります。

以上の点から、ノーコード開発によって備品業務・貸出業務のシステム化・アプリ化を進める際には、仕様を明確化したうえで、その仕様を実現できるノーコード開発ツールを選定することが、極めて重要となります。

メリット2. 独自の業務フローに完全対応が可能

ノーコードツールで備品管理・貸出管理をシステム化するメリットの2つ目は、独自の業務フローに完全対応が可能な点です。

ノーコードツールは、柔軟にカスタマイズ可能なため、自社のルールや業務フローに合わせて構築できます。

独自の業務フローへの完全対応の具体例
  • 貸出時に承認プロセスを追加
  • 備品の定期メンテナンス予定を自動登録する機能の実装

一方で、複雑な処理や高度なカスタマイズが必要な場合、ノーコードツールでは、実装困難なことがあります。

こうした場合は、ノーコードツールではなく、スクラッチ開発によるアプリ・システム開発も視野に入れて検討するべきです。

備品管理・貸出管理システム・アプリをスクラッチ開発するメリットとは?バーコード・QRコードの活用についても解説

メリット3. リアルタイムな管理・追跡が可能

ノーコードツールで備品管理・貸出管理をシステム化するメリットの3つ目は、リアルタイムな管理・追跡な可能な点です。

一般的なノーコードツールには、通知機能やリアルタイム更新の機能があります。

こうした機能を活用すると、備品の貸出状況や在庫状況を即座に把握できます。

リアルタイムな管理・追跡を使った機能の具体例
  • 借用中の備品の期限超過時、担当者にリマインドを自動通知

ただし、ノーコードツールでは、機能の限界により、大量のデータ処理や高度な分析には向いていません。

このため、こうした処理や分析をおこなうと、システムの動作が重くなったり、機能に制限が生じたりする可能性があります。

大量のデータ処理や高度な分析が必要な場合は、前述のスクラッチ開発によるシステム・アプリの開発か、または高機能なパッケージソフトの導入を検討してみてもいいでしょう。

メリット4. 他ツールとのシームレスな連携が可能

ノーコードツールで備品管理・貸出管理をシステム化するメリットの4つ目は、他ツールとのシームレスな連携が可能な点です。

利用するノーコードツールにもよりますが、Google SheetsやSlack、Teamsなど、既存の業務ツールとの連携により、データの共有や通知が効率的に行えます。

他ツールとの連携の具体例
  • Google Calendarと連携して貸出予約をカレンダーに自動反映

デメリットとしては、複雑なAPI連携や独自のデータ処理が求められる場合、カスタマイズの自由度が制限されることがある点です。

ノーコードツールによって、ツールの相性があるため、必ずしも利用したいノーコードツールと他のツールとが連携できるとは限りません。

このため、既存のツールとの完全な連携を求める場合は、スクラッチ開発による備品管理・貸出管理の開発を検討してもいいでしょう。

ノーコードツールで備品管理・貸出管理システムを構築するポイント

ノーコードツールで備品管理・貸出管理システムを構築する際、覚えておきたいポイントが2つあります。

ノーコードツールで備品・貸出管理システムを構築するポイント
  • ポイント1. ユーザーの視点を考慮する
  • ポイント2. 適切に自動化する

ポイント1. ユーザーの視点を考慮する

ノーコードツールで備品管理・貸出管理システムを構築するポイントの1つ目は、ユーザーの視点を考慮することです。

これはノーコードツールによる開発に限りませんが、管理者だけでなく、現場スタッフや貸出利用者など、システムユーザー全員の利便性を重視することが重要です。

現場のニーズを無視したシステム設計では、せっかく開発したシステム・アプリであっても、運用しづらくなります。

このため、全ての人員が使いやすいシステムを作ることが成功の鍵となります。

ユーザーの視点を考慮した実装の具体例
  • 貸出受付の簡易入力フォームの実装
  • スマホでも操作しやすいUIの設計

ポイント2. 適切に自動化する

ノーコードツールで備品管理・貸出管理システムを構築するポイントの2つ目は、適切に自動化することです。

ノーコードツールの中には、業務効率化に適した機能を有するものもあり、特に、一定の業務を自動化できることがあります。

このため、手動では煩雑な業務の中から、通知やリマインダー、在庫更新など、自動化できそうな作業を特定しましょう。

特に、備品管理・貸出管理の業務は、バーコードやQRコードを利用することで、手動の業務の大半を自動化・効率化できます。

自動化の具体例
  • 返却期限が近づいたら自動通知

備品管理・貸出管理業務に向いているノーコード開発ツールの具体例・事例

AppSheet

AppSheetとは?

AppSheetは、Googleが提供するノーコードでアプリ構築ができる開発ツールのひとつで、低コストで、柔軟かつ比較的高機能なアプリ構築ができる点に特徴があります。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

業務アプリに向いたAppSheet

AppSheetは、 業務アプリに必要な機能をデフォルトで多く備えています。

このため、備品管理・貸出管理のシステム・アプリを構築する際も様々な機能を活用できます。

特に、備品管理・貸出管理のシステム・アプリとしては、次のような機能が利用できます。

予約管理に利用できるAppSheeの機能一覧
ノーコーディングアプローチ プログラミング知識がなくても利用でき、ユーザーは直感的でわかりやすいインターフェースでアプリの構築が可能
Google Workspaceとの連携 Googleスプレッドシートをデータソースとして利用でき、エクセルなど既存の備品リストの利用が容易
バーコード・QRコードの利用 各備品にバーコード・QRコードを割り当て、スマートフォンでスキャン・読取り、結果によって自動的・効率的に処理が可能。
マルチプラットフォーム対応 異なるプラットフォーム(iOS、Android、Webなど)でシームレスに動作するため、様々なデバイスでアクセスが可能
セキュリティ機能 Googleのセキュリティ基準に準拠しており、構築するアプリには厳格なセキュリティ機能が組み込まれるため、予約データの機密性と安全、アクセス制限の確保が可能
リアルタイムデータ同期 リアルタイムでデータを同期し、常に備品の貸出状況について最新の情報を提供することが可能
ワークフローの最適化と通知 独自のワークフローを設定し、通知を自動化することができるため、備品の管理や貸出の稟議等の自動化・効率化が可能
オフラインモード インターネット接続がない状態でもアプリを使用できるオフラインモードがあるため、電波が届かない倉庫などのインターネット環境がない場所であっても、備品管理・貸出管理が可能

この他、AppSheetによる備品管理・貸出管理のシステム・アプリの構築につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetで備品管理・貸出管理のシステム・アプリを開発する方法とは?バーコード・QRコードの活用についても解説

Glide

Glideとは?

Glideは、スマートフォンやタブレットに特化したウェブアプリを開発できるノーコード開発ツールです。

【意味・定義】Glide(グライド)とは?

Glide(グライド)とは、ノーコードツールの一種で、プログラミングのスキルがなくてもスプレッドシートからデータを利用してウェブアプリを構築できるプラットフォームをいう。

【意味・定義】ウェブアプリとは?

ウェブアプリとは、ウェブ技術(HTML、CSS、JavaScriptなど)を使用して開発され、ユーザーがウェブブラウザを通じて様々なプラットフォームで利用可能なアプリケーションをいう。

Glide(グライド)とは?アプリ作成の注意点や業務アプリの構築について解説

シンプルで使いやすいGlide

Glideは、AppSheetに比べると汎用的なノーコードツールであり、デザイン性が高く、また、操作性がシンプルである点が特徴です。

このため、ユーザーにとって好印象で、技術的な知識がなくても使いやすいUI、シンプルで直感的なデザインのシステム・アプリを作成でます。

【意味・定義】UI(ユーザーインターフェース)とは?

UI(ユーザーインターフェース)とは、Webサービスやアプリなどのサービスを利用するユーザーとサービスを提供する機器や道具の接点をいう。

UI(ユーザーインターフェース)とは?意味やUXとの違い、例をわかりやすく解説

このため、比較的簡単な備品管理・貸出管理のシステム・アプリを短期間で構築できる、という特徴があります。

また、AppSheet同様、Googleスプレッドシートをデータベースとして活用し、手軽にデータを管理できます。

さらに、Glideはモバイルファーストで設計されているノーコード開発ツールです。

このため、特に備品管理・貸出管理の現場で活躍できるシステム・アプリを構築できます。

この他、Glideによる備品管理・貸出管理のシステム・アプリの構築につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

Glideで備品管理・貸出管理のシステム・アプリを開発する方法とは?バーコード・QRコードの活用についても解説

Bubble

Bubbleとは?

Bubbleは、Bubble Group, Inc.が提供するノーコード開発ツールです。

【意味・定義】Bubble(ノーコード開発ツール)とは?

Bubble(バブル)とは、プログラミングの知識がなくてもビジュアブルな操作でウェブアプリが開発できるノーコードプラットフォームをいう。

ノーコードアプリ開発ツールBubbleとは?メリットや料金を確認

比較的自由度が高く高機能なBubble

Bubbleには、他のノーコードツールと比較して自由度が高く、高度なカスタマイズにより企業ごとの業務に特化したカスタム機能を追加できる、という特徴があります。

具体的には、以下のような機能があります。

Bubbleが提供する機能の具体例
デザインエディタ アプリのフロントエンドデザイン(レイアウト、スタイル、カラースキームなど)を直感的に編集できる。
データベース管理 データベースの作成が容易なだけでなく、データの追加・取得・編集なども直感的に操作できる。
また、柔軟なデータ管理が可能であり、Bubble独自のデータベースの他、SQLベースの外部データベースとも連携できる。
ワークフローエディタ アプリ内でのイベントやアクションの制御に用いる。
条件分岐、データ処理、外部APIの呼び出しなどを簡単に設定できる。
外部サービスとの連携 外部のAPIの統合が容易で、外部の業務システムやERPと柔軟に連携できる。
プラグインの利用 地図、支払いゲートウェイ、ソーシャルメディア連携など、様々な機能を簡単に追加できる。
ユーザーアカウント管理 ユーザーアカウントの登録やログイン機能など、ユーザー認証や権限管理を容易に実装できる。
また、ユーザーごとのアクセス権限を詳細に設定でき、管理者・利用者の操作を適切に制限できる。

ブラウザベースで開発・利用ができる

さらに、Bubbleは、ブラウザベースのアプリ開発や利用ができます。

Bubbleは、いわゆる「レスポンシブウェブデザイン」を採用しています。

【意味・定義】レスポンシブデザイン(レスポンシブウェブデザイン)とは?

レスポンシブデザイン(レスポンシブウェブデザイン)とは、デバイスや画面サイズが異なる場合であっても、それぞれのデバイス・画面サイズに対応して表示されるようにウェブサイトやアプリケーションをデザインする手法をいう。

このレスポンシブウェブデザインにより、Bubbleは、PC・タブレット・モバイル(スマートフォン)であっても、それぞれの画面サイズに応じて動作します。

このため、Bubbleで備品管理・貸出管理システムを構築した場合、スマートフォンを使って現場で作業をし、管理はPCでおこなう、といった運用ができます。

また、タブレットにより、現場と管理の作業の両者に対応したシステム・アプリの構築もできます。

まとめ

備品管理・貸出管理システムの導入は、備品の貸出状況の把握や在庫管理の効率化、業務のスムーズな運営に寄与します。

しかし、システムの選択ミスによって作業効率が低下したり、費用対効果に問題が生じたりすることもあります。

こうした課題の解決には、ノーコードツールを活用した備品管理システムの導入が有効です。

ノーコードツールは業務フローに合わせた柔軟なカスタマイズが可能なため、必要な機能を十分に備えた最適なシステムを構築できます。

当社では、こうしたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。

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