この記事では、主に業務改善のためのシステム・アプリの開発を検討している方に向けて、ノーコード開発ツールであるBubble(バブル)について解説しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)やモバイル利用の増加に伴い、Webサイトやウェブアプリ、ネイティブアプリ、ECサイトなどの構築需要が伸びています。
こうした需要を低コストかつ手軽に満たせるものとして注目を集めているのが、ノーコード開発ツールのBubbleです。
Bubbleは、アプリの開発からリリースまでを、ブラウザだけでアカウント登録や作業ができる開発プラットフォームです。
本記事では、Bubbleの概要や活用するメリット・デメリット、料金プランなどを徹底解説します。
Bubbleとは?
「Bubble(バブル)」 = ノーコード開発ツール
Bubbleは、Bubble Group, Inc.が提供するノーコード開発ツールです。
【意味・定義】Bubble(バブル)とは?
Bubble(バブル)とは、プログラミングの知識がなくてもビジュアブルな操作でウェブアプリが開発できるノーコードプラットフォームをいう。
Bubbleは、ドラッグ&ドロップなど、直接的な操作でアプリの構築が可能で、プログラミング知識がないユーザーでも使いやすい、という特長があります。
また、Bubbleは、デザインや機能の自由度が高く、独自要件に合わせて柔軟に対応できる点がノーコードプラットフォームの中で人気の理由の一つです。
【意味・定義】ノーコード開発とは?
ノーコード開発とは、プログラミングせず、ノーコードツールの使用により、ビジュアルなツールやドラッグ&ドロップ等の直感的な作業によるアプリケーションやWebサービスの開発が可能な開発手法をいう。
Bubbleの利用目的とは
続いて、Bubbleが向いている利用目的と、向いていない利用目的をご紹介します。
Bubbleが向いているサービス・利用目的・機能
Bubbleが向いているのは、以下のようなサービスの構築です。
Bubbleが向いているサービスの具体例
- 業務改善システム
- マッチングアプリ(恋愛系や仕事依頼など)
- eラーニング・教育アプリ
- フィットネスアプリ
- ECサイト
- SNS
- AI(ChatGPTなど)を使ったアプリ
- デザイン性のあるLP(ランディングページ)制作
上記のようなシステム・アプリの場合は、開発コストを抑えながら、幅広い用途のサービスを素早く構築できます。
Bubbleが不向きなサービス・利用目的・機能
他方で、次のような、Bubbleを活用した構築が向いていないサービスもあります。
Bubbleが不向きなサービスの具体例
- オフラインモードが必要なアプリ
- 高速処理が必要(表示速度が速い)なサービス
- 大規模で複雑な機能が多いサービス
- ゲーム系アプリ
- SEOを必要としたWebサイト
Bubbleは、ノーコードでのウェブアプリケーション開発に特化していることから、高速処理や複雑なロジックには適していません。
このように、開発プラットフォームの選択は、実現したい要件に適しているかを踏まえて検討することが重要です。
Bubbleを活用するメリット
Bubbleには、次のとおり多くのメリットがあります。
Bubbleを活用するメリット
- メリット1. 無料で使える
- メリット2. 柔軟性と拡張性
- メリット3. PC・タブレット・モバイルに対応
- メリット4. 高度な機能の実装が可能
- メリット5. データのエクスポートが可能
- メリット6. 安定した運用が可能
以下、Bubbleのメリットについて、かんたんに見ていきましょう。
メリット1. 無料で使える
Bubbleを活用するメリットの1つ目は、無料で使える点です。
Bubbleは、無料で使えるFreeプランを提供しており、予算の少ないプロジェクトでもコストを抑えて導入できます。
データベース制限やAPI連携制限などはありますが、テスト開発やプロトタイプ用の環境として使うのに便利です。
【意味・定義】プロトタイプとは?
プロトタイプとは、製品やシステムのアイデアやデザインを具体的に示す試作品をいう。
ただし、アプリをデプロイする場合は、有料プランへの切り替えが必要になるのでご注意ください。
【意味・定義】デプロイとは?
デプロイとは、開発されたアプリを運用環境に配置し、当事者以外のユーザーが利用できるようにするプロセスをいう。
メリット2. 柔軟性と拡張性
Bubbleを活用するメリットの2つ目は、柔軟性と拡張性です。
アプリのカスタマイズやデザインにおいて、Bubbleは自由度が高いです。
Bubbleは、各パーツの形状、素材、色などの設定をフルオーダーできます。
このため、一般的なノーコードプラットフォームとは異なり、独自のスタイルや機能を細部にわたって実現し、プロジェクト特有の要件に合わせて柔軟に対応できる利点があります。
また、Bubbleは、プログラミングの知識があれば一部カスタムコードも実装できるため、高度な計算やデータ処理・特殊な動作要件なども実現可能です。
メリット3. PC・タブレット・モバイルに対応
Bubbleを活用するメリットの3つ目は、PCだけでなく、タブレットやモバイルにも対応している点です。
Bubbleは、いわゆる「レスポンシブウェブデザイン」を採用しています。
【意味・定義】レスポンシブデザイン(レスポンシブウェブデザイン)とは?
レスポンシブデザイン(レスポンシブウェブデザイン)とは、デバイスや画面サイズが異なる場合であっても、それぞれのデバイス・画面サイズに対応して表示されるようにウェブサイトやアプリケーションをデザインする手法をいう。
このレスポンシブウェブデザインにより、Bubbleは、PC・タブレット・モバイル(スマートフォン)であっても、それぞれの画面サイズに応じて動作します。
このため、ユーザーは異なるデバイスでもシームレスかつ快適にアプリを利用でき、利便性が向上します。
メリット4. 高度な機能の実装が可能
Bubbleを活用するメリットの4つ目は、高度な機能の実装が可能な点です。
Bubbleで提供されている様々な機能を組み合わせて利用することで、高度なアプリの構築が簡単におこなえます。
便利な機能を詳しくみていきましょう。
Bubbleが提供する機能の具体例 |
|
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デザインエディタ | アプリのフロントエンドデザイン(レイアウト、スタイル、カラースキームなど)を直感的に編集できる。 |
データベース管理 | データベースの作成が容易なだけでなく、データの追加・取得・編集なども直感的に操作できる。 |
ワークフローエディタ | アプリ内でのイベントやアクションの制御に用いる。 条件分岐、データ処理、外部APIの呼び出しなどを簡単に設定できる。 |
外部サービスとの連携 | 外部のAPIの統合が容易で、他のサービスやデータをアプリに組み込める。 ChatGPTなどのAIサービスとの連携も、APIを利用することで実現できる。 |
プラグインの利用 | 地図、支払いゲートウェイ、ソーシャルメディア連携など、様々な機能を簡単に追加できる。 |
ユーザーアカウント管理 | ユーザーアカウントの登録やログイン機能など、ユーザー認証や権限管理を容易に実装できる。 |
このように、Bubbleは機能が充実しているため、業務アプリのような社内用のアプリから、BtoBやBtoCなどの対外向けアプリとしても利用できます。
メリット5. データのエクスポートが可能
Bubbleを活用するメリットの5つ目は、データのエクスポートが可能な点です。
Bubbleは、アプリのデータをCSV形式で容易にエクスポートできます。
このエクスポート機能により、システムを移行する際、データをスムーズに移行できます。
このように、Bubbleはビジネスの成長や変化に合わせてデータを管理し続けられるため、大規模なシステム・アプリや高価なシステム・アプリの導入の前段階として活用できます。
メリット6. 安定した運用が可能
Bubbleを活用するメリットの6つ目は、安定した運用が可能な点です。
Bubbleは、料金プランに応じてサーバーキャパシティを増減できます。
このため、アプリのトラフィック(アクセスやユーザー数)の増減に応じて、料金を増減させられます。
こうした料金体系により、初期投資を抑えることができます。また、ビジネスの拡大や需要の変動に伴った拡張・縮小も容易になります。
Bubbleを活用するデメリット
以下では、Bubbleを活用するデメリットをご紹介します。
Bubbleを活用するデメリット
- デメリット1. 英語力が求められる
- デメリット2. SEOには不向き
- デメリット3. 外部サーバーでのアプリの公開ができない
- デメリット4. パフォーマンスの制約
- デメリット5. html・css・Javascriptしか使えない
デメリット1. 英語力が求められる
Bubbleを活用するデメリットの1つ目は、英語力が求められる点です。
Bubbleの操作画面やサポートは、全て英語で提供されており、日本語には非対応です。
しかし、オンラインサロンやYouTubeなどに解説動画が充実しているため、英語が苦手であっても利用できます。
また、構築するアプリの表示言語は日本語にできるので、日本語ユーザー向けにアプリを構築できます。
デメリット2. SEOには不向き
Bubbleを活用するデメリットの2つ目は、SEOには不向きな点です。
SEOとは、Search Engine Optimizationのことで、日本語としては「検索エンジン最適化」を意味します。
Bubbleは基本的なSEO設定のみを提供していますが、WordPressなどのウェブサイトの構築に特化したツールに比べると、SEOには不向きな部分が多いです。
Bubbleで集客が重要なアプリを構築する場合は、SEO以外(有料広告、SNS、オウンドメディアなどの他のサイトでの集客等)の手段や別のツールも検討しましょう。
【意味・定義】オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、ウェブサイトやブログなど、企業や個人が自ら所有・運用するメディアをいう。
デメリット3. 外部サーバーでのアプリの公開ができない
Bubbleを活用するデメリットの3つ目は、外部サーバーでのアプリの公開ができない点です。
Bubbleでのアプリの公開はAWS(Amazon Web Services)上のみで、オンプレミスサーバーでの公開は許可されていません。
ソースコードのエクスポートも行えないため、他の環境でアプリを運用したい場合は別のプラットフォームで再構築する必要があります。
【意味・定義】AWS(Amazon Web Services)とは?
AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームをいう。
【意味・定義】オンプレミスサーバーとは?
オンプレミスサーバーとは、組織や企業が自らの施設やデータセンターに設置し、管理するサーバーシステムのことをいう。このサーナーのうち、自社所有のサーバーをハウジングサーバー、他社所有のサーバーをホスティングサーバー(レンタルサーバー)という。
ただし、AWSで運用されているということは、稼働率、セキュリティ性、拡張性(スケーラビリティ)のいずれも高い水準であることを意味します。
つまり、AWSではなく、わざわざオンプレミスサーバーでの運用をせざるを得ない特殊な事情でもない限り、事実上はデメリットではないとも言えます。
デメリット4. パフォーマンスの制約
Bubbleを活用するデメリットの4つ目は、パフォーマンスの制約です。
Bubbleは、高機能なアプリを構築できますが、フルスクラッチで作成されたアプリに比べると、高度な機能の実装や最適化が必要な場合などでは、パフォーマンス面で制約が発生することがあります。
【意味・定義】フルスクラッチ開発とは?
フルスクラッチ開発とは、システム構築やアプリ開発において、一からすべてプログラミング・コーディングして開発をする手法をいう。
このように、Bubbleは、要求仕様に対して十分な効率や速度が得られない可能性があります。
よって、アプリ開発に着手する前に、Bubbleによるアプリ構築が要求仕様に応えられるのかどうかについて、十分に検討する必要があります。
デメリット5. html・css・Javascriptしか使えない
Bubbleを活用するデメリットの5つ目は、html・css・Javascriptしか使えない点です。
すでに述べたとおり、Bubbleはノーコード開発ツールですので、アプリの構築のためにはコーディング作業は必要ありません。
ただ、実は、html・css・Javascriptのコーディングによる基本的なカスタマイズはできます。
これは、逆に言えば、html・css・Javascriptで書かれたコードしか実行できません。
例えば、単に情報配信だけを目的としたアプリなどであればこれらの言語だけでも十分ですが、より高度なアプリを構築する場合は、非常に大きな制約となります。
Bubbleの料金プラン
続いて、Bubbleの料金プランと、プランごとに使える機能を簡単にご紹介します。
Bubbleの料金プラン | ||||
---|---|---|---|---|
Freeプラン | Starterプラン | Growthプラン | Teamプラン | |
料金 | $0 | $29.00/月 | $119.00/月 | $349.00/月 |
テスト開発 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
アプリのリリース | × | ◯ | ◯ | ◯ |
独自ドメイン | × | ◯ | ◯ | ◯ |
API連携 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
プラグイン利用 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
2段階認証 | × | × | ◯ | ◯ |
複数人での開発 | × | × | 2名まで | 5名まで |
ストレージ | 0.5GB | 50GB | 100GB | 1TB |
おすすめの使い方 | テスト開発 | アプリのリリース | 中規模の開発 / チーム開発 | 大規模の開発 / 大人数のチーム開発 |
上記4つのプランに加えて、内容がカスタマイズできるEnterpriseプランもあります。
各プランに含まれる他の機能やEnterpriseプランの詳細は、Bubbleの公式サイトをご確認ください。
Bubbleの導入事例
Bubbleは、国内外の様々な企業・組織で導入されています。
以下では、そういった導入事例をみていきましょう。
国内の導入事例
国内の導入事例を3つご紹介します。
海外の導入事例
Bubbleは英語の情報がメインのツールということもあり、海外では導入事例が多いです。
海外の導入事例
- 海外の導入事例1. Reachr
- 海外の導入事例2. UCL Medical School
- 海外の導入事例3. byword_
- 海外の導入事例4. Cuure
まとめ
以上のように、Bubbleは、ノーコードプラットフォームの中でも汎用性が高く、カスタマイズやデザイン性にも優れており、とりわけ、ウェブアプリやネイティブアプリの開発に非常に人気があります。
ただし、開発するアプリの用途に適さないケースには注意が必要です。
Bubbleでのアプリ構築を検討している場合は、まず無料プランでテスト開発してみてはいかがでしょうか。
当社では、こうしたBubbleを活用したアプリの企画相談、開発、内製化支援サービスを提供しております。
詳しくは、お申し込みフォームから今すぐお申し込みください。
Bubbleに関するよくある質問
- Bubbleとはなんですか?
- Bubbleはノーコードプラットフォームの一つで、ビジュアルを用いた操作でアプリを開発できるツールです。
プログラミングスキルがなくてもアプリを構築でき、ドラッグ&ドロップや設定画面を通じて開発効率の向上が可能です。
ビジネスや個人プロジェクトにおいても、柔軟で迅速なアプリ開発ができます。
- Bubbleで作成したアプリはモバイル対応していますか?
- はい、Bubbleで作成したアプリは、モバイルやタブレットなどのデバイスでも適切に使用可能です。
レスポンシブウェブデザインをサポートしているため、ユーザーはPC以外のデバイスでもシームレスにアプリを利用でき、利便性が向上します。
- Bubbleの学習コストは高いですか?
- Bubbleはノーコードプラットフォームのため、プログラミング知識がなくても利用できます。
しかし自由度の高さゆえに、他のノーコードプラットフォームに比べると学習コストが高いかもしれません。
高度な機能を使いこなすために一定の学習が必要になる場合、オンラインリソースやコミュニティが充実しているため、サポートが得やすいです。