AppSheetで「できないこと」について解説

本記事では、ノーコードツールのAppSheetでできないことについて解説しています。

Appsheetは、ノーコードツールであるため、プログラミングをすることなく、低コスト(場合によっては無料)て、比較的かんたんに高機能なアプリを構築できます。

その費用対効果の高さや、開発に手間がかからないことから、Appsheetは、業務アプリの構築・開発の手段としても注目されています。

しかしながら、そんなAppsheetも、ノーコードツールであるため、当然ながら「できないこと」も多くあります。

本記事では、こうしたAppsheetでできないことについて、に詳しく解説します。

AppSheetの基本

AppSheetとは?

まずは、AppSheetの基本について詳しくみていきましょう。

AppSheetは、Googleが提供するノーコードでアプリ構築ができる開発ツールのひとつで、低コストで、柔軟かつ比較的高機能なアプリ構築ができる点に特徴があります。

【意味・定義】AppSheetとは?

AppSheetとは、Googleが提供するノーコードプラットフォームの一種で、ユーザーがプログラミングの知識なしにアプリケーションを作成できるツールをいう。

AppSheetとは?メリット・デメリット、料金、導入事例を解説

AppSheetを利用することで、ビジネスニーズに合わせて柔軟にアプリを設計し、スプレッドシートやデータベースを活用して効率的な業務プロセスを実現できます。

ノーコード開発・ノーコードツールとは?

ノーコード開発とは、ソースコードを書かずに、つまりプログラミングせずに、アプリケーションやWebサービスの開発をする開発手法のことです。

【意味・定義】ノーコード開発とは?

ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。

こうしたノーコード開発のために使われるツールのことを、「ノーコードツール」「ノーコード開発ツール」といいます。

【意味・定義】ノーコードツールとは?

ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても直感的な画面操作やドラッグ&ドロップでカスタムアプリを作成できるツールをいう。

ノーコード開発とは?メリット・デメリットやツール・事例についても解説

ノーコードツールは、従来のプログラミングに頼らずにビジネスユーザーや非技術者でも手軽にアプリ開発ができるようにするためのプラットフォームです。

AppSheetの特徴

Appsheetには、以下を始めとする特徴があります。

AppSheetの特徴
  • 業務のシステム化で作業効率アップ
  • テンプレートが豊富
  • マルチプラットフォームに対応
  • オフラインモードに対応
  • アプリ未公開であれば10人まで無料
  • Google Workspaceユーザーは無料

無料で使えるプランがあるので、まずはテストアプリの構築から始めるユーザーが多いです。

AppSheetでできること

AppSheetでできることは以下の通りです。

AppSheetでできることの具体例
アプリを構築 コーディング不要でスプレッドシートからカスタムアプリを簡単に構築できます
ワークフローの自動化 特定のアクションやイベントに基づいてワークフローを自動化し、業務プロセスの効率化を図ることができます
外部サービスと連携 さまざまな外部サービスやデータソースと連携し、データの取得や送信、処理などを実行することができます

なお、Appsheetでできることにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

AppSheetは何ができる?できることや具体的な活用例・導入事例は?

次に、AppSheetではできないことをいくつかご紹介します。

AppSheetでできないこと1. 画面構成やデザインの変更

AppSheetでできないことの1つ目は、画面構成やデザインの変更です。

画面構成やデザインの変更の制約の具体例
  • UIの自由度が低い
  • カスタマイズの制限
  • フォーム入力時の制限

UIの自由度が低い

AppSheetは、UIの自由度が低いです。

AppSheetでは、用意されているテンプレートを使うことで簡単にアプリを構築できますが、テンプレート以外のデザイン構成の変更はできません。

このため、Appsheetは、一般的には対外向けのアプリ(特に一般消費者向け)の構築・開発には向いておらず、主に社内向けやBtoB向けのアプリの構築・開発に利用されています。

なお、部品自体を消して独自で実装はできるので、理想のデザインに近づけることは可能です。

カスタマイズの制限

AppSheetには、カスタマイズの制限があります。

AppSheetでは、文字の大きさやフォントを自由に変更することができますが、画面ごとに設定を変更することはできません。

このため、文字の大きさやフォントなどのデザインをカスタマイズする必要のあるアプリ(特に一般消費者向け)の開発には向いていません。

こうしたカスタマイズ性の高さが必要な場合は、他の開発ツールや、スクラッチ開発で対応するべきでしょう。

フォーム入力時の制限

AppSheetには、フォーム入力時の制限があります。

AppSheetでは、データ型で入力値(数字など)の制限はできますが、さらに細かいバリデーション(英数字入力など)は、独自で実装する必要があります。

バリデーションをしっかり入れることで、入力時のヒューマンエラーを防ぐことができるので、ミスが起こりやすい入力欄がある場合は独自で実装してみるのがおすすめです。

AppSheetでできないこと2. 自動的な処理

AppSheetでできないことの2つ目は、自動的な処理の実行です。

自動的な処理の制約の具体例
  • 自動画面遷移ができない
  • 自動画面更新ができない

自動画面遷移ができない

AppSheetでは、待ち時間発生後に自動で画面遷移をするなどの自動画面遷移ができません。

自動画面遷移ではなく、通知やアラートを利用してユーザーにアクションを促すことは可能です。

自動画面遷移の具体例
  • 一定時間操作がない場合、Topページに戻る

自動画面更新ができない

AppSheetでは自動画面遷移に加えて、待ち時間発生後の自動画面更新もできません

常に最新の情報を表示する必要がある場合などは注意が必要です。

自動画面更新の具体例
  • 一定期間ダッシュボードの操作がない場合、画面を自動更新して最新のデータを表示する

AppSheetでできないこと3. データベースの複雑な処理やパフォーマンス改善

AppSheetでできないことの3つ目は、データベースの複雑な処理やパフォーマンス改善です。

データベースの複雑な処理やパフォーマンス改善の制約の具体例
  • 同期に時間がかかる
  • スプレッドシートの行の削除ができない
  • 複雑なデータベースの設計

同期に時間がかかる

AppSheetでは、同期に時間がかかる場合があります

AppSheetでは、データベースとして使うスプレッドシートが大きくなると、同期に時間がかかってしまう可能性があります。

回避策として、スプレッドシートの代わりとなるAppSheet Databaseの利用がおすすめです。

参照:AppSheet Databaseについて(AppSheet公式サイト)

スプレッドシートの行の削除ができない

AppSheetでは、スプレッドシートの行の削除ができません

AppSheetでは、アプリでデータを削除した場合、連携されているスプレッドシートでは、行に含まれるデータのみ削除され、空白行が残ってしまいます。

スプレッドシートの行まで削除したい場合は、手動で対応を行う必要があります。

複雑なデータベースの設計

AppSheetでは、複雑なデータベースの設計ができません

AppSheetは、複雑な関係や多対多関係のデータベース構造を持たせるなど、煩雑なデータベースの設計には向きません。

AppSheetでできないこと4. 日本語での開発やチームでの開発

AppSheetでできないことの4つ目は、日本語での開発やチームでの開発です。

日本語やチームでの開発の制約の具体例
  • 開発環境が英語のみ
  • 日本語での情報が少ない
  • 複数人で同時に作業できない

開発環境が英語のみ

AppSheetの開発環境は英語のみなので、日本語での開発は行えません

しかし、2024年3月よりAppSheetのサポートサイトが日本語に対応になったので、こちらを参考にするのが良いかもしれません。

また、AppSheetは直感的な操作で使えるようになっているので、英語での作業にはすぐ慣れてきます。

参照:AppSheetのサポートサイト(AppSheetの公式サイト)

日本語での情報が少ない

AppSheetに関する日本語の情報が少ないです。

AppSheetは英語圏で展開されているプラットフォームなので、英語圏のユーザー向けに情報が多く提供されています。

エディタや作成されたアプリのUIも全てが英語ベースです。

しかし、アプリの機能は日本語にローカライズができるので、日本国内向けに使いやすいアプリを構築することは可能です。

【意味・定義】ローカライズとは?

ローカライズとは、言語や地域に合わせてテキスト、画像、およびその他の要素を調整して、異なる言語や地域のユーザーに適した体験を提供することをいう。

複数人で同時に作業できない

AppSheetでは、複数人で同時に作業ができません

複数人によるリアルタイムの同時編集がサポートされていないので、同じデータを複数のユーザーが同時に変更した場合、編集が制限されてしまいます。

そのため、AppSheetは同時作業をする必要があるアプリの構築に向いていません。

AppSheetが向かないサービス

AppSheetが向かないサービスをいくつかご紹介します。

AppSheetが向かないサービスの具体例
  • 高度なグラフィックスやアニメーションが必要なサービス
  • 特定のセキュリティ要件が必要なサービス
  • 高度な分析機能が必要なサービス

上記に当てはまるアプリ・システム開発を検討中の場合は、別のツールやスクラッチ開発などで構築することをおすすめします。

【意味・定義】スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のフレームワークやライブラリを最小限利用し、残りの部分はプログラミング、コーディングをすることにより、新しいアプリ・システム・ソフトウェアの大半の機能を自ら実装する開発手法をいう。

スクラッチ開発とは?アプリ開発における使われ方とメリット・デメリットを紹介

まとめ

AppSheetでは、スプレッドシートからカスタムアプリ・システムを作成し、データの管理やワークフローの自動化が可能です。

しかし、細かいカスタマイズや高度な機能が必要なアプリ・システムを構築する場合は、AppSheetは適していないかもしれません。

AppSheetを使い始める前に、開発したいアプリ・システムで実現したい機能を精査し、AppSheetで開発が可能かどうかを正しく判断しましょう。

当社では、こうしたAppSheetを含めたノーコードツールを活用した業務アプリ・業務システムの開発会社の選定をサポートしております。

業務アプリ・業務システムの開発・導入でお悩みの方は、今すぐご連絡ください。

AppSheetに関するよくある質問

AppSheetとはなんですか?
AppSheetは、スプレッドシートからアプリを自動生成するプラットフォームであり、コーディング不要でカスタムアプリを作成することができます。
AppSheetを使用するために必要なスキルは何ですか?
AppSheetを使用するためには、プログラミングの経験は必要ありません。

基本的なスプレッドシートの知識があれば、アプリの作成が可能です。

独自の機能やバリデーションを実装する場合は、一定レベルのプログラミングのスキルが必要になる場合もあります。

AppSheetの料金体系はどのようになっていますか?
AppSheetでは、無料プランや有料プランがあります。

有料プランでは、より高度な機能や容量を利用することができます。

各プランの詳細に関してはAppSheetの公式サイトをご確認ください。