本記事では、固定資産管理システムをより効率的に利用する手段として、ノーコードツールの活用方法について解説します。
固定資産管理システムは、固定資産の管理や会計のためのシステムとして、事業活動に欠かせないものです。
適切な固定資産管理システムを導入することで、固定資産の取得、保管、評価、そして廃棄などのプロセスを効率的に管理し、資産の価値を最大化できます。
しかし既存の固定資産管理システムは、専門的な知識がない場合は使いこなすことが難しく、経理・会計部門の担当者に負担が集中するなど、さまざまな課題が存在します。
本記事では、こうした既存の固定資産管理システムの課題を解消する方法として、ノーコードツールを使った固定資産管理補助ツールの構築アイディアについて詳しくご紹介します。
固定資産管理の課題とニーズ
固定資産管理とは?
固定資産管理は、一般的に、固定資産の財務会計や管理会計などに関する一連の業務のことを意味します。
具体的には、固定資産の取得、保管、評価、そして廃棄などの一連のフローを含む業務です。
【意味・定義】固定資産管理とは?
固定資産管理とは、企業が所有する土地、建物、機械装置などの固定資産やリース資産に関して、減価償却費の計算、固定資産税の会計処理、固定資産台帳の作成などにより、効率的に取得・保管・管理・更新・除却・廃棄・売却することをいう。
固定資産管理業務の課題
固定資産管理業務は、多くの企業で必須の業務であると同時に、非常に専門性が高く、いくつもの課題が存在します。
具体的には、固定資産管理業務には、次のような課題があります。
固定資産管理業務の課題
- 取得した資産が「固定資産」「流動資産」のどちらに該当するのかの判断が難しい(定義や区分が厳密でない)
- 手作業によるデータ入力や記録管理により、作業効率が低下する
- 資産の正確な台帳管理やデータの追跡が難しく、情報の正確性や信頼性が損なわれることがある
- 複数の拠点や部門にまたがる業務の統合が難しく、情報の不整合や重複が生じることがある
- 減価償却や税務上の処理などの複雑な規制に対応するための労力が必要となり、経理担当部署に負担が集中する
- 会計の処理上必須である固定資産台帳等の帳簿書類の作成・保存が煩雑
既存の固定資産管理システムの課題
上記のような固定資産管理業務の課題を解消するために、既存の固定資産管理システムを導入する企業は多いです。
しかし、固定資産管理システムを取り入れた固定資産管理業務にもさまざまな課題が残ります。
既存の固定資産管理システムの課題
- 使い勝手悪く、UI・UX・ユーザーフレンドリーさや柔軟性に欠ける場合がある
- 従来の業務プロセスに合わせてシステムを適応させるのが難しい(機能不足や不要な機能の存在など)
- 専門知識を要する経理担当のみが使いこなせる場合が多く、負担が集中しやすい
これらの課題を解消するためにおすすめなのが、現場担当にとっても分かりやすく、簡単にデータ入力ができる「固定資産管理補助ツール」の構築です。
既存の固定資産管理システムと組み合わせて利用する固定資産管理補助ツールの開発は、ノーコードツールを使うのがおすすめです。
ノーコードツールとは?
ノーコード開発・ノーコードツールとは?
ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」や「ノーコード開発ツール」といいます。
【意味・定義】ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。
ノーコードツールは、従来のプログラミングに頼らずにビジネスユーザーや非技術者でも手軽にアプリ開発ができるようにするためのプラットフォームです。
ノーコードツールが注目される理由
ノーコードツールが国内外問わず注目されている理由は、以下の通りです。
ノーコードツールが注目される理由
- プログラミングスキルが不要
- 開発コストや時間を大幅に短縮可能
- 直感的で使いやすい
- ビジネス部門や実際のユーザーが自らのニーズにあわせてシステム開発できる
ノーコードツールはプログラミングスキルが不要なため、コストや時間を抑えながらアプリ・システムの開発が行えます。
ノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリット
既存の固定資産管理システムは、いわゆるパッケージ開発ができるものを除いて、改変や改修が事実上非常に難しいです。
【意味・定義】パッケージ開発とは?
パッケージ開発とは、既に作られたアプリケーションの部品を使って新しいアプリケーションが作れる方法をいう。
他方で、ノーコードツールを使用することで、既存の固定資産管理システムを改変・改修することなく、既存の固定資産管理システムの使用を補助できるツールやアプリの構築ができる場合もあります。
こうしたノーコードツールの固定資産管理補助ツールを構築することで、以下のように課題を解決できます。
ノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリット
- メリット1. それぞれの企業の会計処理に特化したツールを構築できる
- メリット2. 経理担当の負荷を軽減し経理処理を効率化できる
- メリット3. 税制や会計基準の改正等に合わせた改善ができる
以下、これらのノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリットをみていきましょう。
メリット1. それぞれの企業の会計処理に特化したツールを構築できる
ノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリットの1つ目は、それぞれの企業の会計処理に特化したツールを構築できる点です。
ノーコードツールを使用することで、コーディングを必要とせずに、ユーザーの業務に合わせた画面、機能、入力項目などをカスタマイズできます。
企業独自の会計処理や業務フローに適したツールを構築できるので、必要な機能だけを含んだシンプルなツールの作成が可能です。
メリット2. 経理担当の負荷を軽減し経理処理を効率化できる
ノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリットの2つ目は、経理担当の負荷を軽減し、経理処理を効率化できる点です。
固定資産管理補助ツールを使用することで、経理担当の業務から専門知識がなくても処理できる業務を切り出し、ツールの補助によって、専門知識がない他部門の者が切り出された業務を処理できるようになります。
具体的には、固定資産のデータ入力の業務などが想定されます。
あくまで、メインとなる固定資産の会計・税務の業務については、必要な既存固定資産管理システムの使用が適切ではあります。
これに加えて、固定資産管理補助ツールを導入することで、経理担当の業務量と負担を分割・分担できるようになります。
メリット3. 税制や会計基準の改正等に合わせた改善ができる
ノーコードツールで固定資産管理補助ツールを構築するメリットの3つ目は、税制や会計基準の改正等に合わせた改善ができる点です。
ノーコードツールは開発や改善が容易なので、ビジネスユースの要件が変化しても即座に対応できます。
特に、税制や会計基準の変更がある固定資産管理業務では、入力項目の変更やちょっとした計算式の変更などがあり得ます。
この程度の変更であれば、ノーコードツールは、時間やコストをかけずに対応できます。
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイント
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイント
- ポイント1. API連携を使ったデータの同期
- ポイント2. CSV連携による一括操作・データのインポート
- ポイント3. ユーザーフレンドリーなUI・UX
- ポイント4. ユーザーの適切な権限管理
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイントを詳しくご紹介します。
ポイント1. API連携を使ったデータの同期
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイントの1つ目は、API連携を使ったデータの同期です。
ノーコードで構築したツールで登録・更新されたデータは、API連携された既存の固定資産管理システムにリアルタイムで送信可能です。
これにより、経理担当者や現場の両方が常に最新の情報にアクセスできるようになります。
ただし、これは、あくまで既存の固定資産管理システムとノーコードツールがAPI連携できる仕様になっていることが前提となります。
こうしたAPI連携ができない場合は、次項のCSVによる連携やインポートなどの手法を使ったデータの同期もできます。
ポイント2. CSV連携による一括操作・データのインポート
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイントの2つ目は、CSVを使った一括操作・データのインポートです。
大量のデータを1件ずつ操作する場合、時間がかかるだけでなく、入力ミスのリスクも高まります。
この課題の解消におすすめなのが、一括でデータの登録や更新が行えるCSVインポート機能の実装です。
【意味・定義】CSVとは?
CSVとは、Comma-Separated Valuesの略で、コンマなどの区切り文字でフィールドを区切り、テキスト形式で表現するデータフォーマットをいう。
一般的な固定資産管理システムや会計システムは、データのインポートやエクスポートには、CSV形式のデータが使われることが多いです。
また、一部のノーコードツールやノーコードツールに使われるデータベースなどでは、CSVを簡単に作成・出力できる場合が多いです。
このため、ノーコードツールで入力したデータをCSV形式のデータとして作成して、そのまま既存の固定資産管理システムにインポートすることにより、手作業による入力ミスを減らすことができます。
ポイント3. ユーザーフレンドリーなUI・UX
現場向けの固定資産管理補助ツールを構築するポイントの3つ目は、ユーザーフレンドリーなUI・UXです。
視覚的で分かりやすいUI(画面)を設計し、直感的で分かりやすい操作を可能にすることが重要です。
入力データの自動的なエラーチェック機能、不正なデータ入力の通知機能を組み込むと、ヒューマンエラーを軽減でき、データの正確性や信頼性が向上します。
このように、固定資産管理補助ツールにデータ入力を補助する機能を持たせることで、専門知識がない者であっても、固定資産のデータ入力等ができるようになります。
また、ユーザーフレンドリーなUI・UXは、研修や学習にかかる時間を抑え、コスト削減にも寄与します。
【意味・定義】UI・UXとは?
UI・UXとは、ユーザーがアプリやシステムを利用する際のインタラクションと体験を設計するプロセスや要素をいう。
ポイント4. ユーザーの適切な権限管理
現場向けの固定資産管理補助システムを構築するポイントの4つ目は、ユーザーの適切な権限管理です。
経理担当以外にも、さまざまな部署でノーコードツールを使用する可能性があるため、権限管理は重要なポイントです。
権限を持つユーザーだけが特定の機能やデータにアクセスできるよう、ユーザーごとに適切なアクセス権限を設定しましょう。
ユーザー権限の適切な管理は、必要最低限の機能が含まれたシンプルなツール提供を可能とします。
まとめ
固定資産管理は不可欠な業務だからこそ、専門知識を持つ経理担当者がシステムを扱うことが多いです。
結果として担当者の負荷が大きくなってしまい、効率性や精度に課題が生じることがあります。
そこで、専門知識のない現場の人が業務を手助けできる、ノーコードツールを活用した固定資産管理補助ツールの構築がおすすめです。
ノーコードツールはカスタマイズ性が高く、企業の業務プロセスに合わせて自由に機能を実装できます。
ヒューマンエラーを最小限に抑える工夫を施して実装したデータ入力画面などにより、現場が直接資産データを扱えるようになります。
既存の固定資産管理システムへのリアルタイムなデータ連携も可能です。
固定資産管理補助ツールの導入により、経理担当者に集中しやすい業務を分散させ、さらに効率の良い固定資産管理の業務プロセスを構築できます。
当社では、こうしたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。
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